五 大内義興安堵状
安芸国佐西郡佐方村洞雲寺領、元圓満寺薬師寺両寺分坪付在別紙之事、任二先規之
旨一諸役等所二免除一也者、早守二先例一云二寺家一云二寺領一、執務領掌不レ可レ有二
相違一之状如レ件、
(1521)
永正十八年三月十一日
左京大夫(花押)
當寺住持
「書き下し文」
安芸国佐西郡佐方村洞雲寺領、元圓満寺・薬師寺両寺分「坪付別紙之在り」事、先規
の旨に任せ、諸役等免除する所なり、てへれば、早く先例を守り寺家と云い寺領と云
い、執務領掌相違有るべからざるの状件のごとし、
「解釈」
安芸国佐西郡佐方村の洞雲寺領、もと圓満寺と薬師寺の両寺領分のこと。先例の通りに、諸役などは免除するものである。そうであるから、早く先例を守り、寺家についても寺領についても、事務を取り扱い領有することに間違いはない。安堵状の内容は以上のとおりである。
「注釈」
「佐方村」─廿日市町佐方(サガタ)・五日市町佐方(サカタ)。
「圓満寺」─廿日市町佐方(サガタ)・五日市町佐方(サカタ)地域にあった中世の廃
寺。現在も小字名として残る(『広島県の地名』)。
「坪付」─田地の所在地と面積を条里制の坪にしたがって帳簿上に記載するもの(『古
文書古記録語辞典』)。
「先規」─先例。1号文書・4号文書のことか。
「当寺住持」─四世興雲宗繁か。