周梨槃特のブログ

いつまで経っても修行中

もののけ三昧 ─日本中世の妖怪変化・怪奇現象─(Yokai and Haunting written in medieval diaries)

傷つく神

文明三年(1471)八月十四日条 (『経覚私要鈔』9─25頁) 十四日、甲寅、霽、 (中略) (実世)宮内卿公宥源 (摂津住吉郡) 一八条三品子息住吉辺ノ寺〈千住院」住人也、〉語云、五月比住吉神馬二疋 (マヽ) (津守国昭) 在之、五日分二疋ナカラ…

倒れる火柱

寛正三年(1462)五月十三日条 (『経覚私要鈔』5─293頁) 十三日、丁未、霽、(中略) 一或説云、自相国寺池火柱三本立了、一ハ仏殿方ヘ倒了、一ハ室町殿方ヘ倒了、 一ハ南ヘ倒了云々、令卜筮之処、南ヘ倒ハ南都希也占申云々、可恐々々、 「書き下…

空飛ぶ障子! 〜未確認飛光物体 その2〜

寛正三年(1462)五月二日条 (『経覚私要鈔』5─288頁) 二日、丙申、天曇、 (中略) (成身院) 一随身院経誉僧都来、語申云、相国寺内より障子ノ勢ホトノ物光テ西ヲ指飛、此条 (×入) 可申入欤如何哉之由、面々談合之処、不申入者不可然之由面々…

鹿を引き連れる春日大明神 付:怪異もろもろ

寛正三年(1462)四月十六日条 (『経覚私要鈔』5─277頁) 十六日、辛巳、霽、(中略) 一猿沢池反色候、以外事候、次於西御門前蛙戦候、一方ハ慈尊院前出る候ける、 〔仁〕 人々多以見云々、両篇先以可謂希欤、可驚、次元興寺二王躰罷出見之候、 い…

人間を産んだ猿

寛正二年(1461)十一月二十五日条 (『経覚私要鈔』5─184頁) 廿五日、(中略) 一或者語云、於山東谷猿生子、此子人也、人嘆之、猿返答云、来月内ニ三日帷を 着ヘキ事可在之、其ヲ咲カシト云説在之、 「書き下し文」 一つ、或る者語りて云く、山の…

妖怪 女面鯉鳥!

「妖怪 女面鯉鳥(にょめんりちょう)」 (『安位寺殿御自記』42巻─4枚目、国立公文書館デジタルアーカイブ、https://www.digital.archives.go.jp/DAS/pickup/view/detail/detailArchives/0410000000/0000000975/00) 【史料1】 長禄四年(1460)原表紙…

声はすれども姿は見えず

長禄二年(1458)十二月一日条 (『経覚私要鈔』4─106頁) 朔日、乙卯、霽、寒風超過者也、(中略) 一去廿七日玉手大宿所ニ有酒宴、五更時分事終了、其刻五十人計声ニテ切入、 多分醉臥之間、少々起合処無殊事之間、成不思儀〔議〕思、神慮難量之由…

鹿の嘆き

長禄二年(1458)五月二十九日条 (『経覚私要鈔』4─25頁) 廿九日、乙卯、霽、 (懐英) 北面賢春法師来語云、於社頭大宮殿後辺、神鹿事外臥之間、神人等走出見之処、 テン鹿ノヒタヰニ食付、依之臥欤間打放了、然而於鹿死云々、希代不思儀也、 〔奇…

バケモノの単位

「妖怪 サルイタチ」 康正三年(1457)六月十三日条 (『経覚私要鈔』3─204頁) 十三日 乙巳、霽、(中略) 一去月廿八日男山八幡宝殿人五六人も取合音為之間、告社僧開見之処、カホハ猿、 〔互ニヵ〕 身ハイタチノ如ナル者二人□□食合死了云々、希代…

お手軽人魂判別法!

享徳二年(1543)三月一日条 (『経覚私要鈔』3─51頁) 朔日、戊午、霽、(中略) 〔戌、下同ジ〕 (幸徳井) 〔マヽ〕 一夜前戊刻、光物愚坊東辺ヨリ飛之由金正申之間、相尋友幸之処、可為戊刻者非 〔為脱ヵ〕 〔ツヵ〕 人魂候、若亥刻者可為人魂之…

謎だらけの狐神楽?

宝徳二年(1450)三月二十四日・二十七日・四月三日条 (『経覚私要鈔』2─109・111・116頁) 廿四日、戊辰、雨、(中略) 一或者語云、於南都希共在之、先去廿日比欤、猿沢池上死人浮上、 若人身ヲナクル欤、不分明、是一、 於一言主狐神楽ヲ…

赤鬼と青鬼は実在した!

宝徳元年(1449)七月二・五日条 (『経覚私要鈔』2─45・46頁) 二日、 有少盃、在安上洛了、 〔一〕 □在安語云、越中国ニ椎名知行分内、夜々作物ヲ荒之間、郷村ノ人共夜待為之、 如案田畠損之者在之、仍取マハシテ打之、一人ハ打留之、一人クミ留…

盛られた蛇

「盛られた蛇」 文安四年(1447)閏二月十九日条 (『経覚私要鈔』1─167頁) 十九日、辛巳、甚雨、 (西忍) 楠葉語云、天王寺ニ在蛇、角在之、ヒレモ立、長三尺計、其色金色也云々、 人多以見之、出現吉凶如何、此間事云々、後聞、此蛇ハ本堂石破目…

物言ふ狐

「物言ふ狐」 文安四年(1447)閏二月六日条 (『経覚私要鈔』1─161頁) 六日、戊辰、霽、以外寒、(中略) (安位寺)(俊祐) 十七日(墓ヵ) 一先日当山浄土院語云、去月於布施蟇西社、狐物ヲ云、其云事ハアラカナシト二度 マテ云ケル云々、以外…

イカれた女 その2 〜器物損壊と放火〜 (A crazy woman Part2)

「イカれた女」 文安四年(1447)二月十一日条 (『経覚私要鈔』1─151頁) 十一日、癸卯、天曇、(中略) 〔柏槇、下同ジ〕 一木阿語云、興福寺西金堂ノ前ナル白眞木、枝トモ烏食折、假令人ノヲリカヌル ホトナルヲモ折云々、以外事欤、又春日社ノ金…

猿沢池のシシガミ様

「猿沢池のシシガミ様」 延徳二年(1490)七月十二日条 (『大乗院寺社雑事記』9─447頁) 十二日 (中略) 引剥也 一於猿沢池中恣人三人召取之、二人ハ則死、不吉々々、先日鹿一疋 (盗) 白布ヲ一反角ニ懸テ、池中ニ数剋立了、不思儀且如何、 「書…

山伏の秘術

文明十七年(1485)五月十五日条 (『大乗院寺社雑事記』8─302頁) 十五日 雨下、自日中晴、 (中略) 一雑説云、山伏数十人猿沢池之西辺ニ出来、於茶屋茶呑之、至太刀辛ヲ辺則不見云々、彼茶銭ハ木葉以下者也云々、近日事也、 「書き下し文」 一つ…

犬と猿の子は犬?

文明十六年(1484)五月六日条 (『大乗院寺社雑事記』8─176頁) 六日(中略) 一高田之宮之森ニ、犬与猿チキリテ猿エノ子ヲ生、不思儀事也、又正月ニ笋数百本 ヲヒ立、凡希代事条々也云々、平田庄ニ如何子細可出来哉、且又一国中和与無為 相歟、 「…

貧乏神と福の神 (God of poverty and God of fortune)

文明十五年(1483)六月二日条 (『大乗院寺社雑事記』8─26頁) 二日雨下、 (中略) 一石さ衛門尉罷下、京都無殊事、和泉堺福天十六七人、各女房也、入上京之由申 (貧乏ヵ) 云々、真実拜見者在之云々、又京都之賓法神五六十人男也、各鸎・ニワ鳥ヲ…

天狗のイタズラ その5 〜戦を起こす天狗〜 (Tengu's mischief ─part5)

文明十五年(1483)正月二十日・晦日・二月二日・四日条 (『大乗院寺社雑事記』7─488・493頁) 廿日夜雪下、(中略) 一当山天狗タヲシ自旧冬度々在之、若宮拜殿衆大略聞之云々、凡先々モ細々在之 事也、非可驚事也、故上座法眼隆舜ハ正シク於若…

赤童子の両義性?

【史料1】 天文三年(1534)「夢幻記」 (『多聞院日記』5─39頁) 天文三年甲午二月三日、予才十七、戒二、母ニ送テ釜口霊山院忌中三月ノ初疫病 煩ヒ、既ニ死ントス、師英繁ヨリ為祈祷大般若トモ転読、巻数并 赤童子蓮成院所持本尊下給、前後不覚、…

天狗のイタズラ その4 〜天狗の女房による未成年者略取〜 (Pillage of minors by Tengu's wife)

「妖怪 天狗の女房」 文明十四年(1482)四月二十九日条 (『大乗院寺社雑事記』7─392頁) 廿九日(中略) 一東門院僧正来、(中略)龍花院方ニ可有祈祷云々、其故ハ天狗之女房松林院之 前ニ出現、人之子ヲ取テ東山内エ行了、其子取返云々、 「書き…

天狗のイタズラ その3 (Tengu's mischief ─part3)

文明十一年(1479)正月二十二日条 (『大乗院寺社雑事記』6─496頁) 二十二日(中略) 一吉野之山上ニ去朔日雷光鐘二出現、大鐘也云々、天狗所為也、不思儀事也云々、 「書き下し文」 一つ、吉野の山上に去んぬる朔日雷光り鐘二つ出現す、大鐘なり…

蜂戦 ─「三日蜂」と「しし蜂」─

応永三十一年(1424)八月二十三日条 (『図書寮叢刊 看聞日記』3─55頁) 廿三日、晴、時正初日也、入風呂如例、抑今日御所棟上有しゝ蜂巣、三日蜂二卅 飛来、欲食蜂子、仍巣之廻しゝ蜂数千相集三日蜂と合戦、二時余噛合、死有疵 蜂数多、遂しゝ蜂負…

古記録にみる死霊の描写 ─室町時代はルネサンス?─ (Ghost written in a medieval diary)

文明三年(1471)閏八月十六日条 (『大乗院寺社雑事記』5─451頁) 十六日 (中略) 一中御門被相語、南朝方ニ此一両年日尊と号シテ十方成奉書、種々計略人在之、 (醍醐) 後酉酉院之御末也云々、南朝御方ニハ随分人也、可成将軍所存在之歟云々、去…

中世版“お迎え現象”? 〜早死の予感〜 (Premonition of premature death)

文明二年(1470)四月二十八日条 (『大乗院寺社雑事記』4─424頁) 廿八日 (中略) (閻) 一伝聞、当社西屋地蔵拜見者奉レ見二焔魔王一事有レ之、其躰ハ必早世云々、 (房) 先年仙観⬜︎如レ之奉レ見レ之、不レ久而他界了、今度東北院僧正又如レ此…

東大寺真言院のヒ・ミ・ツ

長禄四年(1460)三月二十二日条 (『大乗院寺社雑事記』2─252頁) 廿二日 (中略) 一東大寺真言院披見之、彼院ハ新禅院知行也、(中略)又真言院之西ニ阿伽井在之 (掘) (阿脱) 善無畏三蔵ノ被堀所也、仍件井ヲ天人来テ令応護彼天人ノ足跡伽井…

中世の祟りは連座制か!? (Curse that spreads)

長禄三年(1459)四月九日・十四日条 (『大乗院寺社雑事記』2─133頁) 九日 (超) 一越昇寺ノ塔坊自焼云々、自越智方竹木等払之、奈良中人夫悉以衆中ヨリ加下知、 遣彼在所云々、希代事也、本堂炎上歟之由風聞、事実者以外事也、平城天皇第一 皇子…

蝶々〜、蝶々〜、大路にとまれ〜♪ ─魂のシンボル─ (Soul symbol)

【史料1】 永享六年(1434)七月十一日条 (『満済准后日記』下─594頁) 十一日。晴。(中略) 一去比法性寺大路辺へ白蝶降下云々。豊年瑞之由。諸人申入旨三位法眼申入之間。 先規若如此事在之歟之由。御尋大外記業忠処。両度例注進之。最初天暦年…

姿の見えない帯商人とデカい女 (Yokai Obi merchant and female titan)

「妖怪 デカい女」 永享二年(1430)十二月十二日条 (『満済准后日記』下─197頁) 十二日。晴。(中略) 室町殿御所種々怪異尚不断絶云々。何日事哉らん。常御座所前御庭ニテ帯ヲ (之イ) 商売ス。女声也〔云々〕。忩被出人被見処不見候。希代事也…