一〇 毛利氏奉行人書状(切紙)
被レ対二貳分内蔵助殿一御状并数通之御証文、令二披見一候、則遂二披露一候之
(二分内蔵助)
処、被二仰出一之旨候条、委細二蔵へ申渡候、於二我等一者少も不レ可レ有二疎略一
候、仍貳十疋送給候、吉悦之至候、猶重畳可二申承一候、恐々謹言、
(兒玉)
四月廿七日 就忠(花押)
正法院 まいる 尊答
「書き下し文」
貳分内蔵助殿に対せらる御状并びに数通の御証文を、披見せしめ候ふ、則ち披露を遂げ候ふの処、仰せ出ださるるの旨候ふ条、委細二蔵へ申し渡し候ふ、我れらに於いては少も疎略有るべからず候ふ、仍て貳十疋送り給はり候ふ、吉悦の至りに候、猶ほ重畳申し承るべく候ふ、恐々謹言、
「解釈」
二分内蔵助殿に対して送られた御書状と数通の御証文を披見しました。すぐに元就様(or隆元様)に披露しましたところ、ご命令になることがありましたので、詳細に二分内蔵助へ申し渡しました。我らとしても、正法院様に対して少しもいい加減に対処するつもりはありません。二十疋を送っていただきました。このうえなく喜んでおります。なお、重ねがさねお話をうかがうつもりです。以上、謹んで申し上げます。