周梨槃特のブログ

いつまで経っても修行中

ライフワーク 番外編2 ─中世の名誉・恥・死生観─

ぼろぼろの死生観

『徒然草』第百十五段 (『日本古典文学全集27』小学館、1971年、182頁) 宿河原といふところにて、ぼろぼろ多く集まりて、九品の念仏を申しけるに、外より入り来たるぼろぼろの、「もしこの御中に、いろをし房と申すぼろやおはします」と尋ねけれ…

命の価値

『徒然草』第九十三段 (『日本古典文学全集27』小学館、1971年、166頁) 「牛を売る者あり。買ふ人、明日その値をやりて、牛を取らんと言ふ。夜の間に、牛死ぬ。買はんとする人に利あり、売らんとする人に損あり」と語る人あり。 これを聞きて、か…

弓矢の道・兵の道

「宗行の郎等虎を射る事」『宇治拾遺物語』巻第十二・第十九話 (『日本古典文学全集』二八、小学館) 今は昔、壱岐守宗行が郎等を、はかなき事によりて、主の殺さんとしければ、小舟に乗りて逃げて、新羅国へ渡りて、隠れて居たりける程に、新羅の金海とい…

ブラックなパレード 〜中世儀礼の強制力〜

【史料1】 長禄二年(1458)七月二十五日条 (『大乗院寺社雑事記』1─440頁) 廿五日 一室町殿義─政 御拜賀、扈従公卿 (中略) (語) 一九条大納言殿御共三条実文朝臣、於殿中腹気子細在之、言悟道断次第、 先代未聞事云々、 「書き下し文」 一つ…

勇者の誉れ

『徒然草』第八十段 (『日本古典文学全集27』小学館、1971年、156頁) 人ごとに、我が身にうとき事をのみぞ好める。法師は兵の道を立て、夷は弓引く術知らず、仏法知りたる気色し、連歌し、管絃を嗜みあへり。されど、おろかなるおのれが道よりは…

身心一如(しんじんいちにょ)

『正法眼蔵随聞記』三ノ二十一 (『日本古典文学全集27』小学館、1971年、408頁) また云はく、得道の事は、心を以て得るか、身を以て得るか。教家等にも、身心一如と云つて、身を以て得るとは云へども、なほ、「一如の故に」と云ふ。正しく、身の…

手段と目的の逆転

『正法眼蔵随聞記』二ノ十三 (『日本古典文学全集27』小学館、1971年、354頁) 示に云はく、人は思い切つて、命をも捨て、身肉・手足をも斬る事は、なかなかせらるるなり。しかれば、世間の事を思ひ、名利・執心のためにも、かくの如く思ふなり。…

命は大事

『正法眼蔵随聞記』一ノ六 (『日本古典文学全集27』小学館、1971年、321頁) (前略)また、病も治しつべきを、わざと死せんと思うて、治せざるも、また、外道の見なり。仏道には、命を惜しむ事なかれ、命を惜しまざる事なかれと云ふなり。より来…

自殺の中世史 吾妻鏡4 〜捕縛は恥か!?〜

文治五年(1189)九月七日条 『吾妻鏡』第九(『国史大系』第三二巻) 七日甲子、宇佐美平次實政生虜泰衡郎從由利八郎、相具參上陣岡、而天野右馬允則景生虜之由相論之、二品仰行政、先被注置兩人馬并甲毛等之後、可尋問實否於囚人之旨、被仰于景時、々…

あ〜、高くついたなぁ… ─中世における殺人事件の慰謝料─

宝徳二年(1450)七月十九日条 (『康富記』3─190頁) 十九日辛酉 晴、 (中略) 或語云、和泉守護細川兵部少輔去年被誅山臥之間、都鄙山臥楯籠新熊野社頭、呼集諸 国山臥、率大勢、一昨日可押寄兵部少輔屋形、(割書)「綾小路万里小路、」且新熊 …