一二 厳島社神主藤原了親(親詮)書状
御礼委細承了、
抑舊冬入二見参一申奉之条、于レ今難レ忘悦入候、自然之御次者可レ有二御尋一候、
又御茶大勢賜候之条、返々喜入候、自二當方一こそ可レ進候ニ、結句送給候之条
難二申盡一候、委細定荘原坊主御物語候歟之間、令二省閣一候之事候、期二後信一
候、恐惶謹言、
卯月廿四日 了親(花押)
「書き下し文」
御札委細承り了んぬ、
抑も旧冬見参に入り申し奉るの条、今に忘れ難く悦び入り候、自然の御次いでは御尋
ね有るべく候ふ、又御茶大勢賜り候ふの条、返す返す喜び入り候ふ、当方よりこそ進
らすべく候ふに、結句送り給ひ候ふの条申し尽くし難く候ふ、委細定めて荘原坊主御
物語り候ふかの間、省き閣かしめ候ふの事に候ふ、後信を期し候ふ、恐惶謹言、
「解釈」
お手紙の内容は詳細に承りました。
そもそも昨年の冬にお目にかかりましたことは、今でも忘れられず喜んでおります。もしよい機会があれば、お尋ねください。また、お茶をたくさんくださいましたことに、とても喜んでおります。こちらから差し上げるべきでしたのに、結局そちらから送ってくださったことへの感謝の気持ちは、言葉では言い尽くせません。細かいことはきっと荘原坊主がお話しになるかと思いますので、省略することでございます。次のお便りをお待ちしております。以上、謹んで申し上げます。