一九 毛利輝元書状(切紙)
鉄炮衆之儀被仰越候間、急度可差上候、何れの口へ可差遣候哉、此御返可承候、
若又其元ニ被置せ事候ハゝ、御用時差上候様可申付候間、其内此表置可申候、
何時も御一左右次第可差上候、自然遅々候すると可被思召候、少も其段ハ不可有
緩候、とかく御返ヨリ可得其心候、恐々謹言、
右馬
三月廿七日 輝元(花押)
隆景 参人々申給へ
「書き下し文」
鉄炮衆の儀仰せ越こされ候ふ間、急度差し上ぐべく候ふ、何れの口へ差し遣はすべく候ふや、此の御返し承るべく候ふ、若し又其元に置かせらるる事候はば、御用の時差し上げ候ふ様申し付くべく候ふ間、其の内此の表に置き申すべく候ふ、何時も御一左右次第差し上ぐべく候ふ、自然遅々候はすると思し召さるべく候ふ、少も其の段は緩有るべからず候ふ、とかく御返しより其の心得べく候ふ、恐々謹言、
「解釈」
鉄炮衆の件をおっしゃって来られましたので、急いで派遣し申すつもりです。どの出入り口へ派遣するのがよいでしょうか。このお返事をいただきたく存じます。もし再びそちらに鉄炮衆を配置なさることがありますなら、ご用命のときには派遣し申しますように言い付けておくつもりですので、そのうち、こちらの最前線に配置し申すつもりです。いつでもご指示の一報をいただき次第、鉄炮衆を派遣し申すつもりです。もしや派遣が遅れるとお思いになっているのでしょうか。この件については、まったくいいかげんに扱っておりません。いずれにせよ、お返事をいただいてから、そちらのお考えを理解するつもりです。恐々謹言。