周梨槃特のブログ

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お手軽人魂判別法!

 

  享徳二年(1543)三月一日条

        (『経覚私要鈔』3─51頁)

 

  朔日、戊午、霽、(中略)

   〔戌、下同ジ〕                 (幸徳井)  〔マヽ〕

 一夜前戊刻、光物愚坊東辺ヨリ飛之由金正申之間、相尋友幸之処、可為戊刻者非

      〔為脱ヵ〕                       〔ツヵ〕

  人魂候、若亥刻者可為人魂之由申間、重仰云、外初夜早鳴了、当所五□未鳴由

  申、可為如何様哉令不審之処、以其所時刻境令沙汰無子細事之由申之、然者可

            〔祟、下同ジ〕

  為戊刻欤、雖己家人之崇、非愚老之崇由勘申間、仰神妙之由了、

 

 「書き下し文」

 一つ、夜前戌の刻、光る物愚坊の東辺りより飛ぶの由金正申すの間、友幸に相尋ぬるの処、戌の刻たらば人魂に非ざるべく候ふ、若し亥の刻たらば人魂たるべきの由申すの間、重ねて仰せて云く、外の初夜は早く鳴り了んぬ、当所五つ未だ鳴らざるよし申す、如何様たるべきや不審せしむるの処、其の所の時刻の境を以て沙汰せしむれば子細の事無きの由之を申す、然れば戌の刻たるべきか、己の家人の祟りと雖も、愚老の祟りに非る由勘申する間、神妙の由仰せ了んぬ、

 

 「解釈」

 一つ、「昨夜の戌の刻(午後8時ごろ)、光るものが私(経覚)の僧坊の東のあたりから飛び出した」と金正(坊?)が申したので、私(経覚)は陰陽師の幸徳井友幸に尋ねたところ、友幸は「戌の刻であれば人魂ではないでしょう。もし亥の刻(午後10時ごろ)であれば人魂でしょう」と申した。続けて、「(金正は)『他の場所の初夜の鐘(戌の刻・午後8時に鳴らす鐘)は早くに鳴った。ここではまだ5回鳴っていなかった』と申した。(その場合は)どのようになるのかはっきりしない」と私(経覚)がおっしゃったところ、友幸は「その場所の時刻の境目によって判断すれば問題はない」と申した。そうであるなら、戌の刻であろう。自分の家人への祟りであっても、私(経覚)への祟りではない、と友幸は占って報告したので、私はよかったとおっしゃった。

 

 Kinshoboh said that last night around 8 pm, something shiny came flying up from around the east of Kyougaku's monastery, so I (Kyougaku) asked onmyoji Kadei Tomoyuki. Tomoyuki replied that if the glowing object appeared around 8 p.m., it probably wasn't a human soul, and if it appeared around 10pm, it would be a human soul. Kinshoboh said bells were ringing to signal 8 p.m. elsewhere, but not here yet. When I (Kyougaku) said that it was not clear what would happen in that case, Tomoyuki replied that we could judge whether it was a human soul or not by the time of day at that location. If so, the time when something shiny appeared would be around 8 p.m. Tomoyuki told me that even though it was a curse on my (Kyougaku) family and servants, it was not a curse on me, so I felt relieved.

 (I used Google Translate.)

 

 

 「注釈」

「金正」─未詳。経覚の坊官か。

 

 

【考察】

 人魂の判別法ってご存知ですか?

 私は、色、形、大きさなどを織り交ぜた複雑な基準があるのではないか、と難しく考えていたのですが、まさか出現時間のみで人魂かどうかを判定しているとは思ってもみませんでした。陰陽師幸徳井友幸の説によると、亥の刻(午後10時〜午前0時)の間に光る物が出現した場合には、人魂と判断していたようです。

 さて、陰陽師の判定法に従うと、今回出現した「光る物」は人魂ではなくなるのですが、それにもかかわらず、「光る物」は祟りの証と見なされています。人魂ではない「光る物」。それはいったいどんなもので、なぜ祟り証と判断されたのでしょうか。陰陽道も、調べてみるとおもしろそうです。