九 前能登守親冬寄進状
安藝国三田新庄下村内寺原之良心知行分⬜︎⬜︎田一反、寄進申候由申候者間、親冬
(地)
寄進申候也之内一反者、道専之位拜料處寄進申處也、
一土橋湯屋谷田二反 本眞如庵敷地畠 同林之内田一反 妙光之位拜料處、岡之當庵
敷地畠寄進申處也、
一眞木之たハ之田一反 屋敷林 良阿之位拜料處寄進申所也、以二此旨一可レ有二御
披露一候、仍爲二後日一之状如レ件、
(1381)
康暦三年辛酉二月七日 前能登守親冬(花押)
「書き下し文」
安芸国三田新庄下村内寺原の良心知行分⬜︎⬜︎田一反、寄進申し候ふ由申し候ふ者間、親冬寄進申し候ふ地の内一反は、道専の位牌料所寄進申す処なり、
一つ、土橋湯屋谷田二反 本真如庵敷地畠 同林の内田一反 妙光の位牌料所、岡の当庵敷地畠寄進申す処なり、
一つ、真木の峠の田一反 屋敷林 良阿の位牌料所寄進申す所なり、此の旨を以て御披露有るべく候ふ、仍て後日のための状件のごとし、
「解釈」
安芸国三田新庄下村寺原の良心の知行分⬜︎⬜︎田一反を寄進申しますことを申し上げます。私親冬が寄進申します土地のうち一反は、道専の菩提を弔うための所領として寄進し申すものである。
一つ、土橋湯屋谷田二反、もと真如庵の敷地の畠・同林の内の田一反、妙光の位牌料所である岡の真如庵の敷地の畠を寄進し申すものである。
一つ、真木の峠の田一反・屋敷林を、良阿の位牌料所として寄進し申すものである。この内容を住職にご披露ください。よって後日のため、書状の内容は以上のとおりです。
「注釈」
「良心」─未詳。親冬の一族か。
「妙光」─未詳。親冬の一族か。
「土橋湯屋谷」─未詳。広島市安佐北区白木町大字三田近辺の小字か。
「良阿」─差出親冬の父親で、八号文書の「親家」のことか。