周梨槃特のブログ

いつまで経っても修行中

三原城城壁文書(楢崎寛一郎氏舊蔵)10

    一〇 毛利元就書状

 

   結句隆景ハ御腹中いかゝニ候せうし候、元春之儀早々御出待申候へく候、所々成替候ハんと

   推量仕候へく候、

 中郡雑説之事弥如此申候、何篇にも此方動なく候間、見かけ候て不可有正体待て

 まいらせ候へく候、口惜次第無念候、かやうにすまぬ事ハ候ハす候、此度之儀更々

 何そおさへまいらせ候やと存計候へく候、何もかもならぬ仕合候へく候、我等事

 ひとへニたゝ無計方無了簡儀まいらせ候へく候、

                      かしく

 (捻封ウハ書)

 「                 より

  〈元春」隆景〉まいる 申給へ   元就」

 

 「書き下し文」

 中郡雑説の事弥此くのごとく申し候ふ、何篇にも此方働きなく候ふ間、見かけ候ひて正体有るべからず待ちてまいらせ候ふべく候ふ、口惜しき次第無念に候ふ、かやうにすまぬ事は候はず候ふ、此度の儀更々何ぞおさへまいらせ候ふやと存ずるばかりに候ふべく候ふ、何もかもならぬ仕合に候ふべく候ふ、我等の事ひとへにただ計方も無く了簡も無き儀まいらせ候ふべく候ふ、

 

   結句隆景は御腹中いかがに候ふ、笑止に候ふ、元春の儀早々御出でを待ち申し候ふべく候ふ、所々成り替はり候はんと推量仕る候ふべく候ふ、

 

 「解釈」

 中郡の根も葉もないうわさのことは、ますますこのように申し上げます。こちらはまったく成果がございませんので、見かけましても頼りにもならず待ち申し上げております。残念な次第で無念です。この度の件は、まったくもって抑える申し上げることができないと存ずるばかりでございます。何もかも思いどおりにならない成り行きでございます。我らのことは、ただまったく方法や計略もなく、何の考えもなく参上するつもりです。

 

   結局、小早川隆景のご心中はいかがにでしょうか。気の毒なことでございます。吉川元春の件ですが、早々にお出でになるのを待ち申しあげております。ところどころ成り替わるだろうと推量し申し上げております。

 

*書き下し文・解釈ともにほとんどわかりませんでした。