周梨槃特のブログ

史料紹介という修行

Life Work

恥─激怒─自殺の相関性

人間はさまざまな動機(原因や目的)によって、自ら命を絶とうとするのですが、その原因の1つと目されるものに恥があります。私がこれまでに紹介した記事のなかにも、恥と自殺の関係をうかがわせる事例がいくつもありましたが(「自殺の中世史30」・「自…

恥の心理学 その3

M・ルイス『恥の心理学』(ミネルヴァ書房、1997年) *単なる備忘録なので、閲覧・検索には適していません。 また、誤字・脱字の訂正もしていません。 P194 第9章 自己の病理 それでは、心理的な障害に関してはどうだろうか。たしかに、環境の変化によっ…

恥の心理学 その2

M・ルイス『恥の心理学』(ミネルヴァ書房、1997年) *単なる備忘録なので、閲覧・検索には適していません。 また、誤字・脱字の訂正もしていません。 P140 第7章 感情への反応 恥とは小さな粒子のようなものである。残された痕跡、つまりそれがもたらし…

恥の心理学 その1

M・ルイス『恥の心理学』(ミネルヴァ書房、1997年) *単なる備忘録なので、閲覧・検索には適していません。 また、誤字・脱字の訂正もしていません。 第2章 情動生活 情動(emotion)は感情(feeling)か P15 まず、emotion、affect、feelingという言葉…

身心一如(しんじんいちにょ)

『正法眼蔵随聞記』三ノ二十一 (『日本古典文学全集27』小学館、1971年、408頁) また云はく、得道の事は、心を以て得るか、身を以て得るか。教家等にも、身心一如と云つて、身を以て得るとは云へども、なほ、「一如の故に」と云ふ。正しく、身の…

自殺の中世史3─15 〜刑罰としての切腹と代理自害 分析編〜

*今回の事件(史料1〜3)については、清水克行「室町殿の紛争解決法」(『室町社会の騒擾と秩序』吉川弘文館、2004、89〜91頁)、同「復讐の衝動」(『喧嘩両成敗の誕生』講談社選書メチエ、165・166頁)で検討されているので、詳細はそち…

自殺の中世史3─14 〜刑罰としての切腹と代理自害 史料編〜

【史料1】 応永三十一年(1424)三月十四日条 (『図書寮叢刊 看聞日記』3─24) 十四日、晴、 (中略) (満元) 〔招〕 抑後聞、今日前管領細河、屋形有喧嘩事、為節養赤松一党詔請有大飲、而安東 (義雅) ゝゝ〈公方近習、〉酔臥之処、赤松左馬助…

自殺の中世史3─13 〜殉死未遂〜

応永二十九年(1422)閏十月二十三日条 (『図書寮叢刊 看聞日記』2─237) 廿三日、晴、 (中略) (忠嗣) 抑聞、此間近衛前関白最愛妻室他界、不堪悲歎太閤欲切腹、人々刀奪取留之、 其後被切本鳥、不能取留、則被出家云々、頗狂気歟、雖悲歎如此…

自殺の中世史3─12 〜喧嘩と自殺 Part2〜

【史料1】 応永二十七年(1420)八月二十二日条 (『増補史料大成 康富記』1─113) 廿二日戊午 晴、 (中略) 後聞、今日於八幡御山櫻本坊、土岐宮内少輔ト同右馬頭ト及喧嘩、宮内少輔既 自害、右馬頭被疵云々、室町殿御参籠中之間、以外上下騒動云…

自殺の中世史3─11 〜親子不和の責任と自殺〜

応永二十五年(1418)六月十五日条『東院毎日雑々記』 (『大日本史料』第7編32冊、235頁、https://clioimg.hi.u-tokyo.ac.jp/viewer/view/idata/850/8500/02/0732/0235?m=all&s=0235) 十五日、〈甲午〉、(中略)高畠布袋五郎入道切腹死云々、与…

自殺の中世史3─10 〜経済苦は自殺の超歴史的原因か?〜

応永二十五年(一四一八)三月八日条(『図書寮叢刊 看聞日記』1─199) 八日、霽、(中略) (中院) 抑三条坊門大納言通守卿去月十日令二自害一、以二小刀一喉吭かき切云々、春日祭 上卿事被レ仰、難二治故障一之由申、猶現見被レ仰、窮困過法難レ叶之…

自殺の中世史3─9 〜喧嘩と自殺 Part1〜

応永二十年(1413)二月十四日条 (『満済准后日記』上─13) 十四日。〈甲子。」風雨。〉法楽連歌。戌末刻武衛禅門宿所ニ於テ若党喧嘩。一方 当座死去ナカミネ名字。一方ウソウ名字。於門前自害云々。 「書き下し文」 十四日、〈甲子、風雨、〉法楽連…

自殺の中世史3─8 〜井戸への身投げ〜

応永十九年(1412)四月四日条 (『山科家礼記』1─13) 四日、天陰、刑部次郎カ妻東洞院ノ井ニ入水ス、希代事也、 「書き下し文」 四日、天晴る、刑部次郎が妻東洞院の井に入水す、希代の事なり、 「解釈」 四日、晴れ。山科家の中間、刑部次郎の妻が…

自殺の中世史3─7 〜東寺の大湯屋と自殺勧告〜

応永十七年(1410)十二月二十八日条 『東寺廿一口供僧方評定引付』1─199(思文閣出版、2002) 十二月廿八日 教遍 宣弘 宗海 賢仲 紹清 杲暁 重賢 宗源 宏済 賢我 宗順 長賢 快寿 快玄 光演 (大輔) (中将) 一 重禅阿闍梨殺害并光淳阿闍梨自…

自殺の中世史3─6 〜僧侶の昇進と自殺未遂〜

応永十七年(1410)十一月十七日条『大乗院日記目録』一 (『大乗院寺社雑事記』十二、角川書店) 十七年 (中略) 十一月十七日、寺務良兼法印被切腹、極官事無勅許故云々、 「書き下し文」 十一月十七日、寺務良兼法印切腹せらる、極官の事勅許無き故…

自殺の中世史3─5 〜自殺とパーソナリティ?〜

応永三年(1396)十一月二十五日『荒暦』 (『大日本史料』第7編2冊、583・584頁、https://clioimg.hi.u-tokyo.ac.jp/viewer/view/idata/850/8500/02/0702/0583?m=all&s=0583&n=20) (山科) 十一月五日、己未、晴、去夜鴨社炎上之由有巷説、然…

手段と目的の逆転

『正法眼蔵随聞記』二ノ十三 (『日本古典文学全集27』小学館、1971年、354頁) 示に云はく、人は思い切つて、命をも捨て、身肉・手足をも斬る事は、なかなかせらるるなり。しかれば、世間の事を思ひ、名利・執心のためにも、かくの如く思ふなり。…

意志と行為 ─自殺史料の分析に意味はあるか?─

私は以前、「自殺の中世史18〜22」という記事で、自殺史料の分析視角・課題・展望をまとめたことがあります。ところが、関連文献を読んでいくうちに、いくつか考え直さなければならないことに気づいたので、ここでいったんまとめておこうと思います。 前…

下園壮太著書

下園壮太『人はどうして死にたがるのか』(文芸社、2003年) *単なる備忘録なので、閲覧・検索には適していません。 また、誤字・脱字の訂正もしていません。 1 感情のプログラム P20 私たちの体には、この原始人の生活にうまく適応するための仕組みが備…

命は大事

『正法眼蔵随聞記』一ノ六 (『日本古典文学全集27』小学館、1971年、321頁) (前略)また、病も治しつべきを、わざと死せんと思うて、治せざるも、また、外道の見なり。仏道には、命を惜しむ事なかれ、命を惜しまざる事なかれと云ふなり。より来…

高橋祥友著書

高橋祥友「自殺未遂の実態」 (『自殺未遂─「死にたい」と「生きたい」の心理学』講談社、2004、79〜83頁) *単なる備忘録なので、閲覧・検索には適していません。 また、誤字・脱字の訂正もしていません。 P79 死への恐怖感が低くなる 前項とも…

自殺関係論文一覧 その2

*単なる備忘録なので、閲覧・検索には適していません。 また、誤字・脱字の訂正もしていません。 2010.2 大山眞一 中世武士の生死観5 日本大学大学院総合社会情報研究科紀要10 日本大学 論文 63 天下を治める天皇家という公が源平武者の大義名分kとする…

自殺関係論文一覧 その1

*単なる備忘録なので、閲覧・検索には適していません。 また、誤字・脱字の訂正もしていません。 出版年月 著者 論題 書名・雑誌名 出版社 媒体 頁数 内容 注目点 1938.10 新渡戸稲造 勇・敢為堅忍の精神 武士道 岩波文庫2014.1 著作 45 しかしながら、武士…

自殺の中世史 37 ─中世の説話10(魂と肉体の二元論)─

「飛騨国猿神止生贄語第八」『今昔物語集』巻二十六 (『日本古典文学全集』23、小学館、1974、552〜554頁) 「原文」 今昔、仏ノ道ヲ行ヒ行僧有ケリ。何クトモ無ヒ行ケル程ニ、飛騨国マデ行ニケリ。 而ル間、山深ク入テ、道ニ迷ニケレバ、可出…

村井康彦論文

村井康彦『文芸の創成と展開』(思文閣出版、1991) *単なる備忘録なので、閲覧・検索には適していません。 また、誤字・脱字の訂正もしていません。 「中世武門の精神構造」(初出1977) P253 武者の罪業意識 むろんこれらがすべて実話とは思え…

自殺の中世史3─4 〜雪辱目的の自殺と称賛〜

応安六(1373)年十月二十三日条 (『後愚昧記』2─127頁) 官人大判事、(坂上) 明法博士(中原) 廿三日、伝聞、早旦於正親町烏丸、明宗〈号姉小」路判官、〉・章頼〈号勢多」 (後光厳上皇御所柳原殿) 判官、〉両官人召取人云々、是去月卅日夜推…

自殺の中世史3─3 〜自殺の先例化 分析編〜

【自殺の中世史3─2のつづき】 以前、「自殺の中世史2─9・10 〜現世の浄土と自殺〜」という記事で、嘉元二年(1304)に石清水八幡宮で起きた「大山崎神人集団切腹事件」を紹介しましたが、またしても同様の事件が起きてしまいました。ただ今回の場…

自殺の中世史3─2 〜自殺の先例化 史料編〜

【史料1】 応安四(1371)年四月九日条 (『後愚昧記』2─32頁) (三善廣衡) 〔率〕 九日、(中略)良證語曰、八幡宮神人閉籠之間、社務卒勇士押寄之処、件閉籠神人 等切腹之間、神殿・神宝以下悉触穢了、希代事候也云々、 【史料2】 応安四(13…

自殺の中世史3─1 〜称賛された自殺〜

応安四(1371)年四月一日条 (『後愚昧記』2─31頁) 〔北小路万里小路〕 一日、智恵光院辺騒動、相尋之処、土佐国住人佐川〈仮名、実名」不知之、〉居住 (細川頼之) 件寺中、而執事為四国管領之間、仰可発向南方之由之処、固辞之間、為誅伐、差遣 …

自殺の中世史2─10 〜現世の浄土と自殺 分析編〜 (Suicide and Heaven on Earth part2)

【「自殺の中世史2─9」からのつづき】 嘉元二年(1304)九月十三日、石清水八幡宮山上の社殿で、閉籠していた大山崎神人たちが集団で切腹事件を起こしました。いったい、なぜこのような事件が起きたのでしょうか。まずは、この事件の概要を説明してお…