周梨槃特のブログ

史料紹介という修行

ライフワークの中間整理(Interim report of suicide research)

自殺の中世史2─6 〜「自害」は必ずしも「自殺」に非ず〜

正治元年(一一九九)十月十三日条 (『猪隈関白記』2─3頁) 十三日、壬申、 (殿以下十一字、モト十二日條ニ記セリ、今符號ノ意ニヨリテ移ス) 晴、殿下令参院・内并長講堂、 (後鳥羽) 頭権大夫親経朝臣相具文書来、香椎宮神人貞正・宗友与石清水権寺主…

自殺の中世史 43 ─吾妻鏡のまとめ─ Analysis result of Azumakagami(The history book of the Kamakura shogunate)

ここまで、『吾妻鏡』に記された自殺を紹介してきました。鎌倉幕府の歴史書だけあって、武士らしく、戦さに関する自殺記事が多いように思います。そのなかでも注目しなければならなかったのが、「恥」でした。 以前、「自殺の中世史3〜17」で古代の史料を…

自殺の中世史 30 ─中世の説話9・説話のまとめ─ (Medieval Buddhist Tales 9 · Summary of Buddhist Tales)

「死の道を知らざる人の事」十二『沙石集』巻第八ノ五 (『新編日本古典文学全集』52、小学館、2001) 天竺に、那蘭陀寺の戒賢論師と云ひしは、付法蔵の三蔵、やんごとなき智者にて、玄奘三蔵の師なり。重病に沈みて、苦痛忍び難かりければ、自害せん…

自殺の中世史 21 ─自殺史料紹介の悩み5─ (Issues and analysis viewing angle in suicide research 5)

【その5】 ここまで、だらだらと個人的な悩みを書いてきましたが、悩みは独白するだけでもある程度スッキリするものです。当たり前のことかもしれませんが、私は今後、自殺を「行為」とみなし、①自殺の原因・理由動機、②自殺の目的動機、③目的遂行のために…

自殺の中世史 20 ─自殺史料紹介の悩み4─ (Issues and analysis viewing angle in suicide research 4)

【その4】 そうすると、「自殺念慮」という欲求は、いったいどこから生まれてきたのでしょうか。なぜ、人間は成長とともに死を望むようになるのでしょうか。こうした問題について1つの答えを与えてくれるのが、坂田登氏の論文(8)です。これは、生やセッ…

自殺の中世史 19 ─自殺史料紹介の悩み3─ (Issues and analysis viewing angle in suicide research 3)

【その3】 さて私は、自殺によって実現される事態・価値を自殺の「目的」と表現しましたが、ダグラス(Jack D.Douglas)という社会学者は、同様のものを自殺の「社会的意味」として追究しています。本来はダグラスの原著に目を通すべきなのですが、英語の著…

自殺の中世史 18 ─自殺史料紹介の悩み2─ (Issues and analysis viewing angle in suicide research 2)

【その2】 このような自問自答を書き連ねてきて、1つ気づいたことがあります。それは、私が何を目的に自殺の原因を追い求めてきたのか、ということです。とても単純すぎて意識にのぼらなかったのですが、どうやら私は「自殺を止めたい」ようです。「原因」…

自殺の中世史 17 ─自殺史料紹介の悩み1─ (Issues and analysis viewing angle in suicide research 1)

【その1】 なんとなく気づいていたのですが、予想通り、「因果連鎖の問題」(1)に陥ってしまいました。「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないですが、桶屋が儲かったのは、ネズミが桶をかじったからなのか、猫が減ってネズミが増えたからなのか…、盲人が三…

自殺の中世史 13 ─古代史のまとめ─ (Summary of suicide cases in ancient Japan)

ここまで古代の自殺史料を9点紹介してきました。この他にもまだまだ史料はありますが、それは「自殺の中世史10 古代史の研究紹介」で紹介した、鈴木英鷹氏の論文(注)の事例リストをご覧いただくとして、ひとまず考えたことをまとめてみようと思います。…

自殺の中世史 10 ─古代史の研究紹介─

自殺の中世史と言いながら、なかなか中世にたどり着かないまま、ここまで古代の史料を紹介してきました。古代の自殺を正面から分析した研究はないのかと思っていたのですが、最近その論文に出会えたので紹介します。こうした研究があると知っていれば、わざ…

自殺の中世史 〜はじめに〜 (Introduction)

「数年前だったか、新聞紙上で、大宅映子さんのこんな行文にふれた。『死ぬとわかっていて、なぜ人間は生きてゆけるのか』、そういう根源的な問いに答えを出していくのが文学部というところだという、ある大学での講演のくだりである。」 鷲田清一「死なない…