周梨槃特のブログ

史料紹介という修行

ライフワーク part1(Study of suicide in Medieval Japan)

唾液フェティシズム (Saliva fetishism)

永享八年(一四三六)三月二十七日条 (『図書寮叢刊 看聞日記』5─255頁) (土御門) 廿七日、晴、(中略)陰陽師有重参、霊気祭今月仕事之間、禁裏申沙汰、仍是へも 持参之由申、四半紙十三枚ニ鶏一羽つヽ書、是ニ御唾被吐懸可給之由申、一年中 閏月ま…

自殺の中世史 43 ─吾妻鏡のまとめ─ Analysis result of Azumakagami(The history book of the Kamakura shogunate)

ここまで、『吾妻鏡』に記された自殺を紹介してきました。鎌倉幕府の歴史書だけあって、武士らしく、戦さに関する自殺記事が多いように思います。そのなかでも注目しなければならなかったのが、「恥」でした。 以前、「自殺の中世史3〜17」で古代の史料を…

自殺の中世史 42 ─吾妻鏡11─

建長二年(一二五〇)六月二十四日条 『吾妻鏡』第四十(『国史大系』第三三巻) 廿四日戊午、今日居住佐介之者、俄企自害、聞者競集、圍繞此家、觀其死骸、有此人之聟、日來令同宅處、其聟白地下向田舎訖、窺其隙、有通艶言於息女事、息女殊周章、敢不能許…

自殺の中世史 41 ─吾妻鏡10─

宝治元年(一二四七)六月七・八日条 『吾妻鏡』第卅八(『国史大系』第三三巻) 七日戊子、天晴、胤氏、素暹等襲秀胤上総國一宮大柳之舘、于時當國御家人、如雲霞起而成合力、秀胤兼用意之間、積置炭薪等於舘郭外之四面、皆悉放火、其焔太熾、而非人馬之可…

自殺の中世史 40 ─吾妻鏡9─

承久三年(一二二一)六月十六日条 『吾妻鏡』第廿五(『国史大系』第三二巻) 十六日己巳、相州・武州兩刺史移住六波羅舘、如右京兆爪牙耳目、廻治國之要計、求武家之安全、凡今度合戰之間、雖多殘黨、疑刑可從輕之由、經和談、四面網解三面、是世之所讚也…

自殺の中世史 39 ─吾妻鏡8─

承久三年(一二二一)六月六日条 『吾妻鏡』第廿五(『国史大系』第三二巻) 六日己未、今曉、武藏太郎時氏、陸奥六郎有時、相具少輔判官代佐房、阿曽沼次郎親綱、小鹿嶋橋左右衛門尉公成、波多野次郎經朝、善左衛門尉太郎康知、安保形部烝實光等渡摩免戸、…

自殺の中世史 38 ─吾妻鏡7─

【史料1】建保七年(一二一九)二月六日条 『吾妻鏡』第廿四(『国史大系』第三二巻) 六日癸卯、故鶴岳別当闍梨使白河左衛門尉詣大神宮、遂奉幣還向之処、於三河国矢作宿、聞彼滅亡事自殺云々。 「書き下し文」 六日癸卯、故鶴岡別当闍梨の使ひ白河左衛門…

自殺の中世史 37 ─吾妻鏡6─

建仁三年(一二〇三)九月二日条 『吾妻鏡』第十七(『国史大系』第三二巻) 二日丁卯、今朝、廷尉能員以息女〈將軍家妾、若公母儀也、元号若狭局、〉訴申、北條殿、偏可追討由也、凡家督外、於被相分地頭職者、威權分于二、挑爭之條不可疑之、爲子爲弟、雖…

自殺の中世史 36 ─吾妻鏡5─

建久四年(一一九三)七月二日条 『吾妻鏡』第十三(『国史大系』第三二巻) 七月大、二日丙寅、武藏守義信召進養子僧、〈號律師〉、去夜參着、是曾我十郎祐成弟也、日來在越後國久我窮山之間、參上于今延引云々、而今日聞可被梟首之由、於甘縄邊、念佛讀經…

自殺の中世史 35 ─吾妻鏡4─

文治五年(一一八九)九月七日条 『吾妻鏡』第九(『国史大系』第三二巻) 七日甲子、宇佐美平次實政生虜泰衡郎從由利八郎、相具參上陣岡、而天野右馬允則景生虜之由相論之、二品仰行政、先被注置兩人馬并甲毛等之後、可尋問實否於囚人之旨、被仰于景時、々…

自殺の中世史 34 ─吾妻鏡3─

文治元年(一一八五)十月十三日条 『吾妻鏡』第五(『国史大系』第三二巻) 十三日壬戌、去十一日并今日、伊豫大夫判官義經潜參 仙洞、奏聞云、前備前守行家向背關東企謀反、其故者、可誅其身之趣、鎌倉二位卿所命、達行家後聞之間、以何過怠可誅無罪叔父哉…

自殺の中世史 33 ─吾妻鏡2─

元暦二年(一一八五)五月二十七日条 『吾妻鏡』第四(『国史大系』第三二巻) 廿七日己酉、源藏人大夫頼兼申云、去十八日、盗人令推參禁裏、盗取晝御座御劒、藏人并女官等動揺求之、頼兼家人武者所久實、追奔于左衛門陣之外生虜之、奉返置御劒於本所、件犯…

自殺の中世史 32 ─吾妻鏡1─

寿永元年(一一八二)二月十四・十五日条 『吾妻鏡』第二(『国史大系』第三二巻) 十四日乙卯、伊東次郎祐親法師者、去々年已後、所被召預三浦介義澄也、而御臺所御懷孕之由風聞之間、義澄得便、頻窺御氣色之處、召御前、直可有恩赦之旨被仰出、義澄傳此趣…

自殺の中世史 31 ─古代史研究の紹介2─

以前、「古代史の研究紹介1」(「自殺の中世史10」)で、鈴木英鷹氏の論文を紹介しましたが、その引用文献のなかに、かなり古い歴史学者の論文がありました。最近、それをやっと読むことができたので、ここで紹介しておきたいと思います。 江馬務「自殺史…

自殺の中世史 30 ─中世の説話9・説話のまとめ─ (Medieval Buddhist Tales 9 · Summary of Buddhist Tales)

「死の道を知らざる人の事」十二『沙石集』巻第八ノ五 (『新編日本古典文学全集』52、小学館、2001) 天竺に、那蘭陀寺の戒賢論師と云ひしは、付法蔵の三蔵、やんごとなき智者にて、玄奘三蔵の師なり。重病に沈みて、苦痛忍び難かりければ、自害せん…

自殺の中世史 29 ─中世の説話8─

「薬師・観音の利益によりて命を全くする事」『沙石集』巻第二ノ四 (『新編日本古典文学全集』52、小学館、2001) 尾張国に、右馬允某甲と云ふ俗ありけり。承久の乱の時、京方にて杙瀬河の戦に、手あまた負ひてけり。既に止め刺して打ち棄ててき。武…

自殺の中世史 28 ─中世の説話7─

「臨終に執心を畏るべき事」『沙石集』巻第四ノ五 (『新編日本古典文学全集』52、小学館、2001) 近比、小原に上人ありけり。無智なりけれども、道心の僧にて、かかる浮世に、長らへてもよしなく思ひければ、三七日、無言して、結願の日、頸をくくり…

自殺の中世史 27 ─中世の説話6─

「仁和寺西尾の上人、我執に依つて身を焼く事」『発心集』第第八─三 (三木紀人『現代語訳 方丈記 発心集 歎異抄』學燈社、2006) 近き世の事にや、仁和寺の奥に同じさまなる聖、二人ありけり。ひとりを西尾の聖と云ひ、今ひとりをば東尾の聖と名付けた…

自殺の中世史 26 ─中世の説話5─

「蓮花城、入水の事」『発心集』第三─八 (三木紀人『現代語訳 方丈記 発心集 歎異抄』學燈社、2006) 近きころ、蓮花城といひて、人に知られたる聖ありき。登蓮法師相知りて、ことにふれ、情けをかけつつ、過ぎけるほどに、年ごろありて、この聖の言ひ…

自殺の中世史 25 ─中世の説話4─

「空入水したる僧の事」『宇治拾遺物語』巻第十一・第九話 (『日本古典文学全集』二八、小学館) これも今は昔、桂川に身投げんずる聖とて、まづ祇陀林寺にして百日懺法行ひければ、近き遠き者ども、道もさりあへず、拝み行きちがふ女房車など隙なし。 見れ…

自殺の中世史 24 ─中世の説話3─

「入水したる上人の事」『沙石集』巻第四ノ六 (『新編日本古典文学全集』52、小学館、2001) ある山寺に、上人あり。道心深くして、憂世に心をとどめず、急ぎ極楽へ参らんとおもひければ、入水して死なんとおもひ立ちて、同行を語らひて、舟を用意し…

自殺の中世史 23 ─中世の説話2─

「或る女房、天王寺に参り、海に入る事」『発心集』第3─6 (三木紀人『現代語訳 方丈記 発心集 歎異抄』學燈社、2006) 鳥羽院の御時、ある宮腹に、母と女と同じ宮仕へする女房ありけり。年ごろへて後、此の女、母に先立ちてはかなくなりにけり。歎き…

自殺の中世史 22 ─中世の説話1─

「或る禅師、補陀落山に詣づる事 付賀東上人の事」『発心集』第3─5 (三木紀人『現代語訳 方丈記発心集 歎異抄』學燈社、2006) 近く、讃岐の三位といふ人いまそかりけり。彼のめのとの男にて、年ごろ往生を願ふ入道ありけり。心に思ひけるやう、「此…

自殺の中世史 21 ─自殺史料紹介の悩み5─ (Issues and analysis viewing angle in suicide research 5)

【その5】 ここまで、だらだらと個人的な悩みを書いてきましたが、悩みは独白するだけでもある程度スッキリするものです。当たり前のことかもしれませんが、私は今後、自殺を「行為」とみなし、①自殺の原因・理由動機、②自殺の目的動機、③目的遂行のために…

自殺の中世史 20 ─自殺史料紹介の悩み4─ (Issues and analysis viewing angle in suicide research 4)

【その4】 そうすると、「自殺念慮」という欲求は、いったいどこから生まれてきたのでしょうか。なぜ、人間は成長とともに死を望むようになるのでしょうか。こうした問題について1つの答えを与えてくれるのが、坂田登氏の論文(8)です。これは、生やセッ…

自殺の中世史 19 ─自殺史料紹介の悩み3─ (Issues and analysis viewing angle in suicide research 3)

【その3】 さて私は、自殺によって実現される事態・価値を自殺の「目的」と表現しましたが、ダグラス(Jack D.Douglas)という社会学者は、同様のものを自殺の「社会的意味」として追究しています。本来はダグラスの原著に目を通すべきなのですが、英語の著…

自殺の中世史 18 ─自殺史料紹介の悩み2─ (Issues and analysis viewing angle in suicide research 2)

【その2】 このような自問自答を書き連ねてきて、1つ気づいたことがあります。それは、私が何を目的に自殺の原因を追い求めてきたのか、ということです。とても単純すぎて意識にのぼらなかったのですが、どうやら私は「自殺を止めたい」ようです。「原因」…

自殺の中世史 17 ─自殺史料紹介の悩み1─ (Issues and analysis viewing angle in suicide research 1)

【その1】 なんとなく気づいていたのですが、予想通り、「因果連鎖の問題」(1)に陥ってしまいました。「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないですが、桶屋が儲かったのは、ネズミが桶をかじったからなのか、猫が減ってネズミが増えたからなのか…、盲人が三…

自殺の中世史 17 ─日本の古代13─

「大治五年四月十四日付宇佐宮公文所問注日記」『小山田文書』 (『平安遺文』2158号文書、5─1868) (端裏) 「大工末貞勘状、友成任御判可領作之、」 公文所 問注御装束所検校末貞訴申同検校友成申詞記 問友成云、請被殊任道理、裁下給古作田子細…

自殺の中世史 16 ─日本の古代12─

【史料1】 「仁徳天皇即位前紀」『日本書紀』巻11 (『新編日本古典文学全集』3─27頁、小学館、1996) 太子曰「我知、不可奪兄王之志。豈久生之、煩天下乎。」乃自死焉。 「書き下し文」 太子の曰はく、「我、兄王の志を奪ふべからざることを知れ…