四 小早川元平寄進状
仏通寺正法院領所々、或本物返、或年記永地之事、於二自今已後一者、不レ可レ
有二其煩一者也、殊徳政等事、堅可レ令二成敗一、然者可レ為二新寄進一之状如レ件、
(1481)
文明十三年正月十日
掃部助元平(花押)
「書き下し文」
仏通寺正法院領の所々、或いは本物返、或いは年紀永地の事、自今以後に於いては、其の煩ひ有るべからざる者なり、殊に徳政等の事、堅く成敗せしむべし、然れば新たに寄進と為すべきの状件のごとし、
「解釈」
あちこちの仏通寺正法院領のうち、本物返の土地、あるいは年紀売の土地のこと。今後は、正法院の領有に妨害があってはならないものである。とりわけ徳政などのことは、厳格に処置しなければならない(徳政が発令された場合、本物返地・年紀売地は本主に返還しなければならない)。そこで、これらの土地を新たに寄進地とすることは、以上のとおりである。
「注釈」
*本物返や年紀売契約では徳政の対象になるので、その土地を寄進して永領地にするという契約に変更した文書と考えられます。