八 梨子羽郷預所下文写
コヽニカキハンアリ
美作守殿御下文
宛行
沼田庄梨子羽郷弁海名主職事
源孫鶴丸
右以レ人補二任彼職一、有レ限年貢恒例御公事、任二先例一可レ致二沙汰一之状、
所レ仰如レ件、庄家宜承知敢勿二違失一、故以下、
(1338)
暦応元年九月二日
「書き下し文」
此処に書判有り
充て行ふ 沼田庄梨子羽郷弁海名主職の事
源孫鶴丸
右人を以て彼の職に補任す、限り有る年貢・恒例の御公事を、先例に任せ沙汰致すべきの状、仰する所件のごとし、庄家宜しく承知し敢へて違失すること勿かれ、ことさらに以て下す、
「解釈」
源孫鶴丸に給与する、沼田庄梨子羽郷弁海名名主職のこと。
右、源孫鶴丸をこの名主職に補任する。重要な年貢や恒例の御公事を、先例のとおりに納めなければならない、と仰せである。梨子羽郷の住人らはこの命令を必ず承知し、けっして背いてはならない。格別に下達する。
「注釈」
「美作守殿」─未詳。