七 梨子羽郷預所下文写
コヽニカキハンアリ
宛行 梨子羽郷弁海名事
源信成所
右件名田、任二前中司富小路民部権大輔入道下知状之旨一、如レ元令二進退領掌一、
於二有レ限御公事一者、無二懈怠一可レ被レ致二其沙汰一、仍下知如レ件、庄家宜承知
敢勿二違失一、故以下、
(1336)
建武三年五月二日
「書き下し文」
此処に書判有り
充て行ふ 梨子羽郷弁海名の事
源信成の所
右件の名田、前中司富小路民部権大輔入道の下知状の旨に任せ、元のごとく進退領掌せしめ、限り有る御公事に於いては、懈怠無く其の沙汰を致さるべし、仍て下知件のごとし、庄家宜しく承知し敢へて違失すること勿かれ、ことさらに以て下す、
「解釈」
源信成に給与する、梨子羽郷弁海名のこと。
右、件の名田は、前中司富小路民部権大輔入道の下知状の内容のとおり、元のように領有して支配し、重要な御公事については、怠けることなく納めなければならない。よって、下文は以上のとおりである。梨子羽郷の住人らは必ずこの命令を承知し、けっして背いてはならない。格別に下達する。