六〇 久島郷除田差出案
久嶋のそき之事
一貫文 國正名之内八幡神田分
一貫文 かねやす名之内大さい神田
ゆめんともに
一貫文 國ゑた名之内東禅寺りやう
一貫五百文 むねもり名之内ちおん寺りやう
二貫五百文 しけ正名之内刀禰之きう分
一貫文 さんしきう 國しけ名
四百文 藤正名内山とうきう分
四百文 大さわ名之内かひりやう
百文 ゆめん御上様之御とうため
月に六日つゝ御ゆ
*書き下し文や解釈は省略します。
「注釈」
「八幡神田」─久島郷内の大町八幡神社か。20号文書から、放生会の費用として、一
貫文が免除されたものと考えられます。
「大さい神田」─久島郷内の大歳神社か。20号文書から、十月初亥祭りの費用とし
て、一貫文が免除されたものと考えられます。
「東禅寺分湯免」─未詳。久島郷内か近隣の寺院でしょうか。あるいは、豊田郡本郷町
南方にある真言宗御室派東禅寺(もと蟇沼寺)のことかもしれませ
ん。湯免は、湯屋の運営費用として免除された金額だと考えられま
す。
「ちおん寺」─20・61号文書より「慈恩寺」のことと考えられます。未詳。
「山とうきう」─木こりが持つ鉈を「山刀」と呼びます(『日本国語大辞典』)。2
0・61号文書に「東山御城こしらゑ時之山とう給分」と出てくるの
で、山を切り開いたり、木材を切り出すような労働に対して免除され
た給分かもしれません。
「かいりやう」─61号文書より、厳島社の神馬の飼料のこと。
「御上様」─未詳。