七 僧頼信譲状并小早川弘景証判
譲与
(職)
梨子羽郷内南方楽音寺東禅寺并一宮学頭識事
右、於二彼両寺并一宮学頭識一者、依レ為二重代相伝之住持識一、相二副代々御判
(寄)
并寺家奇進之重書等一、所三譲二与弟子頼春一明鏡也、仍有レ限寺役等、任二先例一
無二懈怠一可レ被二勤仕一者也、仍為二後日一譲状如レ件、
(1418)
応永廿五年〈戊戌〉十月十五日
僧頼真(花押)
(証判)
慈雲御房 「平弘景(花押)」
「書き下し文」
譲与する
梨子羽郷内南方楽音寺・東禅寺并びに一宮学頭職の事
右、彼の両寺并びに一宮学頭職に於いては、重代相伝の住持職たるにより、代々の御判并びに寺家寄進の重書等を相副へ、弟子頼春に譲与する所明鏡なり、仍て限り有る寺役等、先例に任せ懈怠無く勤仕せらるべき者なり、仍て後日の為譲状件のごとし、
「解釈」
譲与する、梨子羽郷内南方の楽音寺・東禅寺の住持職、ならびに豊田一宮の学頭職のこと。
右、この両寺の住持職と豊田一宮学頭職については、師資相承の住持職であることから、代々の御判物や寺家への寄進状などの貴重な書類を副えて、弟子慈雲房頼春に譲与することは明らかである。したがって、重要な寺役等を、先例のとおり、怠けることなく勤仕なさるべきものである。よって、後日のため譲状は以上のとおりである。