五六 五郎右衛門田地売券
(端裏書) かのち
「⬜︎⬜︎光同二郎右衛門殿まいる 五郎右衛門」
永代ニうりわたし申田の事
(貫)
合壹段代⬜︎⬜︎文(以下割書)坪本助二郎分上のたいに」まち四谷のミちより下共ニ」
(實) (然)
右件の田の事、用用あるによつて、永代にうりわたし申ところしちなり、しかる
(間) (迷惑)
あいたわれくもめいわくについて、老もうのおやのかつめうをもつき候ハん
(料簡)
りやうけんなきにより候て、かくのことくしろかゑ候て、いくほとなき世をも見とつ
(扶持) (下地) (相違)
け候ハんためにて候、別儀のふちにうけ申へく候、若又かのしたちについてそうい
(儀) (古屋敷) (替)
のき候ハ丶、上の本下地之内ふるやしきをかゑ候て可レ進レ之候、いかなる天下一同
(徳政) (有間敷)
のとくせい行候て永代普代もとるとも、かの下地ニおき候て相違あるましく候、仍
爲二後日一如レ件、
(1506) かのち大いゑ
永正三年寅丙四月廿六日 五郎右衛門(略押)
「書き下し文」(可能な限り漢字仮名交じりにしました)
(端裏書)
「⬜︎⬜︎光同二郎右衛門殿参る かのち五郎右衛門」
永代に売り渡し申す田の事、
合わせて壹段代⬜︎貫文(以下割書)坪本助二郎分上のたいに」まち四谷の道より下共に」
右件の田の事、要用あるによつて、永代に売り渡し申す所実なり、然る間我々も迷惑
について、老耄の親の活命も尽き候はん料簡無きにより候ひて、此くのごとく代替え
候ひて、幾程無き世をも見とつけ候はんためにて候ふ、別儀の扶持に請け申すべく候
ふ、若し又彼の下地について相違の儀候はば、上の本下地の内古屋敷を替え候ひて、
之を進らすべく候、いかなる天下一同の徳政行ひ候ひて永代普代悖るとも、彼の下地
に於き候ひて相違あるまじく候ふ、仍て後日の爲件のごとし、
「解釈」(難しすぎてほとんど訳せませんでした)
永久に売り渡し申す田のこと。
都合一段 代⬜︎貫文(割書省略)
右の田のことは、お金の必要があって、永久に売り渡し申すことは事実である。そうしている間、我々も途方に暮れ、老いた親の命を支える方策も尽きてしまいました。何の思案もないことによって、このように土地をお金に替えまして、どれほどもない親の寿命を長らえさせようとしています。あなたの特別のお助けを受け申さなければなりません。もしまたこの下地について違乱がありますならば、上の本の下地のうちの古屋敷と替えまして、これを差し上げるつもりです。どのような天下一同の徳政令が行われ、永久の所有・代々の所有に反するとしても、この下地においては違約するはずもありません。よって、将来の証拠のため、売券の内容は以上のとおりです。
「注釈」
「二郎右衛門殿」─買主。未詳。
「かのち大いゑ五郎右衛門」─売主。未詳。23号文書に現れる。
「助二郎」─未詳。