周梨槃特のブログ

いつまで経っても修行中

楽音寺文書45

    四五 小早川煕平書状

 

  去十八日之御書委細拜見仕候、」乍御返事巨細蒙仰候、誠畏入」存候、愚意

  之義委申入、御心中」委細蒙仰候、悦喜此事候、

 一若宮田事可先例之趣、」堅可申付候、先年諸公事不」申之由申て

  候ハんには、今度致」催促候事、無是非事候、以後」事申候者其通可

  有御返事候、」自然之時、見せられ候へきよし被仰候間、折帋一通進

  候、

 一薦口事委細承候、身か承候分」御心中同前之由承候、目出尤候、」身か所存之

    (令薫)

  通、琴江方へ委申候、」さてハ巨細貴所へ被申候ける、」更ニ不等閑之

                                 (幡)

  儀候、何事も」不足題目候者、煕平方へ直」可仰候、」 八満大菩薩

  も御」照覧候へ、更以不等閑候、如此」申候も事新敷候へ共、心中」

  委細申度候て如此申候、猶々」くわしき事、真田助六近日」下候間、其時可

  申候、

 一管領御上表あるへきよし、御申」候へとも、かたく被仰付候間、畏入候」よし

  御申候、目出候、恐々謹言、

   (文安元年ヵ)(1444)

    二月廿九日     煕平(花押)

  法持院

    御返報

 

 「書き下し文」

  去んぬる十八日の御書委細拜見仕り候ふ、御返事ながら巨細仰せを蒙り候ふ、誠に畏れ入り存じ候ふ、愚意の義委しく申し入れ、御心中委細仰せを蒙り候ふ、悦喜此の事に候ふ、

 一つ、若宮田の事先例の趣に任すべく、堅く申し付くべく候ふ、先年諸公事申すべからざるの由申して候はんには、今度催促致し候ふ事、是非も無き事に候ふ、以後の事申し候はば其の通り御返事有るべく候ふ、自然の時、見せられ候ふべき由仰せられ候ふ間、折帋一通之を進らせ候ふ、

 一つ、薦口の事委細承り候ふ、身が承り候ふ分御心中同前の由承り候ふ、目出ること尤もに候ふ、身が所存の通り、琴江方へ委しく申し候ふ、さては巨細貴所へ申され候ひける、更に等閑の儀存ぜず候ふ、何事も題目に足らず候はば、煕平方へ直に仰せを蒙るべく候ふ、八幡大菩薩も御照覧し候へ、更に以て等閑を存ぜず候ふ、此くのごとく申し候ふも事新しく候へども、心中委細申したく候ひて此くのごとく申し候ふ、なおなお委しき事、真田助六近日下り候ふ間、其の時に申すべく候ふ、

 一つ、管領御上表有るべきよし、御申し候へども、堅く仰せ付けられ候ふ間、畏れ入り候ふ由御申し候ふ、目出候ふ、恐々謹言、

 

 「解釈」

  去る二月十八日のあなた様からの御返状を、詳しく拝見いたしました。お返事でありましたが、詳細なご存念をお聞きすることができました。まことに恐縮しております。私の考えを詳しく申し入れ、あなた様のお心の中の詳しいご存念をお聞きしました。たいそう喜ばしいというのは、このことです。

 一つ、若宮田のことは以前の取り決め(諸公事免除?)のとおりにし、厳密に申し付けなければなりません。先年、諸公事を賦課し申すつもりはないと私から申しておきながら、今度催促いたしましたことは、仕方のないことです。今後、諸公事の賦課を申し付けることがありますなら、先例のとおりに(諸公事免除であると)お返事になってください。万一のときに、我々にお見せになるつもりだとおっしゃられましたので、(その確約を記載した)折紙一通を進上いたします。

 一つ、薦口のことについては、詳細に承りました。私が承知しました件は、あなた様のご心中と同じであるとお聞きしております。いかにも素晴らしいことです。私の考えのとおりに、琴江令薫方へ詳しく申しました。(こちらから申し上げず)そのまま琴江令薫が詳しくあなた様に申し上げなさいましたが、だからといって、私はあなた様をまったくいいかげんには思っておりません。何事も条件に足りないのであれば、私(煕平方)へ直接ご存念をお聞かせください。八幡大菩薩もご照覧ください。まったくいいかげんには思っておりません。このように申し上げますのもわざとらしいのですが、私の心中を詳しく申し上げたいので、このように申し上げました。さらに詳しいことは、真田助六が近日下向しますので、そのときに申し上げるつもりです。

 一つ、畠山持国管領を辞職するつもりだ、と申し上げなさったのですが、足利義政から厳しく留任を命じられましたので、謝罪して撤回します、と申し上げなさいました。すばらしいことです。以上、謹んで申し上げます。

 

*多くの箇所で、解釈に不安があります。

 

 「注釈」

「琴江令薫」

 ─小早川春平の二男で、出家したのち米山寺・永福寺(本郷町)などの住持をつとめ,その後京都東福寺129世に出世しています(「紙本著色琴江令薫像」『三原市の市指定文化財https://www.city.mihara.hiroshima.jp/site/kyouiku/si-sitei.htmlhttps://www.city.mihara.hiroshima.jp/uploaded/attachment/3401.pdf)。

 

「薦口」─未詳。地名か。