周梨槃特のブログ

史料紹介という修行

ライフワークの中間整理

自死の中世史 30 ─中世の説話9・説話のまとめ─

「死の道を知らざる人の事」十二『沙石集』巻第八ノ五 (『新編日本古典文学全集』52、小学館、2001) 天竺に、那蘭陀寺の戒賢論師と云ひしは、付法蔵の三蔵、やんごとなき智者にて、玄奘三蔵の師なり。重病に沈みて、苦痛忍び難かりければ、自害せん…

自死の中世史 21 ─自死紹介の悩み5─

【その5】 ここまで、だらだらと個人的な悩みを書いてきましたが、悩みは独白するだけでもある程度スッキリするものです。当たり前のことかもしれませんが、私は今後、自死を「行為」とみなし、①自死の原因・理由動機、②自死の目的動機、③目的遂行のために…

自死の中世史 20 ─自死紹介の悩み4─

【その4】 そうすると、「自殺念慮」という欲求は、いったいどこから生まれてきたのでしょうか。なぜ、人間は成長とともに死を望むようになるのでしょうか。こうした問題について1つの答えを与えてくれるのが、坂田登氏の論文(8)です。これは、生やセッ…

自死の中世史 19 ─自死紹介の悩み3─

【その3】 さて私は、自死によって実現される事態・価値を自死の「目的」と表現しましたが、ダグラス(Jack D.Douglas)という社会学者は、同様のものを自殺の「社会的意味」として追究しています。本来はダグラスの原著に目を通すべきなのですが、英語の著…

自死の中世史 18 ─自死紹介の悩み2─

【その2】 このような自問自答を書き連ねてきて、1つ気づいたことがあります。それは、私が何を目的に自死の原因を追い求めてきたのか、ということです。とても単純すぎて意識にのぼらなかったのですが、どうやら私は「自死を止めたい」ようです。「原因」…

自死の中世史 17 ─自死紹介の悩み1─

【その1】 なんとなく気づいていたのですが、予想通り、「因果連鎖の問題」(1)に陥ってしまいました。「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないですが、桶屋が儲かったのは、ネズミが桶をかじったからなのか、猫が減ってネズミが増えたからなのか…、盲人が三…

自死の中世史 13 ─古代史のまとめ─

ここまで古代の自死史料を9点紹介してきました。この他にもまだまだ史料はありますが、それは「自死の中世史10 古代史の研究紹介」で紹介した、鈴木英鷹氏の論文(注)の事例リストをご覧いただくとして、ひとまず考えたことをまとめてみようと思います。…

自死の中世史 〜はじめに〜

「数年前だったか、新聞紙上で、大宅映子さんのこんな行文にふれた。『死ぬとわかっていて、なぜ人間は生きてゆけるのか』、そういう根源的な問いに答えを出していくのが文学部というところだという、ある大学での講演のくだりである。」 鷲田清一「死なない…