周梨槃特のブログ

いつまで経っても修行中

三原城城壁文書1・2

 【三原城城壁文書(県立三原高等学校所蔵)】

解題

 本文書は三原城の城壁裏に貼られていたものであり、破損が著しい。この文書は楢崎氏と三原高等学校に分有されているが、この間の事情について、三原高等学校所蔵文書の奥書につぎのように記されている。

 本書者貼附于三原城紙壁裡者也、其完全者数十通保存於楢崎家、既遂東京帝国大学史料編纂局之監査、不完備者数葉楢崎亨造氏贈之于余、今纏之一紙永久欲保存之焉、

  昭和十一年九月下澣    沢井常四郎

 なお、沢井常四郎氏に贈られたものは、のちに三原高等学校で教鞭をとられた沢井一夫氏(常四郎氏子息)によって同校社会科研究室へ寄贈され、現在に至っている。

 

 

    一 安国寺恵瓊書状(切紙)(断簡)

(前闕)

「                         」

 [   ]相[     ]無[    ]被[

                 安国寺

       ]月六日         恵瓊(花押)

 

 

 

 

    二 毛利輝元自筆書状

      (包紙ウハ書)

      「

        [    ]人々申給へ   少輔太郎輝元」

(一)     (安国)

 □[   ]□□寺下向候於趣者、[   ]候間不能詳候、[   ]

(相) (恵瓊)       (不)

□調安国寺給候間、[  ]□相違候、

(一)        然処

 □安国寺爰元下着候、翌日自 公方様御使僧被差下候、

 一其趣者、今度就御帰洛之儀、安国寺差上御祝着被思召候、いつれ重而織田か

                     (改ヵ)

  対面所もいかゝ候、第一表裏之者候間、御□心も有之事候条、無御同心□、然間

         (座候)

  至紀国ニ被成御□□、弥御心安御安座あり度候条、毛利分国之はしへも可被成

  御下向候分別も候ハヽ、可為御祝着候由御意候、使僧向上如此候、

 一御内書も隆景元春我等へ御座候、御帋面ニハ安国寺差上儀被下候、

 一去年之秋直之御左右ハ無之、たゝたゝ風聞ニさへ互ニ各仰天、無申斗事候つ、

  如此被成御意候時ハ、何ともさらニ迷惑此時候、其表又先御」

 (後闕)

 

 「書き下し文」

 一つ、[   ]安国寺下向し候ふ趣に於いては、[   ]候ふ間、詳らかにする能はず候ふ、[   ]相調ひ安国寺給ひ候ふ間、相違せず候ふ、

 一つ、安国寺爰元に下着し候ふ、然る処翌日公方様より御使僧を差し下され候ふ、

 一つ、其の趣は、今度御帰洛の儀に就き、安国寺を差し上ぐること御祝着に思し召され候ふ、いつれ重ねて織田か対面所もいかが候ふ、第一表裏の者に候ふ間、御改心も之れ有る事に候ふ条、御同心無し、然る間紀の国に至り御座成され候ふ、いよいよ御心安・御安座ありたく候ふ条、毛利分国の端へも御下向に成らるべく候ふ分別も候はば、御祝着足るべく候ふ由御意に候、使僧の向上かくのごとく候ふ、

 一つ、御内書も隆景・元春・我らへ御座候ふ、御紙面には安国寺差し上ぐる儀下され候ふ、

 一つ、去年の秋直の御左右は之無し、ただただ風聞にさへ互におのおの仰天し、申すばかりの事も無く候ひつ、此くのごとく御意を成され候ふ時は、何ともさらに迷惑此の時に候ふ、其の表また先づ御」

 

 「解釈」

 一つ、[   ]安国寺恵瓊が下向します件については、[   ]ですので、明らかにすることはできません。[   ]調整して安国寺にお与えになりましたので、それに背くことはありません。

 一つ、安国寺がこちらに下着しました。そうしたところ、翌日公方足利義昭様からご使僧が差し下されました。

 一つ、その内容は、今度ご帰洛の件について、安国寺を使者として遣わしたことを、たいへん喜ばしいこととお思いになっております。いずれ織田信長の対面所で再び会うのもどうでしょうか。信長はまずもって裏切り者ですので、いずれご改心になることもあるという考えには、公方様はまったくご同心にならない。そうしているうちに、公方様は紀州にお移りになりました。ますますご安心になり、落ち着いてお暮らしになりたいので、毛利分国の端へでもご下向になってもよいという考えが、そちら(毛利側)にありますのなら、たいへん喜ばしく満足であるというお気持ちです。私(使僧)の訪問はこのような件を伝えるためです。

 一つ、御内書も小早川隆景吉川元春・我ら(毛利輝元)へありました。ご紙面には安国寺を遣わすようお命じになっています。

 一つ、去年の秋以来、直接お便りを交わすことはなかった。ただただ噂で互いの情報を聞いてそれぞれに仰天し、言葉を申し上げることもできませんでした。このように、お考えを思い付かれましたときは、何も伝えないのはまったくもって迷惑の至りです。また、その文書の事柄はまず〜」

 

 

*書き下し文・解釈ともに、まったくわかりませんでした。

とある解答例

  二〇一四年 神戸大・前期

 

第1問 『〈装うこと〉の倫理』(80点)

 問1 漢字問題(2点×5=10点)

  ⒜憂 ⒝紡 ⒞銘記 ⒟糧 ⒠悲惨

 

 問2 内容説明問題(14点)

身体の装いは、②」他者の関心と意味づけを誘導・制御することで、④」得体のしれない他者の主観的な理解や意味づけによる不安を④」低下させ、免れる自己所有の試みであるということ。④」(80字)

 

 問3 内容説明問題(14点)

身体を装う者は、②」他者に対する自己の身体の見え方を反省的に選択・形成するという、④」他者との応答関係を通じて、④」自律した社会的主体性を獲得するようになる、ということ。④」(79字)

 

 問4 内容説明問題(14点)

ファッションにおいて差異化を追求するのは、③」内容的な価値を目指しているのではなく、③」自己の独自性や個性的なアイデンティティを、④」他者に認知させるのが目的だということ。④」(80字)

 

 問5 内容・全体説明問題(28点)

身体を装う者は、②」自らの身体を掌握するだけでなく③」他者との応答関係を通じて③」自律的な自己を伴った社会的主体性を獲得しようと企てるが、④」自己の独自性や個性的なアイデンティティを追求することで、④」差異化の参照項となる選択も制御もできない④」流動的な他者のふるまいに振り回される結果、④」そうした自己所有の企ては挫折に終わってしまうということ。④」(160字)

 

 

 

 

 

 

 

第2問 『古今著聞集』(40点)

 問1 文学史問題  エ(1点)

 

 問2 内容説明問題(1点×2)

高倉の判官章久(が)小殿の身柄(を受け取る)

 

 問3 現代語訳問題(4点×3)

  ① 自分の命をあなたにお任せ申し上げて②」何の甲斐(価値)があるはずがござい(あり)ましょうか、①」いや何の甲斐もございません。①」

  ② 私は一生①」捕らえられることもないままで①」いることのできる身でも①」ございません。①」

  ③ 長年作っておいた牢屋をすべて取り壊して②」仏像を安置する場所として作り直しなどして、②」

 

 問4 文法問題(1点×4)

  「からめ」─動詞・下二段・未然形   「させ」─助動詞・使役・連用形

  「まゐらせ」─動詞・下二段・未然形  「ん」─助動詞・意志・終止形

 

 問5 心情説明問題(13点)

悪行を重ねながらの逃亡生活に苦悩し、③」やがては捕らえられる恥辱を思いはかり、②」また一方では罪を償うために進んで自首してきた③」小殿の殊勝さに、②」章久が感動している気持ち。③」(80字)

 

 問6 内容説明問題(8点)

小殿のような改心した悪人は、②」一般の者よりかえって②」何事もしっかりと働き、②」役に立つ者だということ。②」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第3問 『百喩経』(30点)

 問1 内容説明問題(4点)

声を出した者には餅を与えないこと。

 

 問2 読み問題(1点×3)

  ② もし   ③ まさに〜す  ④ すなわ(は)ち

 

 問3 現代語訳問題

  ⑤ なんという愚かな人か、②」餅一つのために①」盗賊にあっても①」叫ばないとは。①」(5点)

  ⑥ もう(二度と)①」お前には①」餅をやらない①」。(3点)

 

 

 問3 書き下し問題(7点)

こけ①」ぼんのうの①」しゅじゅの①」あくぞくの①」しんりゃくするところ①」となる。②」

 

 

 問4 内容説明問題(8点)

夫が餅一つのために②」夫人の危機を見ながら黙っていたように、②」煩悩などの悪に②」心が侵されてしまっている人。②」

 

 

  二〇一五年 岡大・前期   /200点

 

第1問 伊藤邦武『物語 哲学の歴史』  /50点

問1 漢字問題  /8点(=2点×4)

 ア 蓄積  イ 根幹  ウ 統制  エ 体系

 

問2 内容(変化・推移型)説明問題  /8点

「解答例」

宇宙や生命についての説明原理が、②」神々を主体とする擬人的な物語から、②」より理性的な原理や人間の本性をもとにした理解へと変化したこと。④」

 

①今回の設問は、変化・推移型の説明問題だったので、4段落・2行目の「変化」という言葉に気づくことが先決だった。解答要素はこの言葉を含んだ一文。ついでに説明しておけば、この変化・推移型の解答要素は、(A)変化前、(B)変化の要因、(C)変化後の説明で構成される。ただし、文章の内容や字数制限によっては、(B)のポイントは書けないこともある。今回も不要だった。

②改めて具体的な解答要素を示せば、4段落の1・2行目「この宇宙と生命について〜徐々に変化していって」までになる。設問条件は「考え方の変化」を説明することだったので、この部分から「鉄器文化が成熟して都市文化の規模が大きくなるにつれて」という余計なポイントを削除すれば、解答はできあがる。

 

 

問3 内容説明問題  /12点

「解答例」

魂は世界中の生命体のすべてが、④」その生命の原理として持っているものであり、④」生命維持と精神活動の両方の機能を果たしている、という考え方。④」

 

①たんなる指示語の問題。傍線部(イ)の3行後に「これが、非常に〜古代世界の共通の見方であったと思われる」とあるので、「これ」の指示先、つまり「生命の原理である〜近似した考え方。」が解答の骨子となる。

②ただし、これだけでは解答欄が埋まらないので、もう少し言葉を足す必要があった。傍線部(イ)の1行前に、「世界のうちなる『生きているもの』すべてがその生命原理として持っているもの」という「魂」の定義説明があるので、これを書いておけば完璧な答案になる。

 

 

問4 内容説明問題  /10点

「解答例」

「気」は形而下の実在的な世界の変化と運行とに関わる説明原理であり、⑤」「理」は形而下の世界の背後にある②」形而上の世界の論理的な説明原理である(、と説明している)。③」

 

①「気」と「理」の説明は、傍線部(ウ)の6・7行後「他方、中国では〜考え方もあった」なので、それをほぼ書き抜けばよい問題だった。ただし、これは書き抜き問題ではなく、内容説明問題なので、解答要素の取捨選択やまとめ直しが必要だった。たとえば、「目に見える現象」とは「形而下」の言い換えなので、どちらかを一方を使えばよいのだが、「理」の説明に「形而上」という言葉があるので、その対比として「形而下」という言葉を解答に採用したほうがよいことになる。こういうポイントにも注意を払っていけば、制限字数内に収められた満点答案が出来上がる。

②上記のように、使うべき表現を絞り込んでまとめ直しをすると、もう少し解答要素を加えることができるようになる。傍線部(ウ)の2行後に「世界の変化と運行の原理を普遍的に司るいわゆる『気』の原理」という表現があるので、「気」の補足説明として書き足しておけば満点答案になった。

 

 

問5 理由説明問題  /12点

「解答例」

日本の霊魂観の理論的中核は、③」土着の思想としての「アニミズム」に②」インド・中国由来の伝来思想が混入し、③」それらが渾然一体となって形成されていたものだから。③」

 

①今回の問題は理由説明だが、内容説明と同様に、まずは傍線部の表現の言い換え箇所を探すことからスタートすればよかった。傍線部に書いてあるように、「魂の理解」が「多様で複雑に屈折し」ているのであるから、「多様で」「複雑に屈折し」た魂の理解の仕方を、本文から拾い上げなければならない。

②では、「多様で複雑に屈折した」状態はどこに書いてあったのか。それは傍線部(3)の6行後以降。基本、ここからの一文を書き抜いておけば解答は仕上がった。

 

 

 

第2問 高田郁「ムシヤシナイ」  /50点

問1 作品視点説明問題  /10点

「解答例」

「人生を諦めた様子」は弘晃の内面を推察した表現であり、④」「胸に応える」は路男の内面をそのまま表現した言葉なので、④」路男の視点だとわかる。②」

 

①弘晃の姿は「人生を諦めた様子」と説明されていることから、弘晃の内面(心情)は、別人(つまり路男)から推測されていることがわかる。弘晃の視点から語るのであれば、「人生を諦めた弘晃が」というような表現になる。

②「胸に応える」は、路男の主観的心情をそのまま表現した言葉なので、ここからも路男の視点だとわかる。弘晃の視点から語るのであれば、「路男は胸に応えているようだった」というような表現になる。

 

 

 

 

問2 理由説明問題  /13点

「解答例」

包丁の音は「ざく、ざく」というぎこちない状態から、③」「さく、さく」と柔らかくなり、③」最後に「とんとんとん」と軽やかに変化しており、③」それを弘晃の身体と気持ちの強張りが取れて軽くなっていたことになぞらえようとしたから。④」

 

①この問題は一見すると、たんなる理由説明のようにみえるが、いわゆる「情景描写」の問題になっている。筆者は風景(今回は人の様子)と登場人物(弘晃)の心情を一致させて描いているので、そこを読み切る必要があった。

 そもそも文学文(小説文・随筆文)の問題では、必ずと言ってよいほど「心情」が問われる。設問に「心情を説明しなさい」という条件が記されてなくても、解答要素に「心情」を含めるべきだと思っておいたほうがよい。

②では、包丁の扱い方の変化から、どのような心情を読み取ればよいのか。まず解答要素の1つである、傍線部⑴の8行前「〜柔らかな音へと変化していった」に続く形で、「それにつれて、弘晃の身体の強張りは取れ、表情も少しずつ穏やかになっていく」と表現されている。つまりここから、包丁の音の変化は技術の変化だけでなく、心の変化も表していることに気づけた。

 また、傍線部⑵の4行後に「大丈夫」と技術の状態を誉める発言があるが、さらにその3行後に「弘晃、お前はもう大丈夫やで」、その6行後に「弘晃、もう何も心配要らんで。」と、「大丈夫」の言い換えが続いていることに気づかなければならなかった。もしこれが技術だけの「大丈夫」であれば、弘晃は路男のもとに、料理の修行に来たことになる。

 そして決定的だったのは、傍線部⑶の5行前「来た時とは別人のような、晴れやかな笑顔だった」という箇所で、ここからも、包丁の音の変化と弘晃の心情変化が一致していたと見みるべきだった。

 以上の点を踏まえると、ネギを切る音の軽さは技術の上達だけでなく、「悩みの解消」や「人間としての成育」をも意味していたと理解することができる。

 

 

問3 書き抜き問題  /4点

「正解」 「あ……」

 

*解説省略。

 

問4 内容説明問題  /10点

「解答例」

問題の根本的な解決にはならないが、②」一時的にでも強張った気持ちをほぐしてもらい、④」前向きになるきっかけを手に入れる、という意味。④」

 

*傍線部⑶には「ムシヤシナイさせてもらいに、オレ、何度でも来る」と書いてある。また、問題文の「注1」には、「ムシヤシナイ」の一般的な意味として、「一時的に空腹を紛らわすこと」と書いてある。以上2点を踏まえて、「ムシヤシナイ」は「根本的な解決にはならないが、一時的に現状を改善させる対処療法だ」という方向で解答を作りたかった。

 

問5 心情説明問題  /13点

「解答例」

久々に会った孫との別れを寂しく思いつつも(or たった三日しか過ごせなかったことを寂しく思いつつ)、③」悩みを抱えていた孫の気持ちが解きほぐれ、③」駅蕎麦の仕事の大切さを理解してくれたことを嬉しく思い、③」次の客を新たな気持ちで迎えようとする晴ればれした心情。④」

 

①この設問は心情説明問題なので、まず、傍線部⑷直前の2文「ムシヤシナイ…〜声に出してみれば、胸に宿っていた寂しさが消えて、路男はからからと笑い声を上げる」という心情表現に注目しなければならなかった。

 ここからまず「寂しさ」が読み取れるのだが、なぜ寂しかったのだろうか。寂しいと感じる出来事や背景が、必ず問題文中に書いてあるはずなのだが、その際、きちんとリード文や注釈にも目を通しておく必要があった。今回の場合、リード文の2行目から、弘晃との再会は幼少期以来であったことがわかる。また、本文からは、滞在期間は3日だったこともわかる。これらに注目して「たった3日しか過ごせなかったことを寂しく思いつつ」などと説明しておく必要があった。あなたの答案には、このポイントが欠けていたので3点減点。

②次に、リード文3行目からも明らかなように、弘晃はもともと駅蕎麦の仕事を否定的に見ていた。これが傍線部⑶になると、ムシヤシナイを肯定的に捉えるように変化する。よって、駅蕎麦の仕事を、弘晃が大切に思ってくれるようになったことも、嬉しさ(笑い声を上げる)のポイントとして説明しておくべきだった。あなたの答案には、このポイントが欠けていました。6点減点。

③最後に、傍線部⑷自体の言い換え・補足説明をしておく必要があった。「次の電車の入線」とは、新しい電車がやってくることであり、新しい電車に乗っている新しいお客がやってくることを意味する。孫と離れることを寂しく思っていたが、晴れやかな笑顔で去っていく孫を見て嬉しくなり、次の客を新たな気持ちで迎えられるようになった、と読み取りたかった。あなたの答案には、傍線部の言い換え・補足説明のみがなされているだけでした。4点加点。

 

 

第3問 『源氏物語』  /55点

 問1 条件付き現代語訳問題  /21点

「解答例」

  ア あの女君(花散里)に(も・にも)②」もう一度会わなければ②」

    自分(私)を①」薄情だと②」思うだろうか①」(/8点)

  イ 源氏の君が②」このように①」別れを惜しむ者の①」

    数に入れて③」くださって①」(/8点)

   *「別れを惜しむに値する」というニュアンスが必要でした。1点減点。

 

  エ 再びはできようか、③」いやできまい②」(/5点)

    or 二度と(再びは)できないのだろうか⑤」

 

 問2 現代語訳問題  /10点

「解答例」

  ウ お礼を③」申し上げ①」なさる①」(5/5点)

  オ 世間の目に②」気兼ねして(〜に遠慮して・を憚って)③」(0/5点)

 

 問3 内容説明問題  /10点

「解答例」

源氏が都を離れ②」自身の庇護がなくなってしまうと、③」花散里の邸宅が②」ますます荒廃する、ということ。③」

 

*あなたの答案には、「源氏の庇護がなくなる」というポイントがありません。本文の「この御蔭に隠れて」の部分を説明に生かしたかったです。3点減点。

 問4 内容説明問題  /14点

「解答例」

女君は月光を源氏にたとえ、①」自分のもとへ光源氏を引き留めて、①」飽きることなくすばらしい姿を見ていたい、②」と悲しんでいるが、①」光源氏も自身を月にたとえ、①」曇っても巡りめぐって澄む月のように、②」自分もしばらく須磨に退去するが、②」必ず帰京して一緒に住むはずだから、②」嘆かないでほしいと慰めている。②」

 

*あなたの答案ですが、和歌(Ⅰ)の解釈をもとにした前半の説明は問題ありません。しかし、和歌(Ⅱ)の解釈ができていないため、後半の説明が不適切でした。とくに、「掛詞」に気づけなかったところが痛いですね。以前に授業で話したように思いますが、掛詞は「ひらがな」の言葉に注目して探してほしいのです。当時の人々にしても、漢字で表記されてしまうと、掛詞に気づきにくいですからね。今回の場合、「すむ」は「澄む」と「住む」が掛詞になっていました。この点を踏まえると、「月の光が結局は澄み渡るように、私も結局はあなたのもとに住むはずだから」などと解釈しておきたかったのです。6点減点。

 

 念のため、和歌(Ⅱ)だけは、直訳重視の解釈を書いておきます。意訳については赤本の現代語訳を参考にしてください。

 

 空を巡りめぐって、結局は澄む(=はっきりと姿を見せる)はずの月光が、しばらくの間曇って見えなくなっているような空を眺めて、物思いに耽っては(=悩んでは)ならないように、結局は私も都に戻ってあなたと住むはずですから、しばらくの間明石へ下向して都からいなくなることを悩んではなりませんよ。

 

 

第4問 袁枚『小倉山房文集』  /45点

 問1 現代語訳問題  /12点

「解答例」

漢の高祖はどのような人徳があって④」(前漢)王朝を創始し、④」諸葛亮はどのような罪があって死んだのか。④」

 

*あなたは、「興」の解釈を少々間違えています。「興」については、「勃興」などという熟語を思い出し、王朝が創始・創建・成立するなどという説明をしてほしかったです。(注三)の説明がそのまま使えましたよ。

 問2 書き下し問題  /8点

「解答例」

なほ(なお)②」ひとの①」ありにおける②」がごとき②」か①」

 

*少々判断の迷うところですが、あなたの答案の文末の「や」は「か」にしたほうがよいです。通常、疑問文を書き下す場合、疑問の終助詞のみであれば、「〜連体形+か」と表記し、疑問の副詞と終助詞のセットであれば、「〜連体形+や」となります。

 

 問3 空欄補充問題  /10点

A 賞罰     B 功禍

 

*解説は省略。

 

 問4 主旨説明問題  /15点

「解答例」

蟻が善悪功罪を叫び論じても③」人は気づかないように、③」天も人には無関心な(天も人の言動には関知しない)はずだから、③」天は意図せず人に功禍を与えても、③」意図して賞罰を与えることはない。③」

 

①今回は、漢文にありがちな、比喩と主張の類比を説明する問題だった。これを解くためには、まず波線部を具体的に復元することから始めなければならない。波線部を直訳すると、「しかし、人間は見聞きすることはない」となるので、当然、何を見聞きすることがないのかを考えてみる。とりわけ、「聞く」という言葉に注目すれば、直前の「蟻が善悪功罪を切実に叫び、人間に向かってその正否を論じること」を指すとわかるはず。

②翻って、この人間と蟻の関係は、天と人間の関係のアナロジー(類比)であることに気づきたかった。ポイントは傍線部(2)を含んだ一文「然則天之于人、猶人之于蟻乎」の解釈。以前、授業でも触れましたが、「A於B」(=AのBに於けるや)は、「AのBとの関係」と訳しましたよね。つまりこの部分は、天と人間との関係は、人間と蟻との関係と同じだ、と言っているのです。そうすると、人が蟻の叫びを見聞きしないように、天も人の叫びを見聞きしないことになります。これを解答の骨子にして、「意図しない功禍」と「意図した賞罰」の説明を加えておけば、解答は仕上がります。

 

 

  二〇一五年 大阪大(文以外)・前期  合計/150点

 

 第1問 許光俊『クラシック魔の遊戯あるいは標題音楽現象学』  /50点

問1 漢字問題  /10点(2点×5)

 ⒜手際  ⒝看過  ⒞繊細  ⒟無邪気  ⒠止揚

 

問2 類義語問題  /5点

 ウ

 

*「捏造」は一から事実無根の嘘を作り上げることで、「歪曲」はもともとあった事実を改変することです。

 

問3 内容説明問題  /10点

 演奏家の演奏は①」楽譜の能う限りの再現を目指し、③」個別的な音として具体化することで、③」楽譜を越えた美を創造するものだということ。③」

 

*傍線部(2)の直接の言い換えが、傍線部(1)の直後の一文であることに気づけば、解答の骨子はできあがる。あとは、「この現象」という部分を、傍線部(2)の2行前や、傍線部(1)の2行後の表現を使いながら、「演奏家が楽譜をもとに実際の音として具体化すること」などとを説明しておけばよい。

 

 

問4 理由説明問題  /25点

 チェリビダッケが指揮した演奏では、②」演奏家どうしや聴衆など、その場にいる者が同じ呼吸をすることで、③」指揮する・させる、聴く・聴かせる二分法から脱し、③」作曲家と指揮者と演奏家と聴衆が一つとなることによって、③」真の感覚の洗練された、思念の深さのある音楽が創造されている。③」このように音楽とは経験であるため、②」CDに録音された音源を聴いたとしても、②」現場に聴衆として参加しているわけではない以上、②」生演奏でなければ感知できないその場の雰囲気は伝わってこないため、③」演奏の一体感によってもたらされる音楽の経験を得られないから。②」

 

①解答要素の大部分は、傍線部(3)を含んだ一段落分にある。最も重要なポイントは、傍線部(3)の2・3行前「〜そのときその場で作曲家と指揮者と演奏家と聴衆の区別すらもがなくなっていた〜音楽とは経験である」である。つまり、生演奏でなければ経験できない感覚を、CDで聞き取れることはできないだろう、というのが傍線部の主張の理由となる。

②傍線部⒟の後に、ラヴェル版の演奏を批判した「真の感覚の洗練も、思念の深さもあったものではない」という表現は、チェリビダッゲの演奏の反対の説明になるので、これも加えておきたかった。

 

 

 第2問 『大森荘蔵著作集 第五巻』  /50点

問1 理由説明問題  /12点(6点×2)

(Y)「自然」は微粒子の集合にすぎず、②」音、味、色などの感覚は事物の性質ではなく、②」脳をつくる粒子の運動である②」

 

*傍線部(A)の直前の二文でほぼ解答要素は出揃う。この捉え方が「物的自然」観や自然科学の考え方であり、非常識な見方になる。また、傍線部(B)の直前の一段落分にも、物的自然観の説明があるので、ここから、「音、味、色などの感覚は事物の性質ではない」というポイントを押さえておきたかった。

 あなたの答案は完璧でした。

 

(N)「自然」という事物に、②」音、味、色などの性質がついており、②」私たちはそれを感覚化してとらえている②」

 

*否定の解答は、肯定の反対を考えればよい。つまり、「音、味、色などの感覚は事物の性質である」ということになる。あなたの答案には、このポイントがないので2点減点。

 また、4段落目の最終文「〜『音がする』のは自然の中の出来事ではなく、感覚の中の出来事なのである」という表現から、事物の性質を感覚として捉えていると説明しておきたかった。

 

問2 理由説明問題  /14点

 自然は事物にすぎず、①」私たちに感覚をひきおこす性質を持つだけだとする②」物的自然科学による結論は、②」「物的自然」と「意識」と区分する二元論であるが、②」それは物的自然という概念をたてながら、②」その解釈をゆるめて物的自然を感覚化してとらえる②」私たちの日常生活における①」常識の智恵に反するものであるから。②」

 

①まずは「この結論」の言い換えからスタートする。指示先は直前であり、簡単にまとめておけば、「感覚は事物の性質ではなく、事物には感覚を引き起こす性質がある」となる。そして、この見方が傍線部(B)の直後にあらわれる「物的自然の科学である自然科学」の見方であることも指摘しておく必要があった。

②次に、この物的自然観がなぜ非常識かを考える。そのためには、まず「常識」が何かを理解しておかなければならない。常識は傍線部(B)の次の行に書いてあった。つまり、感覚は事物の性質ではないという物的自然観をもちながらも、その枠を緩めて物的自然に感覚を見る。これが常識の智恵だった。

③最後に、非常識そのものの説明を拾い上げる。場所は傍線部(B)の次の段落。この部分を見ると、「物的自然」と「意識」の徹底した二元論が、非常識であると述べられている。つまり、自然科学は「物的自然」と「意識」をきちんと区別しているのだが、日常生活的な常識では、両者の区別を曖昧にしている。だからこそ、「この結論」=「自然科学の見方」は非常識に見えるのである。

 

 

問3 空欄補充問題  /4点

 ウ

 

*「物的自然」と「意識」の区別を曖昧にしている私たちの日常が、非日常的に緊張することで、常識には馴染まない奇妙な思想が生まれるという状況を想定してみる。。

 例えば、りんごの甘さをりんごの性質とみなしてきた日常が、新型コロナの後遺症の影響によって味を感じなくなってしまった場合、自分の運命、生死、脳と意識の問題については考えますよね。あるいは、鎮守の森の神聖さを森自体の性質とみなしてきた日常が、自然科学的思想の影響によって人間の意識の問題に過ぎないと気づいた場合、森林伐採は神を冒涜する悪から、人間の利益になる善へと変化しますよね。つまり、道徳的思考にも影響を及ぼします。「法と社会」のみ、「物的自然」と「意識」の区別の厳密化しても、何の影響も受けません。

 

問4 理由・全体説明問題  /20点

 私たちは「物的自然」と「意識」とを区分する②」科学的二元論の非常識に適度に馴れ、②」日常的常識と科学的常識を上手く扱って適当に使い分けているが、②」日常的な場面で穏やかに馴染ませた二元論は、②」非日常的に緊張した場面では、②」常識には馴致できない奇怪な思想を生み、②」不安を感じさせる。②」これらの思想に真正面から立ち向かうには、②」二元論の発生の経緯や論理的構造、短絡と思いこみを精緻に分析し、②」二元論を正視しなければならないから。②」

 

①まず、傍線部(C)の言い換えが、内容からも、表現の末尾部分「必要となる」からも、直前の一文「〜正視することが必要不可欠となる」であることに気づきたい。また、この「正視すれば」の言い換えが、さらにその直前の「それらに真正面から立ち向かう以外にはない」であることに気づけば、「これらの思想から逃れることができないとすれば」という部分が、傍線部(C)「二元論の解剖学が必要となる」理由だとわかる。つまり、これらの思想から逃れられないから、二元論の解剖が必要になるという筆者の主張を読み取りたかった。

 ちなみに、「つまり」以前の表現が「二元論の解剖学」の言い換えになっているので、ここも解答要素として使用しなければならない。

②次に、「これらの思想」の指示先を探す。直接の指示先は2行前の「これらの思想」であり、そのさらなる指示先はその右横の「常識には馴致できない思想」だとわかる。そして、そのさらなる指示先は、その右横の「様々な奇怪な思想」だとわかる。この三文を引用すれば、これらの思想に関する要素はすべて出揃うことになる。

③解答要素の一つとして右に示した「常識には馴致できない思想がそこから生まれてくる」には、指示語が含まれている。したがって、「そこ」の指示先である空欄(1)の右横「日常的な場面でおだやかにかい馴らされた二元論は、非日常の緊張した場面」も解答要素としなければならなかった。

 ただ、これだけでは字数が埋まらないので、「日常的な場面でおだやかにかい馴らされた」の補足説明として、空欄(1)の前段落の表現「日常的常識と科学的常識をうまくあやつって適当な使い分けをしている」や、「科学的に言論の非常識に適度に馴れ、それを適当にあしらっている」を使えば、制限字数に達する。

 

 

 第3問 『小島のすさみ』  /50点

問1 現代語訳問題  /6点(2点×3)

 ⑴杉以外の(ではない)木は①」まったく混じっていない。①」(/2点)

 

 ⑵今夜一晩の旅寝の宿も、①」どこに取ろうか。①」(/2点)

 

*「草(の)枕」には、「旅」という意味が含まれるので、それを加えておきたかった。1点減点。

 

 ⑶この近辺のことを」よく知っていそうだったので、(/2点)

 

 

問2 内容説明問題  /12点

 社の名が、これ以上「老いるな」と言いたい、④」尼の「五十」という年齢も意味する、④」老蘇という名である、ということ。④」

 

*難問。「老蘇(おいそ)」という地名には、まず五十歳を意味する「五十(いそ)」の意味が掛けられていた。これは本文の「尼が年の名」から気づかなければならなかった。また、直後の和歌の「みそぢ(=みそじ・三十路・三〇歳)」という表現からも、「おいそ」が数字を意味する特殊な読み方をしているのではないか、と推測しなければならなかった。

 さらに、「老蘇」には、ヤ行上二段活用動詞「老ゆ」連用形+禁止の終助詞「そ」を意味する「老いそ」、つまり「老いるな」の意味も掛けられていた。これを完答するのは無理でしょう。

 

 

問3 内容説明問題  /9点

 筆者自身が三十数歳を越え、③」老いの訪れは老尼だけの③」他人事ではなくなっているということ。③」

 

*これは、問2と連動していた問題。「老蘇」の「老」が年齢的な「老い」を表現していること、そして「みそぢあまりもすぎ」が「三〇歳をとうに過ぎている」ことを意味していることに気づけなければ、解答することはできなかった。ちなみに、前近代の平均寿命は三〇〜四〇歳なので、三十過ぎは高齢者となります。

 

問4 和歌修辞法・内容説明問題  /9点

 易々とは渡れない②」野洲川を渡る時の川の水と、③」不安な世を苦労して渡りつつ流す②」良基の涙。②」

*解答欄の広さがわからないので何とも言えませんが、解答例程度の詳しい説明はしなければならないと思われます。

 

 

問5 内容説明問題  /14点

 筆者の、①」歌人連歌師でありながら、②」旅による衰弱を理由に、③」有名な歌枕さえ訪ねることを面倒くさがり、③」見ないままに通り過ぎた無風流さを言う、③」不本意な噂。②」

 

*今回の問題は、リード文の情報「歌人連歌師でもある」を加えて解答を作るパターンでした。難関大あるあるですね。あなたの答案にはこの部分がなかったので、2点減点しました。また、傍線部(D)の「憂き名」自体の説明がなかったので、2点減点しています。

 細かいことですが、設問は「誰のどのようなこと」という尋ね方をしているので、解答の書き出しは「筆者の、〜」「良基の、〜」にしておいた方が無難です。減点せず。

 

 

 

  二〇一五年 神戸大・前期

 

第1問 『標識としての記録』(80点)

 問1 漢字問題(2点×5=10点)

  ⒜傾斜 ⒝郷愁 ⒞組成 ⒟幾重 ⒠蓄積

 

 問2 理由説明問題(14点)

安楽と効率の実現のために統制されている現在の実利的社会では、④」規格化された方式で処理できない事態は、⑤」苦痛で不快な現実に直面させる失敗として恐れられ排除されるから。⑤」(80字)

 

 問3 内容説明問題(14点)

失敗を否定し放逐する社会的趨勢の中で、③」人間社会の相互的な連鎖関係を認識し、④」失敗を人間に本来的なものとして包摂するに至る緊張した過程が④」可視化されているということ。③」(80字)

 

 問4 内容説明問題(14点)

映画製作者が事件の当事者として③」事件の展開に内在的に関わりながら、③」現実の新たな次元を顕らかにしていくことを通して、④」撮られた現実が普遍的な経験に変容するということ。④」(80字)

 

 問5 内容・全体説明問題(28点)

映画『水俣の甘夏』は、②」水俣病患者としての身体的苦痛という直接的な問題を扱ったものにとどまらず、④」人が苦悩や葛藤の中で④」現在の実利的社会の価値を逆転させ、④」失敗を人間に本来的なものとして包摂していく過程や、④」現実に内在的に関わることで③」現実そのものを変容させる姿を通して、③」人間の普遍的な経験と成熟の可能性を映し出しているということ。④」(160字)

 

第2問 『平治物語』(40点)

 問1 文学史問題  ①(1点)

 問2 文法問題 (イ) ける  (ロ) ける  (ハ)けれ(1点×3)

 

 問3 現代語訳問題

  ⒜私を殺しなさった後に、②」子たちを処置なさるがよいでしょう③」(5点)

  ⒝常葉本人とも思えないほど①」痩せ衰えているけれども、②」やはり世間並み以上の美しさである②」(5点)

  ⒞母は子たちの顔を、「これからいつまで一緒にいられるだろうか」と思って④」じっと見つめて泣く②」(6点)

 

 問4 内容説明問題(10点)

乙若の、①」状況が理解できないほど幼いのに、④」泣かないでしっかり話すようにと母を励ます③」健気な様子。②」

 

 問5 内容説明問題(10点)

池禅尼の願いが聞き届けられ、③」元服している頼朝が死罪ではなく流罪になったので、③」常葉の罪もない幼い子たちを死罪にするのは道理に反するという判断。④」

 

第3問 『秋声詩 自序』(30点)

 問1 読み問題  ⒜ のみ  ⒝ ここにおいて(1点×2)

 

 問2 理由説明問題(5点×2)

 (A)見事に模写された日常生活の音声に③」親しみを感じ好ましく思ったから。②」

 (B)火事で大騒ぎする音声の模写を②」実際の出来事と錯覚して慌て恐れたから。③」

 

 問3 書き下し文・現代語訳問題(5点×2)

 「書き下し」─およそ①」まさにあるべきところ(として)(は)、②」あらざるところなし②」

 「現代語訳」─すべて火事場で聞こえるはずの音声で、②」聞こえないものはなかった③」

 

 問4 内容説明問題(8点)

声帯模写の達人が、②」自分の声以外に何の道具も使わずに、②」多様な人々や出来事の音声を②」見事に表現したこと。②」

 

 

  二〇一五年 島根大・前期

 

 第1問 澁澤龍彦「玩具のための玩具」(65点)

 

問1 漢字問題(2点×5)

 (1)疾駆 (2)随伴 (3)含蓄 (4)奴隷 (5)巧妙

 

問2 内容説明問題(12点)・2行問題

  ⑴解答要素 →傍線部Aを含んだ1段落分。

 

【正答例】

 遊び手本人だけが②」生きた存在として②」御者を演じ、②」残りの馬車や馬、旅客は、②」動かない椅子を使って表現する②」ごっこ遊びの演出。②」(57字)

 

問3 理由説明問題(12点)・2行問題

  ⑴解答要素 →傍線部2の1〜4行後。

 

【正答例】

 仮面は本能の爆発と諸力の侵入を促し、③」自分自身が変化を蒙っていることを③」無意識化するという意味で、③」遊びの範囲を逸脱してしまうから。③」(63字)

 

問4 意味説明問題(8点)

  ⑴「阿(おもね)る」・「諛(へつら)う」=「こびへつらう」

  ⑵「追従」=「人の言うとおりに行動すること」

 

【正答例】

 相手に気に入られようと媚びへつらうこと。

 

問5 適語補充問題(5点)

  ⑴空欄直後の一文「〜模倣された現実以外の現実を想像させることが不可能

   になるだろうからだ。」を根拠に考える。

 低下

 

問6 内容説明問題(18点)・3行問題

  ⑴解答要素 →空欄アの一段落前。

  ⑵「積木」独自の性質を考えて解答を作る。

 

 【正答例】

 他の玩具は現実模倣性が高く、③」名目上の使い方があるが、③」積木は現実を模倣していないので、③」無限の使い方を暗示し、③」どのようにでも組み立てられるため、③」シンボル価値が高くなると考えられる。③」(88字)

 

*1行は35字以内。

 

 第2問 平野雅章『魯山人味道』(45点)

  (解答例省略)

*字数の目安について 縦35字×横7行=245字程度を目指す!

 

 

 

 第3問 松尾芭蕉『更科紀行』(45点)

問1 人物比定問題(3点×2)

 越人 / 奴僕

 

問2 口語訳問題(8点)・1行問題

 (奴僕は)たいして(それほど)③」怖がるような②」様子も見えず③」

 

問3 口語訳問題(9点)・2行問題

 (徒歩で行く)芭蕉が②」後から①」馬上の①」奴僕の様子を見上げて、②」危なっかしく思うことは①」この上ない。②」

 

問4 内容説明問題(11点×2)・2行問題

芭蕉)(旅の宿で、)昼のうちに句にしようと思った景観や④」未完成の句を思い浮かべ、④」あれこれ苦吟している(呻きながら句を詠んでいる)様子。③」

 

(僧侶)旅の道中のつらさに②」芭蕉が思い悩んでいると誤解し、②」僧侶自身が巡った聖地や②」経験した不思議なこと、②」仏のありがたさを説いて慰めた。③」

 第4問 貝原益軒『慎思録』(45点)

 

問1 内容説明問題(12点)・1行問題

 真実の姿以上に褒めそやしたり、真実を損なって謗ること。

 

問2 返り点問題(12点)

 当権 衡軽 重

 

問3 内容説明問題(12点)・1行問題

 贔屓偏頗なく、公明正大かつ慎重に判断するべきである、ということ。(32字)

 

問4 読み問題(3点)

 すくなし

 

問5 書き抜き問題(3点×2)

 公心⇆私意  平直⇆軽重

 

 

   平成二七年度(二〇一五) 島根県立大 国語 解答例

 

第一問 『ピアノのある場所』

 問一 A 沈  B 傷  C 薄  D 散漫  E 姿勢

 問二 イ

 問三 マリの家に行きたかったのは、ピアノを弾かせてもらい、彼女の母親と話したかったからで、ユミコと

   の約束を破り母親に心配をかけるマリは、家に帰ってこなくてもよいと決めたので、彼女に会うことはで

   きないから。(九九字)

 問四 ユミコには自分のことを心配してくれる家族はいないと思っていたが、父親が帰りの遅い自分を心配し

   ていたことや、妹が自分を気にかけていることに気づき、二人のことをいらないと思ったことを後悔した

   から。(九六字)

 

第二問 『「なぜ?」から始める現代アート

 問一 A 覧  B 観照  C 彫刻  D 遮断  E 壁

 問二 ア そうだい  イ ばいたい  ウ すきま  エ やしろ  オ いかく

 問三 Ⅰ オ  Ⅱ イ

 問四 タレルは、目でなくても色を知覚するのではないかという問いを立て、〈ライトサロン〉という作品に

   よる実験で、体験した人それぞれに仮説に対する自分なりの解答を出させた。このように、アートはあり

   とあらゆる媒体や学問分野とつながっていくことで、分野の隙間で起こる可能性を見つけることができ、

   今まで気がつかなかったことに気づかせようとするものである。(一六九字)

 

第三問 『弱者の戦略』

 問一 安定した環境では激しい競争が起こるため、強者が生き残って弱者は滅び、結果的に生息できる生物の

   数は減っていくが、不安定な環境では必ずしも強者が勝つとは限らず、撹乱によってたくさんのニッチが

   生み出され、激しい競争社会では生存できないような、多くの種類の弱い生物が生存の場を得ることがで

   きるから。(一四五字)

 問二 エ

 問三 地球上のほとんどがニッチで埋め尽くされている現状では、大きな変化によってニッチが空白になるこ

   とを待ち、そこを素早く占有するという戦略が有効だが、弱者は新たなニッチに長くいつづけることはで

   きないため、新しく生じるニッチだけを狙い続け、強者が侵入してくればそこに未練を残さず、新たな未

   開の大地をニッチとするような、パイオニアの生き方をすること。(一七〇字)

 

 

とある解答例

 二〇一三年 東大・前期解答

 

 第1問 「ランボーの詩の翻訳について」(40点)

問1 内容説明問題(6点)

 文学作品が言表しようとする内容は、②」その表現方法や形態と一体化して伝わるものであるため、②」内容面だけを取り出すことはできないから。②」(63字)

 

問2 理由説明問題(6点)

 原文の独特な語り口が伝えるものを無視するあまり、②」翻訳者による日本語表現に特徴づけられた②」別の作品になってしまうこと。(57字)

 

問3 内容説明問題(6点)

 原文の表現形態を注意深く読み解いて①」母語の文脈に取り込むと同時に、①」言語と母語とで食い違う語り口を②」調和させようと努めること。②」(60字)

 

問4 理由説明問題(6点)

 母語とは異なる原文の表現形態をできるだけ取り込んで翻訳することで、②」母語の規範を踏み越える言葉づかいを生み出す②」可能性があるから。②」(63字)

 

問5 内容・全体説明問題(11点)

 原文の独自性を尊重するために、①」原語と母語の表現形態の食い違いをたえず調和させながら、②」両者を架橋する新たな言葉を創造しようとする翻訳という営みは、③」自らとは異なる様々な言語や文化の個性を理解して、②」相互に認め合っていく態度に結びついているから。③」(119字)

 

 *「異文化の相互容認」に対応させて、「翻訳という営み」自体の説明を拾い

  上げる。

 

問6 漢字問題(5点)

 ⒜ 首尾  ⒝ 逐語  ⒞ 摩擦  ⒟ 促  ⒠ 示唆

 

 

 第2問 『吾妻鏡

 

問1 現代語訳問題(*文理共通 3点×3)

 ア 身分の高い人も低い人も②」皆①」

 エ 闇夜に①」夜通し降る雨②」

 オ あなた様のお命が①」ご無事でいらっしゃるだろかということ②」

   (頼朝様)     (「どうだろうか」はマイナス1点)

 

問2 理由説明問題(*文系のみ 5点)

 静が①」鎌倉幕府の繁栄を祝う場で、②」謀反人①」義経を慕う歌を詠んだから。①」

 (別解)静が鎌倉幕府の繁栄ではなく反逆者義経への愛を面前で吟じたから。

 

問3 内容説明問題(*文理共通 5点)

 娘の政子が、①」流罪となった①」頼朝との①」逢瀬を重ねること。②」

 

問4 内容説明問題(*文系のみ 5点)

 愛する男が権力者と敵対関係になっても、②」変わらず慕い続ける心のさま。③」

 

問5 内容説明問題(*文理共通 6点)

 反逆者義経を慕う静と、②」罪人頼朝を愛したかつての政子の思いが②」重なるところ。②」

 

 第3問 『三国史記

 

問1 現代語訳問題(*文系6点/理系5点)

 身分の低い男でさえ①」前言を違えよう(嘘をつこう)とはしません、②」まして身分の高い国王なら、①」なおさら前言を違えなどしないものです。②/①」

 

問2 内容説明問題(*文理共通 5点)

 公主が①」温逹に嫁ぎたいのなら、②」勝手に嫁げばよいということ。②」

 

問3 内容説明問題(*文理共通 5点)

 公主が、①」温逹と結婚したいという②」自分の思いを①」温逹に話したということ。①」

 

問4 現代語訳問題(*文系のみ 7点)

 私の息子は①」非常に身分が低いので、②」あなた様のような①」高貴なお方の結婚相手として②」釣り合いません。①」

 

問5 内容説明問題(*文系7点/理系5点)

 二人がともに結婚したいと思っているので②/①」あれば、①」貧富や身分の差などは②」問題にならないということ。②/①」

 

 

  二〇一三年 京大文系前期

 

第1問

 問1 ア 変哲  イ 代償  ウ 粗野  エ 報酬  オ 迷妄

 (1点×5)

 

 問2 内容説明問題(10点)

「麦刈り」の絵で、①」自然の荒々しい生命力に取り組み、③」豊かな恩寵に充足しきっている農民の様子は、③」勤労動員で自然と関わる肉体労働をし、①」生命の充実感を得た自分たちの姿と同じであった、ということ。②」(93字)

 

 問3 理由説明問題(12点)

駐車場の車の入替えをする男の運転技術は人並み外れたものであるが、②」その作業は収入を得るための労働にとどまる無意味なものであり、②」肉体の労苦を通して②」生命の充実を感じ、②」自然の中で充足しきった、②」人間の生に関わる真の労働とは感じられなかったから。②」(117字)

 

 問4 理由説明問題(10点)

ブリューゲルの絵を見ていると、①」芸術は現実のありのままを正しく描くもので、②」作品に描かれたものの真実性にこそ価値があるように感じられ、②」筆者自身が志向してきた、②」抽象的な精神と言語の世界の自律的価値など、まったく認めていないかのように思われたから。③」(120字)

 

 問5 内容説明問題(13点)

ブリューゲルが現実の自然や個々の人間を通して見極め、③」彼のなかで表現を求めてひしめいている生の実相を、②」その天才的な形象把握能力によって形象化・様式化し、②」自身の思想によって①」統一された普遍的なものとして、②」絵画のなかに再創造することは、ブリューゲル自身の生の充実感にもなるという関係。①」(139字)

 

 

 

 

 

 

第2問

 問1 心情説明問題(10点)

現在の気軽で身軽な旅行とは異なり、②」昔の旅には家を出るまでの高ぶり、②」旅先への期待や留守宅への気がかり、②」帰るときには名残惜しさや安堵感などが混在し、②」心が揺れ動いて落ち着かない、ということ。②」(92字)

 

 

 問2 心情説明問題(10点)

旅の感傷に浸りつつも、②」言葉にならない①」家への懐かしさに興奮しながら帰ってきたが、①」出かける前と変わらない家の様子に、②」日常へすんなりと戻ることのできない居心地の悪さと、②」旅帰りの迎え方に気が遣われていないことを感じている、ということ。②」(113字)

 

 問3 理由説明問(10点)

以前に、旅帰りの者の迎え方がなってないと苦言を呈した自分に対して、②」旅をしたことがないからわからないと反論した娘が、②」実際に旅帰りの居心地の悪さに困惑している様子を見て、②」迎え方が大切であるという②」自分の思いが通じたと思い、満足したから。②」(115字)

 

 問4 理由説明問題(10点)

旅帰りの父の迎え方として、掃除や整頓だけでなく、②」普段から使い慣れている座布団を洗濯してこしらえ直しておくことや、②」煎じたての番茶を出すことを思いつき、②」宿とは異なった特別なもてなし方が、②」普段の生活のなかでもできると思えたから。②」(111字)

 

 問5 心情説明問題(10点)

座蒲団と番茶に気を遣うという、筆者なりの旅帰りの父の迎え方を、②」父は口には出さないが評価してくれているはずだと思っていたが、②」その気遣いは当然するべきことで、取り立てて口にするほどのことではないとけなされ、②」自分が至らないことは重々承知しているが、②」少しは褒めてほしいとも思っている。②」(138字)

 

 

 

 

第3問

 問1 現代語訳問題(7点)

 匂宮は①」愛おしくお思いになる妻を①」お持ちになっているので①」婚儀に来ないのだろうと思うと、②」右大臣は①」不愉快であるけれど、①」

 

 問2 現代語訳問題

(2)何とかして①」思いを表情に出すまいと①」何度も我慢しては、②」さりげなく気持ちを静めなさることなので③」(7点)

 

(3)じきに、すぐ急いで帰って参りましょう。②」一人で月をご覧になってはなりません。①」私は②」心が上の空であるので、たいそうつらいです。②」(7点)

 

 問3 心情説明問題(14点)

 Aはかわいらしい①」中の君を残して、②」婚儀に出向く気になれず、②」中の君を気の毒に思う気持ちであり、②」Bは婚儀の日に匂宮がなかなか現れないことを心配して②」頭中将を迎えによこした②」右大臣(家)を気の毒に思う気持ち。③」

 

 問4 心情説明問題(15点)

 匂宮が右大臣の娘と結婚することについては②」あれこれと恨んだり妬んだりはしないが、②」匂宮が婚儀に出かける後ろ姿を見ると、②」涙があふれ出るほど悲しいので、③」思うようにならず嘆かわしいものは、人の心であったと、②」自分の心の弱さを②」身にしみて実感している。②」

 

 

  京大理系前期

 

第2問

 問1 内容説明問題(10点)

既存の言葉では自分の感じとった物事が正確に表現できない場合に、②」それを言語化するための方便として、②」既成の言語規則に照らせば不適切であることを承知のうえで、③」あえて代替の言葉を用いて表現すること。③」(95字)

 

 問2 内容説明問題(10点)

主観的な経験を言い表すために②」あえて規制の言語規則を逸脱する見立てを用いざるを得ないという事実は、④」既成の言語規則では十全に表現できないものが存在することを示しているということ。④」(87字)

 

 問3 内容説明問題(10点)

物の客観的特徴をもとにした既成の博物学的な分類の基準では表現できず、②」別の分類基準を新たに生み出し、②」見立てを用いることによってしか表現できないような、③」主観的な経験として印象されるもの。③」(91字)

 

 

第3問

 問1 現代語訳(8点)

同じ人の学説が、こちらとあちらとで食い違っていて同じでないのは、③」どちらに従うのがよいのかと戸惑わせられて、②」およそその人の学説が、すべてあてにならないような気持ちがしてしまうことは③」

 

 問2 理由説明問題(12点)

同じ人の学説でも後になって最初に決めた説よりよい考えが出てくることは常にあることであり、④」その人の学問が進めば学説が変わっていくのは当然である。④」また、最初の説の誤りを自ら改めるのは潔くてよいことでもあるから。④」(103字)

 

 問3 内容説明問題(10点)

同じ人の学説が前後で異なる場合は、後の方をその人の定説とするのがよいが、②」最初の説が正しい場合もあるので、③」どちらを選ぶかはそれを見る人が判断するべきだということ。⑤」(80字)

 

 

  二〇一三年 大阪大・前期(文以外)

 

 第1問 蓼沼宏一『幸せのための経済学』  /50点

問1 内容説明問題  /4点

 イ

 

問2 書き抜き問題  /6点

 (その)個人の形成してきた習慣や、置かれている社会的環境

 

問3 理由説明問題  /24点

 個人の幸福や欲望充足の度合は、③」その個人を形成してきた習慣や、③」置かれている社会的環境などの影響を受ける③」主観的感覚であるのに、③」功利主義はこの度合を境遇の良しあし(or福祉の達成度)を測る客観的な基準とみなし、⑥」異なる個人間で比較することに意味があると考えているから。⑥」

 

①なぜ物理的条件(習慣や社会的環境)が無視されるのか? それは、物理的条件を無視しても、境遇の客観的な評価はできると考えているから。

 傍線部の直前の一文で筆者は、「このように、効用の水準は習慣や社会的環境などに影響を受けるため、その個人の置かれている客観的な状況を評価する基準としては適切ではないのです」と批判をしている。にもかかわらず、功利主義は「物理的条件」(=習慣や社会的環境の影響)を無視しているのだから、物理的条件を無視しても、「客観的な状況(その人の置かれている境遇)の良し悪しを評価できる」と思っていることになる。このニュアンスと同じような表現を探すと、3段落目の1行目や4段落目の2行目に気づける。

②あなたの答案の「欲望の度合」は「欲望充足の度合」にしなければなりません。「充足」しなければ幸福の尺度になりません。2点減点。

③「主観的な考え」ではなく「主観的感覚」です。両者は同じものではありません。引用するときには正確に書きましょう。3点減点。

功利主義が「幸福や欲望充足の度合」を「福祉の基準」にしているという要素がないので、6点減点。

⑤ちなみに、赤本の解答例の「各個人それぞれの習慣や社会的環境などを比較しながらその度合を評価するべきであるのに」というポイントは、本文から読み取ろうと思えば読み取れるが、明確な記述がない。また、他に理由説明として書くべきポイントもあったのに、それが抜けていた。よって、不完全な答案と評価できる。

 なお、解答要素については以下の通り。内容説明であろうが、理由説明であろうが、探すポイントは変わらない。ただ、書くべき要素の優先順位や分量が変わるだけ。

 

【内容説明問題】 (A)言い換え・補足 (B)理由・背景   (C)対比

【理由説明問題】 (A)理由・背景   (B)言い換え・補足 (C)対比

 

 改めて、解答例と解答要素の対応を確認してみると、(A)・(B)・(C)の3要素で構成されているのがわかるのではないでしょうか。

 

 「言い換え+対比」

 個人の幸福や欲望充足の度合は、その個人を形成してきた習慣や、置かれている社会的環境などの影響を受ける主観的感覚であるのに、

 「理由」

 功利主義はこの度合を境遇の良しあしを測る客観的な基準とみなし、異なる個人間で比較することに意味があると考えているから。

 

問4 内容説明問題  /16点

 贅沢な食事に慣れているAさんと③」質素な食事を強いられているBさん、③」それぞれの食事に対する満足度ではなく、⑤」二人の境遇を比較してどちらが恵まれているかを判定すること。⑤」(80字)

 

①最終段落の車とスクーターの比較を、第五段落の食事の例に置き換えて説明するだけの問題。裕福なアメリカ人の主観的な欲求充足(車一台)と、最貧国の人の主観的な欲求充足(スクーター一台)を比較するのではなく、両者の状態(境遇)を比較して、どちらが恵まれているかを評価することが、傍線部(B)自体の言い換え説明になる。あとは、アメリカ人が「贅沢な食事をするAさん」、最貧国の人が「質素な食事をするBさん」に置き換えて説明すればよい。

②あなたの答案の「主観的な考え」ですが、問3の③でも指摘したように、「主観的感覚」と表記しましょう。2点減点。

③設問自体にも書いているように、「食事の事例に基づ」かなければならないので、「質素な生活」「贅沢な生活」ではなく、「質素な食事」「贅沢な食事」と書きましょう。2点減点。

 

 

 第2問 マリオ・リヴィオ『神は数学者か? 万能な数学について』  /50点

問1 漢字問題  /10点(2点×5)

 (1)厳密 (2)衝撃的 (3)漂 (4)精通 (5)実績

 

問2 空欄補充問題  /2点

 うれしさ

 

問3 空欄補充問題  /4点

 すべての人間は死す(9字)

 

問4 空欄補充問題  /6点

 複雑な自然現象を観測して③」単純明快な数学的法則を導き出したりすることができる③」(37字)

 

*私には、以下の解答を作るのが限界でした…。

「複雑な現象を分析し、物理学の知見に基づいて単純明快に説明してみせたりする(36字)」

 

 通常、「〜たり」を使用した文章を書く場合、前文とは内容の異なる内容を書くものなので、前後の文から「自然」「数学」を解答要素とするべきという赤本の解説は、原文を知っているからこそ言える説明にすぎない。

 

問5 内容説明問題  /28点

 数学は人間から独立しており、③」人間は数学的な真理を発見するだけだと考えると、③」抽象的な数学がなぜ物理的実在と関係しているのか、③」また有限な人間の脳が永久不変の数学的真理とどう結びつくのか③」合理的に説明できない。」あるいは数学は人間の発明だと考えても、③」人間の発明した数学的真理が宇宙や人間に関する事柄をなぜ予知できるのか、合理的に説明できない。④」にもかかわらず、数学は自然や人間社会の事象を③」単純明快な法則として(〜明快に)説明できる、ということ。③」(209字)

 

①まずは、関連資料の5〜7行目を参考にして、傍線部自体の言い換えると、「数学には理屈では説明できない効用がある」となる。あとは、何が理屈では説明できないのか、どのようなところに有効性があるのかを説明すればよい。

②関連資料の4・5行目に「一方、数学が人間の発明にすぎず〜」とあるので、これ以降が「発明の不条理な有効性」であるから、ここ以前が「発見の不条理な有効性」の説明になる。あとは、制限字数内でまとめるだけ。

③あなたの答案には、「理屈では説明できない」「合理的に説明できない」というポイントがないので3点減点。

④あなたの答案の「なのに」という接続詞は、本来存在しない言葉です。正しくは、「それなのに」です。「しかし・だが・けれども」などに改めましょう。1点減点。ついでに言えば、「なので」という接続詞も存在しません。「だから・したがって・そこで」などと書かなければなりません・

⑤あなたの答案の最終文「数学は自然を〜」と書いていますが、「自然や人間に関わる事柄」と説明しておいた方がよいでしょう。1点減点。言い換え自体はよいです。

 

 

  二〇一三年 神戸大・前期

 

第1問 『死の所有』(80点)

 問1 漢字問題(2点×5=10点)

  ⒜観念 ⒝獲得 ⒞果断 ⒟犯罪 ⒠仮託

 

 問2 内容説明問題(14点)

当事者の存在の消失としての死が、④」故人と親しく関わった者に死者の新たな実在性を感じさせ、⑤」それまでとは異なった態度や認識を生じさせる契機となりうる、ということ。⑤」(78字) *「契機」はなくてもよい。

 

 問3 内容説明問題(14点)

観察者的に知覚する「三人称」の死と異なり、④」「二人称」の死とは、死者となった身近な相手への語りかけを通して顕現する、⑤」自己と死者を同一次元において認識する死である。⑤」(80字)

 

 問4 内容説明問題(14点)

死者への語りかけは、②」仮想的な自己の死を前提に、③」死者に寄り添い同じ次元に立つ行為であるとともに、③」死者の物的な遺物に依拠した③」客観的な死の認識でもある、ということ。③」(79字)

 

 問5 内容・全体説明問題(28点)

他者の死を経験することは、②」ある者の存在が消滅することによって、④」身近な者が不在にまつわる②」新たなリアリティを感得することであると同時に、④」故人への語りかけを通してその死者に寄り添う④」自己の仮想的な死の経験でもあるというように、④」生者と死者との分かち難い端境として、④」複雑で捉えにくい固有の現象として形成されている、ということ。④」(157字)

 

第2問 『平家物語』(40点)

 問1 現代語訳問題(4点×3)

  ① 面会するのに、①」お一人ぐらいはなんの問題がありましょうか、②」いやなんの問題もありません。①」

  ② お前に恋文を持って行かせて①」言い寄った女房は、②」まだ宮中にいると聞くか。①」

  ③ この女房も①」三位の中将のことを思って①」いらっしゃったのだなあと①」気の毒に思われて、①」

 

 問2 内容説明問題(1点×2)

守護の武士ども(が)三位中将の手紙(を)

 

 問3 文法問題(1点×2)

  ⒝受身の助動詞の連体形  ⒞尊敬の助動詞の連体形

 

 問4 心情説明問題(9点)

三位中将の、①」西国へ都落ちするときに、①」手紙も送らず、言葉さえかけなかった(何も言い残すことさえしなかった)ことを、②」今まで交わした深い愛情も②」すべて嘘であったと女房は思っているだろうと、①」きまり悪く思う気持ち。②」

 

 問5 現代語訳問題(9点)

なるほど、①」三位中将が言ったように、①」彼自身の意志ではなく、①」家来が奈良の寺々を焼き払ったために、②」三位中将が罪を一身に背負って生け捕りにされ、②」大路を引き回されるのだと思われる。②」

 

 問6 心情説明問題(6点)

罪人というつらい身の上を嘆き悲しみ、②」涙を流す我が身であるが、②」死ぬ前にもう一度女房に逢いたい気持ち。②」(49字)

 

 

第3問 『貞観政要』(30点)

 問1 指示語問題(3点)

斉の景公の①」馬を飼育している役人。②」

 

 問2 書き下し問題(4点)

こうをして①」うまをもって①」ひとをころさしむ②」

 

 問3 現代語訳問題(4点)

・どうしてこの話をお忘れになりましょうか、②」いやお忘れになっているはずはありません。②」

 

  (別解)

よもや①」この話をお忘れではありますまい。③」

 

 問4 内容説明問題(15点)

馬を死なせた飼育係の罪を責める形をとりながら、③」景公が馬のことで人を殺したり、②」人民の恨みを買ったり、②」その話によって諸侯に蔑まれたりすることになると②」忠告することで、③」景公の考えを改めさせようとする目的。③」(98字)

 

 問5 現代語訳問題(4点)

馬を死なせた宮人に対する太宗の怒りは②」やっとおさまった。②」

 

  (別解)

太宗の飼育係に対する怒りの気持ちは②」それで鎮まった。②」

とある解答例

 二〇一二年 東大・前期解答

 

 第1問 『意識は実在しない』(40点)

問1 内容説明問題(6点)

 (実在する)微粒子と法則からなる、①」無意味で無情な物理的自然(客観的世界)と、②」それを心(身体器官)が感受して意味づけ秩序づけた主観的表象(知覚世界)とを②」弁別する理論のこと。①」(64字)

 

問2 理由説明問題(6点)

 二元論(近代の自然観)では、②」自然は色も味も臭いもない微粒子の集合にすぎず(自然は無意味・無価値で)、①」自然への賛美(自然の意味や価値)は①」人間の精神が生み出して自然に与えたものと考えるから。②」(63字)

 

問3 理由説明問題(6点)

 近代科学は、①」自然を法則のままに動く無個性の微粒子の集合と考え、①」これを分解して①」人間の生活の場で役に立つ①」材料として①」利用しているから。①」(64字)

 

問4 内容説明問題(6点)

 個人の特殊性を排除した標準的人間像を基礎に②」政治理論を形成したので、②」標準から外れた少数派は①」軽視され排除されている。①」(63字)

 

問5 内容・全体説明問題(11点)

 自然を分解し、個性のない粒子に還元して利用・搾取してきた③」近代の①」二元論的自然観は、①」自然の中で無機物が全体として循環的相互作用を営み①」長い時間をかけて形成してきた、①」生物の個性的な生活環境を破壊するという悲劇をもたらした、ということ。④」(120字)

 

問6 漢字問題(1点×5)

 ⒜ 枯渇  ⒝ 効率  ⒞ 秩序  ⒟ 浸透  ⒠ 交換

 

 

 

 第2問 『俊頼髄脳』

 

問1 現代語訳問題(*文理共通 3点×3)

 ア 往来(通行・行き来)に②」面倒な(支障がある)ので①」

 イ 普通の人が①」できないことをするのを①」神通力としています(言っ

   ています)①」

 ウ できるかぎり③」(仕事の負担に②」応じて①」)

 

問2 内容説明問題(*文理共通 5点)

 一言主の容貌は醜いので、②」見る人が恐れ怖がる、ということ。③」(28字)

 

問3 理由説明問題(*文系のみ 5点)

 明るい昼間に①」自分の醜い姿を②」人に見られたくなかったから。②」(32字)

 

問4 内容説明問題(*文系のみ 5点)

 一言主の神が、①」全身に(隙間なく)葛を巻きつけられて、②」今に至っているという状況。②」(33字)

 

問5 内容説明問題(*文理共通 6点)

 醜い顔を見られたくなかったので、③」夜が明ける前に帰ってほしいということ。③」

 

 

 第3問 『春秋左氏伝』

 

問1 内容説明問題(*文系6点/理系5点)

 調味料の量を加減して、③/②」お吸い物の味を①」調えるということ。②」(30字)

 

問2 内容説明問題

 (ア)現代語訳問題(*文系7点/理系6点)

 君主がよいということで②/①」よくないこと(誤り)があれば、②」臣下はそのよくない点を進言して①」良いものにする。②」(45字)

 

 (イ)書き抜き問題(*文系5点/理系4点)

 政平而不干、②」民無争心③/②」

 

問3 現代語訳問題(*文系のみ 5点)

 水に水を加えて①」味を調えるようなものだ。②」誰もそんなものは食べられません。②」(33字)

 

問4 内容説明問題(*文系7点/理系5点)

 景公に同調するだけで、③/②」そのよくない点を正そうとしない態度。④/③」(29字)

 

 

  二〇一二年 京大文系前期

 

第1問

 問1 理由説明問題(10点)

死に至る病に侵された緒方にとって、③」来年の夏休みに自分と二人で海に行くという空想を幸せそうに語る娘の姿は、①」自分に対する期待を感じさせ、②」死に身を委ねることもできない精神的負担を感じたから。④」(92字)

 

 問2 内容説明問題(10点)

生命力に満ちた健康な家族には③」見せることのない、①」死に至る病に侵された人間なら誰でも理解できるような、③」自分の生死の意義やそれにともなって湧き出る種々雑多な疑問について答えを出そうとする精神世界③」。(95字)

 

 問3 内容説明問題(10点)

健康であったときには、①」人間の生死の意味について知識のままに理解したつもりになっていたが、③」自分が病気になり、余命も長くないという事実に直面したときに、①」初めて自分の理解が浅かったことに気づかされ、①」これまで見過ごしてきた①」日常のあらゆることを、①」新鮮でかけがえのないものとして、改めて味わっている事態。②」(146字)

 

 問4 理由説明問題(10点)

死を自覚したことをきっかけに、②」家族との付き合いを何気ない顔でそつなくこなしながら、家族とは無関係に、②」自分の生死について考え続けている孤立した状況は、②」現実から離れて一人でものを考え続けている点で出家遁世に近く、②」自宅でもできると自分が書いた返信の文面に、自身の状況が該当するように思われたから。②」(145字)

 

 問5 内容説明問題(10点)

死が近づいた状況にあっても、①」諦観や無常観にとらわれることなく、①」やがて訪れる死に対して平静を保ったまま向き合い、 ②」芸術家として作品の創造に野心を燃やし、②」父として家族の期待にこたえようとしながら、②」堂々と振る舞おうとする緒方の強い自負心。②」(115字)

 

 

 

第2問

 問1 内容説明問題(10点)

文章表現にこだわることなく、③」小説全体の効果から考えて、②」必要な事柄のみを選定しようとする、③」作品に込められた作者の意欲。②」(58字)

 

 問2 内容説明問題(8点)

小説の核心部分を明快適切に表現するためには、②」個々の文章は小説全体に与える効果を考えて表現する必要があるから、②」間接的な効果を狙った表現を用いて、①」文章を故意に難解にすることもある、ということ。③」(94字)

 

 問3 内容説明問題(8点)

日常で使用される言葉は、②」伝えたい現実をそのまま他者に提示することができない場合に、③」その現実を再現する道具として、②」他者に説明し伝えるために用いられるものに過ぎない、ということ。①」(87字)

 

 問4 内容説明問題(12点)

現実は各人の感覚や理性によって認識される②」相対的なものであるため、それぞれで異なるものであるが、②」芸術家は現実よりも完全で真に迫り納得できるような、自分にしか認識でない現実像を選び取り、②」それを芸術上のあらゆる手法を駆使して、②」他者が真実味をもって納得できるように②」再現できる人であると考えている。②」(144字)

 

 問5 内容説明問題(12点)

小説は一般の文章のように、現実をありのままに再現するような②」現実に従属したものではなく、②」作者の感性や理性によって選び取られた現実像を、②」芸術上の手法を用い自らの言葉で新たに生み出した創作であり、②」描き出された現実像は作品以前に実在するのではなく、②」小説に描かれて初めて実在するようになる、ということ。②」(146字)

 

 

第3問

 問1 現代語訳

 (1)女房たちが夜が更けるまで①」語り合って①」、ふと①」眠くなってしまうのは①」どうしようもないこと②」(6点)

 

 (2)女房たちが密かに気を許して言った言葉を②」聞きつけて、①」忠家が①」得意顔で言った③」その場の戯れである②」(8点)

 

 問2 内容説明問題(10点)

  周防内侍が①」忠家の座興を①」恋の場面に置き換えて詠み返した機知と、③」その歌の風情ある様子に、②」周りで聞いていた女房たちも、②」きっと目を覚ましたはずだ、ということ。①」

 

 問3 内容説明問題(26点)

 ・『初学』では、周防内侍の歌について、忠家が肘を差し入れた戯れに対して、③」「かひな」を「甲斐無く」にかけて歌に読み込んだことを評価しているが、④」忠家の取るに足りない戯れを②」即座に恋の歌に仕立てた点が評価されるべきである。④」

 ・『千載集』の詞書によると、②」忠家は単に「これを枕に」と言って肘を差し出したに過ぎず、③」「此のかひなを」としているのは選者の表現である点を見落とし、④」忠家が「かひなを」と言ったと解釈している『初学』は誤っている。④」

 

 

 

  二〇一二年 京大理系前期

 

 第2問(30点)

  問1 理由説明問題(10点)

 日本側の学者の発言は、日本の歴史的文脈に関する理解を前提としたものであったが、③」短い時間で異文化の人々に発言の真意を伝えなければならない②」同時通訳の場で、①」与えられた時間内に②」その発言の背景にある文脈を理解させることは不可能に近いと思われたから。②」(119字)

 

 

  問2 内容説明問題(10点)

 限られた時間の中で②」異文化にいる人を①」仲介し、意思疎通を成立させることが求められる同時通訳の場では、①」発言内容をすみずみまで伝達するのではなく、①」通訳者が理解しえた内容をもとに、②」発言の趣旨が伝わるように①」余分な言葉を省略し、簡潔な訳を心がけること。②」(119字)

 

 

  問3 理由説明問題(10点)

 もともと話し方が遅く短時間に言葉を多く詰め込むことができない筆者とって、③」時間的制約の中で①」異文化の文脈を補いながら訳すという同時通訳は困難なものに感じられたが、①」余分な言葉を極力排除し、重要な情報のみを伝える省略という手法をとればよいという助言が、③」通訳の極意に目を開かせてくれたから。②」(140字)

 

 

  二〇一二年 神戸大・前期

 

第1問 『語り得ぬものを語る』(80点)

 問1 漢字問題(2点×5=10点)

  ⒜済 ⒝排除 ⒞介助 ⒟供給 ⒠欠如

 

 問2 内容説明問題(14点)

概念とは、それが適用される集合を規定して内実を捉える客観的な認識ではなく、何をその概念の典型例として把握するかを本質とする相対的な認識である、というもの、

 

 問3 内容説明問題(14点)

プロトタイプを重視した概念は、外延の規定が同じでも何を典型とするかに多様な事実や判断が関与して、人や時代により異なる抽象的な通念としての認識になる、ということ。

 

 問4 内容説明問題(14点)

ある対象の相貌は、客観的な認識ではなく、主体的関心に基づき言語によって構成された典型的な物語を内在させた認識で、その内実は言語を通した物語である、ということ。

 

 問5 内容・全体説明問題(28点)

人は、主体的な関心に基づくプロトタイプとしての概念のもと、言語によって構成される典型的な物語の一場面として知覚を得るのが、現実は典型的な物語とは異なり、際限なく豊かな細部を持ち、典型から逸脱するので、結局は現実の実在性に突き当たり、新たな物語が創出されることになる、ということ。

 

 

第2問 『松陰日記』(40点)

 問1 現代語訳問題

  ② 至急いお出でくださいと、②」鶴姫君のもとから(吉保様宛ての)お手紙を①」頂戴した①」(4点)

  ③ まして吉保様は気が急いておられるから、②」いつもよりいっそう道のりが遠い気がして、②」(4点)

  ④ 鶴姫君のご臨終の様子は①」明白で、①」(2点)

 

 問2 文法問題(1点×2)

  ①謙譲/鶴姫君   ⑤尊敬/御所(徳川綱吉

 

 問3 内容説明問題

  ⑥ 美しく、長寿を願われた鶴姫君が①」朝露が消えるように、①」あっけなく亡くなってしまったこと。②」(4点)

  ⑦ 吉保が、①」幼少の頃から仕え、あれこれお世話申し上げた日々を思い、②」鶴姫君の死に胸が塞がる気持ちで悲しみにくれていること。②」(5点)

 

 問4

  1 現代語訳問題

御所様には、①」少しでもほととぎすの声をお耳に入れようか、②」いや入れられない。①」(4点)

 

  2 理由説明問題

鶴姫君を失った御所様の落胆した気持ちは計り知れず、②」死を知らせるほととぎすの声を聞くと、②」その悲しみがますます募るであろうから。②」(6点)

 

 問6 内容説明問題(3点×3)

〔第二段落〕

鶴姫君の容態が悪化したと聞き、①」駆けつけたが間に合わなかった。②」

〔第三段落〕

手を尽くしたが叶わず、①」将軍のもとに参上して、①」姫の死を報告した。①」

〔第四段落〕

明け方将軍のもとから退出し、①」生前の姫君を思い悲嘆にくれて歌を詠んだ。②」

 

第3問 白居易「与微之書」(30点)

 問1

  1 書き下し問題(3点)

おのおの①」はくしゅなら①」んとほっす①」

 

  2 現代語訳問題(3点)

お互いに①」白髪頭になろ①」うとしている①」

 

 問2 現代語訳問題(6点)

天が実際に①」私たちを離れ離れにしたのならば、②」この状況をどうせよと言うのだろうか、②」いやどうすることもできない。①」

 

 問3 空欄補充問題(1点)

  ロ

 

 問4 書き抜き問題(2点×2)

  1 垂死病中     2 謫九江

 

 問5 心情説明問題(13点)

瀕死の病床にある元稹が、③」自分が九江に左遷されたことを聞いて心を痛めてくれた心情を思うと、③」遠く離れていても②」大切な友の深く温かい友情に②」胸を熱くせずにいられない心情。③」(80字)

 

 

とある解答例

  二〇一一年 神戸大・前期

 

第1問 藤田省三「ナルシズムからの脱却」(80点)

 

問1 漢字問題(2点×5=10点)

 ⒜貫徹 ⒝痛烈 ⒞勘定 ⒟脅威 ⒠余儀

 

問2 内容説明問題(14点)

大量に生産し流通し消費する社会では、③」具体的な物と対面する関係が失われて物の限界を理解できなくなるため、④」自制が利かず、③」欲求不満を昂進させてしまう、ということ。④」(78字)

 

問3 内容説明問題(14点)

人間によって手前勝手に選別・採用され、③」その消費欲求を満たすまで、②」一時的に存在している③」消費物のリストに過ぎないものへと、③」世界像が変形してしまった、ということ。③」(78字)

 

問4 内容説明問題(14点)

すべての他者に対し見知らぬ者として接することで、④」自分の抱く様々な感情も他者として見られるようになり、⑤」そこに自分の内側を無心に解析する自我が発生する、ということ。⑤」(80字)

 

問5 内容・全体説明問題(28点)

大量生産と大量消費を前提とする大きな体系のなかで、④」自我の満足だけを追求するナルシズムが③」集団的ナルシズムへと展開している現代人の内面においても、③」自身の内面や②」他者を見知らぬ他者として相対化し、④」無心になってそれらと向き合えば、④」他者を尊重する謙虚な自我が生まれ、④」ナルシズムの発生が抑制された社会になる可能性がある、ということ。④」(159字)

 

 

第2問 『沙石集』(40点)

 

問1 文学史問題(2点)

  (お)

 

問2 文法問題(1点×3)

 イ ける   ロ けれ  ハ けり

 

問3 現代語訳問題

 ⒜どうして①」無風流にも①」八重つつじを求め①」られようかと①」思い直して、幾日も①」経った①」(6点)

 ⒝なんのためらいもなく②」上東門院に①」ご献上になる別当は、①」どう考えても①」けしからん。①」(6点)

 ⒞奈良法師は風流心がないものと②」思っていたが、①」たいそうすばらしい①」衆徒である。①」(5点)

 

問4 内容説明問題

 ①藤兵衛尉(なにがし)(2点)

 ②検断役は①」科料の半分を①」分け前としてもらえるので、①」絹三疋四丈の分として、①」八重つつじを一枝もらいたい、ということ。②」(6点)

 

問5 内容説明問題(10点)

上東門院の要求に応じて、①」八重桜の名木を献上しようとした別当に対し、①」桜を大切に思う気持ちから①」罪科を厭わず①」抗議した衆徒に①」感心し、②」荘園を寄進したり、①」垣根を巡らせて花盛りにそれを守らせたりした①」上東門院の行為。①」(100字)

 

 

第3問 『論語』・『隋書』(30点)

 

問1 内容説明問題(6点)

葉公が正直だと評価した、③」父が羊を盗んだことを証言した者。③」

 

問2 現代語訳問題(6点)

親が犯した罪を隠すことはあっても、③」親を罪に陥れることはないものであり③」

 

問3 書き下し問題(8点)

あに①」ごさいのけいをさけて、①」ははのいのちをしする(ころす)を③」ゆるがせにするを②」えんや①」(〜たちまちに②」ははのいのちをしするを③」えんや①)。

 

問4 理由明問題(10点)

死罪を一等減じてもらうように願い出るのが②」親子の関係であるのに、②」母の罪を隠そうとせず、②」死罪に陥れる証言をしたことは、②」子としての道に外れるものであるから。②」

 

 

  二〇一一年 京大文系前期

 

第1問 (50点)

 問1 内容説明問題(8点)

老いて目が見えなくなり、役に立たないところを縫うようになった今でも、②」一日に一個の帽子を自分の手で作り続けてきたことが、②」自分の人生そのものであったという事実は、②」けっして揺るがない、ということ。②」(95字)

 

 問2 内容説明問題(8点)

帽子屋の人生には、①」帽子を作って生きていくという①」自分らしい生き方をしてきた①」彼なりの自負心と、①」国に貢献するようなこともなかったため、②」ひとりで死にゆくという①」寂しさが混在していた、ということ。①」(92字)

 

 問3 内容説明問題(8点)

時代によって変化する政治体制や支配者の論理を、②」どんなものであろうと受け入れるだけでなく、②」自ら率先してその思想を広め、②」支配者に加担して自己の保身を図ろうとする生き方。②」(82字)

 

 問4 理由説明問題(12点)

帽子屋のように、日々の仕事に没頭する生き方は、②」一見すると、政治体制や支配の論理に抗わないため、②」それを受け入れているかのように見えるが、②」自分の人生そのものである仕事を貫き通すという行為は、②」支配者の思想に組み込まれ屈することもなく、②」自らの意志で実現されるという点で、支配からは本質的に自由であるから。②」(148字)

 

 問5 内容説明問題(14点)

希望としての倫理によって生きることは、その時々の支配の論理を信じ込み、②」そこに理想的な世界の実現を見出して生きようとすることであるが、③」事実を倫理として生きることは、困難に満ちた現実を直視しながらも、③」支配の論理に惑わされることなく、③」日々自分の信じた生き方を貫き通して生きていく、という違い。③」(140字)

 

 

 

第2問 (50点)

 問1 内容説明問題(10点)

新劇の場合はさまざまな稽古の方法が確立しており、②」作品を深く解釈しながら、②」その方法論に基づいて、自分の人生経験を生かした演技ができるように訓練をするが、②」能の場合は稽古の方法などなく、②」また作品の解釈はほとんどせず、②」師から型や謡を教わり、ただひたすらその通りに本番でも演じられるように訓練するという違い。②」(149字)

 

 問2 内容説明問題(8点)

対象や時によって変化する情動を、②」役者が自らの作品解釈と②」人生経験を生かして、②」演劇的な方法を用いて表現すること。②」(54字)

 

 問3 内容説明問題(10点)

隅田川』で、誘拐された我が子を慕う母親が、『伊勢物語』の故事を思い出し、都に残した妻を恋い慕う業平に自分の状況をなぞらえたように、③」両者の恋い慕う対象も情動も異なるが、②」その恋い慕うという情動の深層にあって、②」それを生み出す本質的な心の作用は普遍的なものだ、ということ。③」(133字)

 

 問4 内容説明問題(10点)

時や対象によって変化する情動を超越した、②」根源的で普遍的な感情を、②」先人たちは言葉では表現することができないために、②」誰もが心動かされるような、①」舞や謡の身体的な型に込めて昇華し、②」代々伝えられるようにした、ということ。①」(105字)

 

 問5 内容説明問題(12点)

能は、舞や謡の型の中に込められた人間の根源的で普遍的な感情を表現する演技であるが、③」このような感情や身体的な感覚から目をそらしがちな現代社会では、③」能の身体技法に触れることによって、②」現代人の中に眠っているこうした感情を、②」自らの身体を通じて再認識する必要がある、ということ。②」(134字)

 

 

 

 

第3問 (50点)

 問1 理由説明問題(12点)

たいそう繁栄していた都が、②」年月を経て荒廃してしまった様子や、②」自分の住んでいた里などが、②」いつの間にか以前と異なり変わってしまったのを見て、②」自然と昔のことが思い出され、②」この世の無常を悲しむ気持ちが沸き起こってきたからに②」違いないと考えている。①」(118字)

 

 問2 内容説明問題(14点)

明石の尼君は、旧宅に帰っても戸惑うばかりで、②」むしろ遣水の方が主人のようだという歌を詠んだのも②」当然のことで、①」筆者自身も荒廃した旧宅を見て戸惑ったが、②」井戸水だけは昔と変わらず澄んでいるのを見て、②」今とは変わってしまった昔のことが自然と思い出され、②」もの悲しくも①」懐かしい気持ちになっている。②」(140字)

 

 問3 現代語訳(8点×3)

 (3)

荒れ果てた生家には、①」桜の花を賞美する人は①」誰もいないようであるのに、①」ちょうどよい時節を知っているかのように①」色づいている桜の花は、①」いったい誰に見せたいと思っているのだろうか②」と思うと①」(89字)

 

 (4)

物を言わない桜の花と承知はしているけれど、②」親兄弟が毎年春に集まって、①」花見に興じた昔のことを語り合える人は、①」もうこの世に誰もいないので、②」昔のことを尋ねてみたい庭の桜であるなあ。②」(87字)

 

 (5)

花盛りの時には、①」父の植えた白梅の木が①」まるで雪が積もっているかのように咲いて、②」一面に見渡すことができたのも、②」つい今しがたのような気持ちがして②」(69字)

 

 

  二〇一一年 京大理系前期

 

第2問

 問1 内容説明問題(8点)

肉筆で書かれたものには、②」続け字や略字にとどめられた①」作家の身体的動作の痕跡だけでなく、②」表現の完成を目指して①」推敲を重ねた作者の努力の痕跡も残されている、ということ。②」(80字)

 

 問2 内容説明問題(10点)

作品の価値は、推敲を経ることで純粋に抽象化された完成品のなかに表れるため、③」表現の努力の痕跡をありのままに示している、②」作家の肉筆原稿の写真版を見せると、②」かえって読者が純粋に作品を理解するのを妨げてしまうことになるから。③」(108字)

 

 問3 内容説明問題(12点)

完成された作品としての書かれる言葉には、②」書き手が自身の思想によって文章全体を見通し、①」冗漫で重複した無駄な表現を取り除く、②」という心構えと作業が不可欠であるという点で、②」即興的に口に出されるままに多少の訂正をするだけで、②」未完成にとどまった状態で役目を終えてしまう話される言葉とは、②」決定的に異なるということ。①」(150字)