解題
御調郡久井町江木に鎮座する稲荷神社には、今なお「場の魚」と呼ばれる宮座の儀式が伝えられている。社家供僧の座である巫子座のほか、領家座(東座)、地頭座(西座)がある。山科家は領家座の御頭触付頭をつとめる家である。地頭座の御頭触付頭の定光家にも江戸初めの御頭次第注文が残っている。
当社は杭庄八村の祭る社であり、天慶元年(九三八)、下津へ勧請し、後に現在地へ移されたという。
当社は、小早川隆景寄進になる大般若経(県重文)を蔵する。その奥書を付録(一〇八五〜一〇九七頁)。
荷
稲◯御当之覚
△了家分 △地頭分
国広 兼正
乗時 行実
時宗 国末
実光 森数
行広 国時
広光 近吉
広正 宗信
重宗 為安
是重 貞末
貞清 旦光
吉広 宗重
是清 友重
森重 久年
光信 影久
長正 為清
森光 兼本
末正 森兼
末成 高透
宗乗 宗藤
森広 末信
国行 年信
近末 吉国
貞森 近広
乗宗 清実
宗平 時乗
末近 友安
末宗 安森
貞友 太郎丸
石丸 末藤
為安 宗里
末長 重乗
重藤 光ふさ
貞久 行兼
光正 秋安
吉光 時森
貞信 重年
近重 末年
有末 清宗
秋光 重実
藤森 宗広
国安 貞広
光長 旦処
近広 重常
是兼 壹人者高透
貞広 貞光
末光 友宗
西へ入ル光宗 秋安
実正
当
右御稲荷御湯文移シ、
(1589)
慶長三年
八月十五日 □□(花押)
貞光源右衛門