四〇 小早川義春自筆書状
楽音寺南方三分二之院主」職事、此之間自二方々一承二子細一候へ共、」重代相伝
(管)
無二相違一之由承候間、」如レ元可レ有二御官領一候、就二其者代」官職事一、自二
(由緒)
円御堂方一ゆい」所ある之由申され候、無二子細一候者」目出度候、節料物かへ者
なく候間、」状もんて令レ申候、帰国の時委細」之状したゝめ候て令レ進候、
恐々」謹言、
(異筆)(1379)
「永和五年〈己未〉」
二月十八日
安芸守義春(花押)
観智阿闍梨御房
「書き下し文」
楽音寺南方三分の二の院主職の事、此の間方々より子細を承り候へども、重代相伝相違無きの由承り候ふ間、元のごとく御管領有るべく候ふ、其の者の代官職の事に就き、円御堂方より由緒ある之由申され候ふ、子細無く候はば目出度く候ふ、節料物かへは無く候ふ間、状を以て申さしめ候ふ、帰国の時委細の状を認め候ひて進らせしめ候ふ、恐々謹言、
「永和五年〈己未〉」
二月十八日
安芸守義春(花押)
観智阿闍梨御房
「解釈」
楽音寺南方三分の二の院主職のこと。近頃、方々から異論をお聞きしておりますが、先祖代々相伝してきたことに間違いはない、とお聞きしておりますので、以前のように、ご領有になるべきであります。院主の代官職のことについては、円御堂方からそれに補任される根拠があると申されました。異論がないのでしたら、喜ばしいことです。節日行事費用の負担はありませんので、書状でそのことを申し上げます。帰国したときには、詳細を記した書状を認めまして差し上げます。以上、謹んで申し上げます。
「注釈」
「かへ」
─未詳。「節料物」の「替へ」、つまり現物の替えとなる金銭・費用を意味するか。