七 沙弥眞阿売券
(端裏書)
「□やしきのうりけん おきの五郎入道 正和三」
売渡屋敷之事
在壹所 四至〈限東万才家 南限大道」限西小路 限北大道〉
宛直銭五貫文者〈在四郎太郎売券案」是ノ通候」但正文ハ眞阿ニ留此、〉
右件於レ地者、相互ニ依レ有二用要一、限二永代一沽渡処実也、但彼地ニ違乱妨
候ハヽ、設雖レ有二御徳政一不レ可レ有二他妨一、仍為二後日沙汰一証文之状如レ件、
(1314)
正和三年〈才次」甲寅〉八月廿二日
沙弥眞阿(花押)
「書き下し文」
売り渡す屋敷の事
在り一所 四至〈限る東は万才の家 限る南は大道 限る西は小路 限る北は大道〉
宛つ直銭五貫文てへり〈在り、四郎太郎売券案は是の通りに候ふ、但し正文は真阿に此れを留む〉
右件の地に於いては、相互に用要有るにより、永代を限り沽り渡す処実なり、但し彼の地に違乱・妨げ候はば、たとひ御徳政有りと雖も他の妨げ有るべからず、仍て後日の沙汰の為証文の状件のごとし、
「解釈」
売り渡す屋敷のこと。
一箇所。その場所の境界であるが、東は万才助の家を限り、南は大道を限り、西は小路を限り、北は大道を限る。
銭五貫文を代価に当てる。四郎太郎の売券案はこのとおり渡します。ただし、正文は私真阿のもとに留めます。
右、この屋敷地については、互いに必要があるので、永久に売り渡すことは事実である。ただし、この屋敷地に違乱や妨害があるならば、たとえ徳政令が執行されたとしても、売買契約を取り消すような妨害があってはならない。そこで、後日の訴訟のために証文の内容は以上のとおりである。
*「四郎太郎売券案」は『蟇沼寺文書』五号文書を指します。