四五 しやくしん名田譲状案
永代ゆつりわたす名田事
合垣内大町田ニあいたの者
右件田ハ、かきの木下一反なわしろの町一反大まち田ニ一斗年貢のところを、こん大
(永代) (實)
夫ニゑいたいゆつりわたすところしちなり、たゝし大みやのしんとねのとう、御ねん
く六十歩のまゑを、先例ニまかせてさた申へく候ものなり、仍爲後日ゆつり状如レ
件、
(1375)
應安八年卯乙七月廿四日
ありはん
くしまのならはなのしやくしん
「書き下し文」(可能な限り漢字仮名交じりにしました)
永代譲り渡す名田の事
合わせて垣内大町田にあいたのてへり
右件の田は、柿の木下一反・苗代の町一反・大町田に一斗年貢のところを、こん大夫に永代譲り渡す所実なり、ただし大宮のしんとねのとう、御年貢六十歩の前を、先例に任せて沙汰申すべく候ふものなり、仍て後日の爲譲状件のごとし、
「解釈」
永久に譲り渡す名田のこと。
都合 垣内大町田にあいたの?
右の田地は、柿の木の下一反・苗代の町一反・大町田のうち年貢を一斗納める所を、こん大夫に永久に譲り渡すことは事実である。ただし、大宮の新刀禰の頭役として御年貢を納入する六十歩の部分を、先例どおりにあなた(こん大夫)は勤め申し上げなければなりません。よって、将来の証拠のため譲状は以上のとおりです。
「注釈」
「大宮」─未詳。久嶋郷内の大町にある八幡神社のことか。
「しやくしん」─五郎大夫しゃくしん。11・37・40・46号文書に現れます。
*46号文書と同日の譲状です。