周梨槃特のブログ

史料紹介という修行

楽しい古記録(Mysterious events and strange customs in Medieval Japan)

賀茂大明神のお引っ越しとその本所

文明二年(1470)五月二日条 (『大乗院寺社雑事記』4─425頁) 二日 (中略) 一伝聞、賀茂大明神者御在国、御領加賀国ニアリ、元弘等大乱之時例云々、御正躰・御神宝以下、悉以奉納唐櫃等、社官等奉相具之、各在国、希有事也、当社本所ハ当国葛木賀…

中世版“お迎え現象”? 〜早死の予感〜 (Premonition of premature death)

文明二年(1470)四月二十八日条 (『大乗院寺社雑事記』4─424頁) 廿八日 (中略) (閻) 一伝聞、当社西屋地蔵拜見者奉レ見二焔魔王一事有レ之、其躰ハ必早世云々、 (房) 先年仙観⬜︎如レ之奉レ見レ之、不レ久而他界了、今度東北院僧正又如レ此…

東大寺真言院のヒ・ミ・ツ

長禄四年(1460)三月二十二日条 (『大乗院寺社雑事記』2─252頁) 廿二日 (中略) 一東大寺真言院披見之、彼院ハ新禅院知行也、(中略)又真言院之西ニ阿伽井在之 (掘) (阿脱) 善無畏三蔵ノ被堀所也、仍件井ヲ天人来テ令応護彼天人ノ足跡伽井…

中世の祟りは連座制か!? (Curse that spreads)

長禄三年(1459)四月九日・十四日条 (『大乗院寺社雑事記』2─133頁) 九日 (超) 一越昇寺ノ塔坊自焼云々、自越智方竹木等払之、奈良中人夫悉以衆中ヨリ加下知、 遣彼在所云々、希代事也、本堂炎上歟之由風聞、事実者以外事也、平城天皇第一 皇子…

池の水ぜんぶ抜く大作戦!?

【史料1】 康正三年(1457)七月二十二日・八月四日条 (『大乗院寺社雑事記』1─195・204頁) 廿二日 一社頭神人共高山ノ池ヲカユ、為祈雨也、然間高山ノ上計ニ大雨下テ、山計ノ外 無其儀、希事也、(後略) 四日 (中略) 一龍花院方於天満拜殿…

双頭蓮

康正三年(1457)七月十九日条 (『大乗院寺社雑事記』1─193頁) 十九日 (中略) 一去十三日上北面専親大安寺ノ東池ヨ杉山ノ池リ双頭蓮ヲ取進、希代ノ蓮也、今日 家門一条殿ニ上進之、去年相国寺ノ山門ノ前ノ池ニ開了、一天下ノ為見物了、 又去月末…

チョー、ハカザキ! ─筋金入りのキス魔と悪口由来の隠語─ (A kissaholic in Medival Japan)

文正元年(一四六六)閏二月五日条 (『蔭凉軒日録』2─93・94) 五日 前二月晦日。以二寛正年号一見レ改二文正一云々。(中略) 前夕招二安富勘解由左衛門之次。所司代多賀豊後守東坊。浦上美作守。巣河次郎。 宗湛。慶阿弥一。小宴談笑消レ日。入レ夜…

蝶々〜、蝶々〜、大路にとまれ〜♪ ─魂のシンボル─ (Soul symbol)

【史料1】 永享六年(1434)七月十一日条 (『満済准后日記』下─594頁) 十一日。晴。(中略) 一去比法性寺大路辺へ白蝶降下云々。豊年瑞之由。諸人申入旨三位法眼申入之間。 先規若如此事在之歟之由。御尋大外記業忠処。両度例注進之。最初天暦年…

姿の見えない帯商人とデカい女 (Obi merchant ghost and Yokai big woman)

永享二年(1430)十二月十二日条 (『満済准后日記』下─197頁) 十二日。晴。(中略) 室町殿御所種々怪異尚不断絶云々。何日事哉らん。常御座所前御庭ニテ帯ヲ (之イ) 商売ス。女声也〔云々〕。忩被出人被見処不見候。希代事也。又西向御台御座所 …

熱してもお湯にならない水 (Water that does not warm when heated)

応永三十四年(1427)八月十日条 (『満済准后日記』上─444頁) 十日。晴。(中略) 宝池院自去五日歓喜天供始行。今暁結願云々。被相語云。結願沐浴ノ為多羅ニ入 水如常居火上温処。此水更ニ不温。余ノ不審ノ故。多羅ノ中ヲ見処ニ。塵ノ様 ナル物二…

特集 変女・奇女! 〜ホラーとジェンダー〜

*変女? 変なる女? 奇女? 奇しき女? いったいどのような読み方をしていいのかもわかりませんが、とにかく奇妙な女が現れました。 【史料1】 応永二十二年(1415)七月二十三・二十六日条 (『満済准后日記』上─72頁) 廿三日。〈己丑。天晴。〉相…

神の油断とそのお詫び

【史料1】 嘉吉三年(一四四三)十二月九日条 (『図書寮叢刊 看聞日記』7─93頁) 〔執〕 九日、晴、(中略)抑祇園修行夢想ニ造内裏遅々、急速可有沙汰之由、祇園被示、 執行召仕下女 〔託〕 其後物付俄物狂、沙を食して詫宣云、内裏炎上之日ハ祇園守護…

中世若狭のラップ現象 ─竈が吠えた!─ (The rap phenomenon)

嘉吉三年(一四四三)十一月十三日条 (『図書寮叢刊 看聞日記』7─84頁) 十三日、晴、(中略)抑若狭有社頭伊勢、贄殿竈、去八九月之間連日吠、社人卜 (武田信賢) 之、九月廿二三日之間ニ可有大乱云々、守護ニ注進令祈祷、果而内裏炎上、謀反 人露顕、…

走りだす鞘にキレる将軍 (The sheaths of short swords started running)

嘉吉元年(一四四一)六月二十三日条 (『図書寮叢刊 看聞日記』6─293頁) 廿三日、小雨降、(中略) (頭書) 「後聞、今日公方御腰刀鞘走、他之御腰物被召寄、又サヤハシル、御腹立云々、 御怪異如此歟、」 「書き下し文」 二十三日、小雨降る、(中略…

てるてるビーフ、てるビーフ♪ ─てるてる坊主史研究?への提言─(Magic spell for praying for fine weather)

応永三十一年(1424)七月十七日条 (『図書寮叢刊 看聞日記』3─47頁) (生島) 十七日、晴、明盛参、世事語之、牛一枚〈板切両方」ニ二頭書、〉持参、当絵所預 秀行筆云々、雨降之時牛ヲ逆ニ釣、然者雨晴云々、其為絵所ニ可令書之由兼仰付 了、仍持…

おすすめ書籍

現在私は、「楽しい古記録」や「中世の妖怪変化・怪奇現象特集」というカテゴリーで、日本中世の不思議な出来事や奇妙な慣習を紹介しています。こうした記事をまとめた研究書はないものかと探していたところ、ずいぶん前に出版されていたことを、最近知りま…

闇夜にかかる虹 (Moonbow)

文安元年(一四四四)閏六月十四日条 (『康富記』2─66頁) 【頭書】虹夜立事、康保有例、其外希有云々、 十四日壬戌、晴、後聞、今夜戌剋、乾方虹立云々、衆人見之云々、予不見之、虹者向 日立者也、日在東則虹立西、又日在西則虹立東方也、夜陰虹見事希…

国家的要注意人物 ─中世的障害者観─(A loose cannon in Medieval Japan)

嘉吉元年(一四四一)五月十六日条 (『図書寮叢刊 看聞日記』6─280頁) 十六日、晴、持斎如例、(中略)抑聞、異形之比丘尼自奥州上洛、此間徘徊云々、其 形有目一云々、但片顔ニ額より大なるこふありて、おとかひまてさかる、其下ニ 分明 有眼歟、不■■…

妖怪たちの乱痴気騒ぎ (Yokai parade)

嘉吉元年(一四四一)二月二十七日条 (『図書寮叢刊 看聞日記』6─257頁) 廿七日、晴、時正中日也、持斎如例、(中略)抑此間一条もとり橋東爪ニ夜々有 (細川持常) 拍物、三ヶ夜めニ、細河讃州聞之、人を出して令見、忽然而失、妖物所行也、仍 公方へ…

あかちゃんの頭… (Baby's head ...)

永享十年(一四三八)二月十・十一日条 (『図書寮叢刊 看聞日記』6─123頁) (賀茂) 十日、晴、(中略)抑台所縁下赤子頭犬食来歟、巳時見付、吉凶不審之間、在貞朝臣 捨 尋之、凡赤子頭ハ吉事之由申、其所ニ埋云々、然而不審事也、在貞返事病事・ (…

切り裂き女房 ─Nyobo the Ripper─  付:妖怪「鳶人」

【史料1】 永享十年(一四三八)二月六日条 (『図書寮叢刊 看聞日記』6─121頁) 六日、晴、暁風吹、(中略)聞、此間公方御所中変化之物〈女房云々〉、女中切髪、 或切小袖、其人目ニ見、他人不見云々、不思議事歟、御祈無退転云々、 「書き下し文」 …

竹の中からトクトクと… ─竹取物語の変異譚 part2─(The power of Vaiśravaṇa)

永享八年(一四三六)七月五日条 (『図書寮叢刊 看聞日記』5─296頁) 五日、晴、入夜雨下、自公方五色二籠・酒蘸十桶・沸出酒小棰一給、件酒ハ河内国 〔者〕〔沙〕 住人窮困之物毘舎門ニ祈請、為其利生竹を切、中より酒沸出、又味噌も涌出 云々、(後略…

唾液フェティシズム (Saliva fetishism)

永享八年(一四三六)三月二十七日条 (『図書寮叢刊 看聞日記』5─255頁) (土御門) 廿七日、晴、(中略)陰陽師有重参、霊気祭今月仕事之間、禁裏申沙汰、仍是へも 持参之由申、四半紙十三枚ニ鶏一羽つヽ書、是ニ御唾被吐懸可給之由申、一年中 閏月ま…

天狗のイタズラ その2 (Tengu's mischief ─part2)

永享八年(一四三六)三月二十三日条 (『図書寮叢刊 看聞日記』5─254頁) 廿三日、晴、予誕生日来廿五日祈禱疏大光明寺進之、書名字如例、浄喜馳申、行蔵庵 小喝食庵ニ火を付、已燃上之処見付消之、喝食則逐電、月見岡辺河ニ入て泣、草刈 童部見付庵へ…

数珠が切れたんですけど… (The string of the Buddhist rosary snapped.)

永享八年(一四三六)二月二十四日条 (『図書寮叢刊 看聞日記』5─242頁) 廿四日、小雨降、(中略)次北野参、欲所作之処、念珠緒切了、是吉瑞云々、仏神之 前所作之時緒切事、所願成就之瑞云々、殊珍重也、(後略) 「書き下し文」 二十四日、小雨降る…

永松庵妊婦殺人事件

永享七年(一四三五)三月二十四・二十七日条 (『図書寮叢刊 看聞日記』5─98頁) 廿四日、晴、(中略) (裏書) 「廿四日、今暁永松庵僧超俊逐電、相尋之処、舟津下女密会懐妊了、〈為九 曰 月」云々、〉件女を永松庵門前畠麦中ニ殺けり、血流之間尋求…

室町時代のルパン三世 ─泉涌寺より愛をこめて─

【史料1】 永享七年(一四三五)二月二十一日条 (『図書寮叢刊 看聞日記』5─87頁) 廿一日、晴、(中略)抑去十八日夜、泉涌寺塔頭青苔院へ強盗入、自兼倉之尻を (見怡) 穿て財宝悉取放火、近辺塔頭同炎上云々、青苔院へ西雲庵なと重宝文庫ニ被預置 …

観音霊場の威力 ─中世の物体移動現象─ (Phenomenon of moving things without notice)

永享六年(一四三四)四月十一日条 (『図書寮叢刊 看聞日記』4─304頁) (庭田幸子)(田向経兼女)(庭田重有室)(田向長資)(西大路) 十一日、晴、早朝石山参詣、南御方・ 近衛 ・ 御乳人 ・源三位・隆富朝臣・ (庭田)(世尊寺)基祐 山 重賢・…

中世利根川のポロロッカ!?

永享五年(一四三三)十月廿六日条 (『図書寮叢刊 看聞日記』4─235頁) 廿六日、雨降、入風呂如例、(中略)抑関東有不思儀之怪異、先大地震、堂舎顛倒、 (全ヵ) (利根) 人多死、又八幡宮〈鶴岡」歟、〉金灯炉焼失、〈金焼」云々〉、又刀祢川逆ニ流…

両頭の蛇 (Two-headed snake)

永享五年(1433)閏七月二十七日条 (『図書寮叢刊 看聞日記』4─204頁) 廿七日、晴、朝両頭小蛇一方入頭穴之間不見、尾方有頭、両頭初而見、希有事也、 「書き下し文」 二十七日、晴る、朝両頭の小蛇一方の頭を穴に入るるの間見えず、尾の方にも頭…