七 小早川弘平自筆書状(折紙)
尚々存る子細候て」如レ此申候、思召分」らるへく、」かしく、
(備後御調郡)
連々礼儀を無沙汰候間、与風」因島江罷渡候、軈而々々帰宅」仕可二申承一候、仍
度々承候つる」金剛坊事、年内之儀者、」先々如レ今にて被レ置候て可レ然候、」
年明候者御存分之儘可二」申合一候、聊不レ可レ有二聊爾一候、」委細能源十郎可レ
申候、」恐々謹言、
極月廿一日 弘平(花押)
法持院 御同宿御中
*改行は 」 で記載しました。
「書き下し文」
連々礼儀を無沙汰候ふ間、ふと因島へ罷り渡り候ふ、軈て軈て帰宅し仕り申し承るべく候ふ、仍て度々承り候ひつる金剛坊の事、年内の儀は、先々今のごときにて置かれ候ひて然るべく候ふ、年明け候はば御存分の儘申し合はすべく候ふ、聊かも聊爾有るべからず候ふ、委細能く源十郎申すべく候ふ、恐々謹言、
極月廿一日 弘平(花押)
法持院 御同宿御中
尚々存ずる子細候ひて此くのごとく申し候ふ、思し召し分けらるべく、かしく、
「解釈」
たびたびそちらへのご挨拶を欠いております間に、はからずも因島へ渡航しました。すぐに帰宅し申し上げ、お話を伺うつもりでおります。そこで、たびたび伺っておりました金剛坊のことですが、年内のことは、まず今までのように据え置きなさるのが適切です。年が明けましたなら、そちらのお考えのとおり、相談し申し上げるのがよいです。少しも軽はずみな行動をとってはなりません。詳細は源十郎が丁寧に申し上げるはずです。以上、謹んで申し上げます。
なお、私にも考え申していることがありまして、このように申し上げました。それをご推察ください。