二〇 来島通康安堵状
能美嶋之内、五貫三百五十文足之事、
所二申付一也、坪付有二別紙一、
右、任二前々旨一、進退不レ可レ有二相違一之状如レ件、
(1565)
永禄八年卯月廿五日 通康(花押)
(景重)
能美与三殿
「書き下し文」
能美嶋の内、五貫三百五十文足の事、
申し付くる所なり、坪付別紙に有り、
右、前々の旨に任せ、進退相違有るべからざるの状件のごとし、
「解釈」
能美嶋のうち、五貫三百五十文の得分のこと。
能美与三の所領として申し付けるものである。坪付注文は別紙に認めた。
右のことは、以前からの約束(先例の内容)のとおりに、所領を支配することに間違いがあるはずもない。
「注釈」
「足」─課役などの負担、また負担する人、および費用、経費、収入などの意に広く用
いられる。料足、公事足、無足のように他の語の下につけて用いられることが
多い。銭のことを「おあし」という(『古文書古記録語辞典』)。ここでは安
堵された土地の得分ぐらいの意味でしょうか。
「坪付」─田地の所在地と面積を条里制の坪にしたがって帳簿上に記載するもの(『古
文書古記録語辞典』)。
「前々旨」─18・19号文書では、同じ箇所が「先例之旨」になっています。「前々
旨」もこれと同じことだと考えられます。
「能美与三殿」─十代景重。