一六 綱安書状寫
『竪紙書翰』
其元ニ長々罷居候与三右衛門事、又被二召還一候て御つかい候する事肝要候、
(致ヵ)
於二我等一者少も御等閑不レ存候、爲二其御報一如レ此候、尚口上ニ令レ申、恐々謹言、
甲寅
二月廿一日 綱安
(ウハ書)(宗勝ヵ)
「石井弥三郎殿 綱安
まいる御宿所 」
「書き下し文」
其元に長々罷り居り候ふ与三右衛門の事、又召し還され候ひて御つかい候はんずる事肝要に候ふ、我等に於いては少しも御等閑に致さず候ふ、其の御報のため此くのごとく候ふ、尚ほ口上に申さしむ、恐々謹言、
「解釈」
そちらに長々と出向いておりました与三右衛門のこと。再び(こちらに)呼び戻しまして使いますようなことが大切です。私たちの方では(与三右衛門を)少しもいい加減には扱いません。さらに口頭で申し上げさせます。以上、謹んで申し上げます。