周梨槃特のブログ

史料紹介という修行

須佐神社文書 参考史料2の5

   五〇 小童祇園社祭式歳中行事定書 その5

 

 一十八日 散銭開振舞 神前両人ヨリ招人左之通

           陸奥 形部 加賀 薦敷

  十七日十八日散物神前両人二ツ割之事

  三体御輿之前散物十三日ヨリ十四日御幸迄輿番四人之者頂戴

  三体御輿御旅殿ニテノ散物者薦敷頂戴之事

  大御輿之前散物之内舛物折敷壱杯宛(割書)「舛取万吉薦敷千吉」頂戴

  厳島宮前右ニ同

  御祭礼中御神楽散物之内三太夫ヨリ左之通配分

    小麦  三舛  薦敷江

    同   壱舛  伴次江俵一俵代

    同   弐舛  警固江

  厳島宮散銭十三日昼ヨリ十六日夕迄祢宜留十郎頂戴

  比叡権現  右同断  祢宜 保蔵   同

  君達宮   右同断  祢宜 (割書)「加賀増蔵」隔年 同

  八幡宮   右同断  祢宜 千吉   同

 

  天日神社

  八将神

  伊勢太神宮 右同断  祢宜 万吉   同

  稲荷大明神

  本社散物打戻り

  [以上の五項目の上に横線あり。すべて万吉の頂戴分か。分かりやすいように一行

   空けていますが、本来は空白はありません。以下同]

 

  実光若宮  右同断     実光   同

 

  惣若宮

        右同断  祢宜 陸奥   同

  矢田殿若宮

  [以上の二項目の上に横線あり。すべて陸奥の頂戴分か]

 

  伽藍荒神

        右同断     薦敷   同

  随臣

  [以上の二項目の上に横線あり。すべて薦敷の頂戴分か]

 

  大御輿

  十王堂

        右同断     神宮寺納(割書)「平常同様」

  金牛若宮

  荒神

  [以上の四項目の上に横線あり。すべて神宮寺の頂戴分か]

 

  薬師堂  年中一切正願寺引請

 一八月十四日 放生会御神事

  御神酒 御神供  大禰宜ヨリ弁備

  御神事吹囃 (割書)「峠山根麓正広」 四谷ヨリ打入申事

  本社散物十四日朝ヨリ十五日春日井神事的馬神前仁参詣致候迄之分禰宜致頂戴旧例

  也

  廊下立番警固エ弐匁遣ス事九月九日茂同様禰宜実光ゟ出、末社散物夫レ々頂戴本社

  与同断

  諸方参詣之人々ヨリ御神楽献上料物三太夫引請

 

   つづく

 

*書き下し文は省略します。

 

 「解釈」

 一つ、十八日。散銭開の振舞。神宮寺別当と大禰宜伊達紀伊守の二人が左の人を招

 く。

           広田陸奥・田中形部・陶山加賀・薦敷千吉

  十七日・十八日の供物は、神宮寺別当と大禰宜伊達紀伊守の二人が二つに割って頂

  戴すること。

  三体御輿の前の供物は、十三日から十四日の神幸までの御輿番の四人が頂戴する。

  三体御輿の御旅所での供物のうち、枡物を供えた折敷を一つずつ、枡取の万吉と薦

  敷の千吉が頂戴する。

  厳島宮の前の供物も、右に同じ。

  御祭礼中の御神楽の供物のうち、三太夫から左の通りに配分する。

    小麦三升は薦敷千吉へ。同じく小麦一升は伴次郎へ俵一俵の代として。同じく

    小麦二升は警固番へ。

  厳島宮の賽銭は、十三日の昼から十六日の夕方までの分を、厳島禰宜留十郎が頂戴

  する。

  比叡権現も、右と同様の期間で得た賽銭を、比叡禰宜保蔵が頂戴する。

  君達宮も、右と同様の期間で得た賽銭を、陶山加賀と君達宮禰宜の増蔵が隔年で頂

  戴する。

  八幡宮も、右と同様の期間で得た賽銭を、八幡宮禰宜千吉が頂戴する。

  右と同様の期間で得た、天日神社・八将神伊勢大神宮・稲荷大明神の賽銭と、本

  社への還幸のときの供物は、八将神禰宜の万吉が頂戴する。

  実光若宮も、右と同様の期間で得た賽銭を、本社禰宜実光が頂戴する。

  惣若宮と矢田殿若宮も、右と同様の期間で得た賽銭を、惣若宮禰宜の広田陸奥が頂

  戴する。

  伽藍荒神と随神も、右と同様の期間で得た賽銭を、薦敷千吉が頂戴する。

  大御輿・十王堂・金牛若宮・荒神宮も、右と同様の期間で得た賽銭を、神宮寺へ納

  める。平時も同様。

  薬師堂は、年中すべての賽銭を正願寺が頂戴する。

 

   つづく

 

 「注釈」

「散銭開」─賽銭箱を開く行事か。

「神前両人」─神宮寺別当と大禰宜伊達紀伊守の二人。

「舛物」─枡で計量された供物。米や小麦のことか。

「枡取」─枡を使ってはかること。また、その人(『日本国語大辞典』)。

「薦敷」─未詳。神事で薦を用意する役目のものか。名前は千吉(「小童祇園社祭式歳

     中行事定書 その4」参照)。

「正願寺」─広島県三次市甲奴町小童一三四八。曹洞宗円通寺正願禅寺。貞享元年(一

      六八四)開山。