三二 真田敬賀制札添状 ○東大影写本ニヨル
(端裏書)
「十七ヶ条添状」
就二山中悪事一、以後之制札老僧様申二合興平一以二判形一被レ申候、已後之事者
以二此筋目一堅可レ被二仰付一事千万目出度候、此旨違乱於二悪事一者、一段従二
此方一可二申付一候、其時聊我等非二無沙汰一候、此由山中へ御披露簡要候、
恐惶謹言、
(八月)
南呂初六日 敬賀(花押)
仏通寺 納所禅師
「書き下し文」
山中悪事に就き、以後の制札老僧様興平と申し合わせ判形を以て申され候へ、已後の事は此の筋目を以て堅く仰せ付けらるべき事千万目出度く候ふ、此の旨に違乱する悪事に於いては、一段此方より申し付くべく候ふ、其の時聊かも我ら無沙汰に非ず候ふ、此の由山中へ御披露簡要に候ふ、恐惶謹言、
「解釈」
寺中の悪事について、これ以降の制札は老僧様が小早川興平とご相談になり、花押を据えてお作りになってくださいませ。以降のことについて、この手続きによって厳密にご命令になるべきことが、きわめてすばらしいことです。この内容に背く悪事については、いっそうそちら様から取り締まるように命じてください。そのとき、我らが放っておくことはありません。この内容を寺中にご披露することが大切です。以上、謹んで申し上げます。