三 小早川隆景書状
(切封ウハ書) (鵜飼元辰)
「 鵜新右 隆景」
(先)
態申登候、横田了喜事、千年堺津切々差上せ辛労候、乍二重疊之儀一、爰許太篇
之普請ニ付而、遠國候条、可レ然衆登遣候儀不二相成一候間、彼者可二相頼一候、
此等之趣能々可レ被二申渡一候、謹言、
二月廿九日 隆景(花押)
「書き下し文」
態と申し登り候ふ、横田了喜の事、先年堺津に切々差し上らせ辛労に候ふ、重畳の儀
ながら、爰許太篇の普請に付けて遠国に候ふ条、然るべき衆を登り遣はし候ふ儀相成
らず候ふ間、彼の者相頼るべく候ふ、此れ等の趣能く能く申し渡さるべく候ふ、謹
言、
「解釈」
特別に申し上げます。横田了喜のことですが、先年堺津にたびたび上らせ、苦労させております。その働きにはこのうえなく満足しておりますが、こちらは大がかりな普請で遠国におりますため、適切な衆を派遣する件は叶わないので、横田了喜を頼りにするべきです。これらの内容を慎重に申し渡すべきです。以上、謹んで申し上げます。