周梨槃特のブログ

史料紹介という修行

猿も井戸に落ちる!?

  文明十一年(一四七九)正月三日条 (『晴富宿禰記』165頁)

 三日庚申 晴

  (傍注)「定日不知之」上辺井中(以下割書)「慥不知其在所」山猿落入、軅出而

  去云々、風聞之間記之、

 

 「書き下し文」

 「定日之を知らず」上辺の井中に「慥かに其の在所を知らず」山猿落ち入る、軈て出でて去ると云々、風聞の間之を記す、

 

 「解釈」

 (日付も場所もはっきりとはわからないが、)上京辺りの井戸に山猿が落ちた。すぐに井戸から出て逃げ去ったそうだ。噂なのでこれを記載した。

 

 

 「注釈」

「上辺(かみわたり)」─京都の上京。

 

*なぜこんな噂話を記載したのでしょうか。上京の井戸だからか、山猿が井戸に落ちた

 からか。いったいこの噂のどこに、官務である壬生晴富は興味を持ったのでしょう

 か。なんとも不思議な記事です。いずれにせよ、室町時代の上京辺りには、野生の猿

 が闊歩していたようです。