八 小早川隆景書状(折紙)
追而鶴一羽差上せ候、一段新敷候、獵味之薬食別而祝着候、
(神保源右衛門尉) (包久景相)
神源右肝煎候由、神妙候、弥其心懸干要候、猶従二包次兵所一可レ申候、謹言、
十二月十六日 隆景(花押)
高又兵
神源右
「書き下し文」
神源右肝煎し候ふ由、神妙に候ふ、弥其の心掛け干要に候ふ、猶ほ包次兵の所より申
すべく候ふ、
追つて鶴一羽差し上らせ候ふ、一段と新たらしく候ふ、獵味の薬食別して祝着に候
ふ、謹言、
「解釈」
神保源右衛門尉があれこれと世話をしておりますことは、感心なことです。ますますその心掛けが大切です。さらに包久景相のところから申し上げるはずです。以上、謹んで申し上げます。
追伸。鶴一羽を進上してくれました。格別に新しいものでした。鳥獣の肉を食べることは、とりわけ喜ばしいことです。
「注釈」
「薬食」─くすりぐい。①冬に、保温や滋養のために猪、鹿などの肉を食べること。普
通、獣肉は穢があると忌んで食べなかったが、病人などは薬と称して食べ
た。②からだにとって栄養になるものを食べること(『日本国語大辞
典』)。