九 清唯外三名連署規式 ○東大影写本ニヨル
一当寺住持、可レ守二三年之規式一事
始二於当年三月一至二来々年二月一、凡三十六月、
一番衆不レ可レ有二懈怠一事
(仏通寺・天寧寺)
若怠慢者不レ可レ許二両寺并門中出入一、
(一山中)
□□□僧、不レ許二無レ伴而出入一事
一山中諸庵、除二含暉昭堂之外一、不レ許二尼女出入一事
(一)
□寺家自今以後、不レ許三自買二田畠一事、但有二檀方之置文一、許レ随二其旨一、
右件々以二衆評議一、永為二 仏通寺不易之規式一、
(1423)
応永三十年三月十四日
(覚伝)
玄胤(花押)
(宗綱)(恵)
慧統(花押)
(覚隠)
真知(花押)
(諾渓)
清唯(花押)
「書き下し文」
一つ、当寺住持三年の規式を守るべき事、
当年三月に始まつて、来々年の二月に至る、凡そ三十六月、
一つ、番衆懈怠有るべからざる事、
若し怠慢せば両寺并びに門中の出入りを許すべからず、
一つ、山中僧無伴にして出入るを許さざる事、
一つ、山中の諸庵含暉昭堂を除いて外、尼女の出入りを許さざる事、
一つ、寺家今より以後、自ら田畠を買ふ事を許さず、但し檀方の置文有らば、其の旨に随ふを許す、
右の件々衆の評議を以て、永く仏通寺不易の規式と為す、
「解釈」
一つ、当寺の住職は、在任三年間の規則を守らなければならないこと。
当年三月から始まり再来年二月に至るまで、およそ三十六ヶ月。
一つ、番衆は怠けてはならないこと。
もし怠けたら、仏通寺・天寧寺両寺ならびにその門派の出入りを許してはならない。
一つ、山中の僧侶は、供なく出入りするのを許してはならないこと。
一つ、山中の諸庵は、含暉院昭堂を除いて、尼女の出入りを許してはならないこと。
一つ、寺家は今後、自ら田畠を買うことを許してはならない。ただし、檀那方の置文があれば、その取り決めに従うことを許す。
右の条項は衆議によって、永久に仏通寺不変の規則とする。
「注釈」
*『仏通寺住持記』にはほぼ同文の文書が書き写されています。その返り点や送り仮名を参考にして、書き下し文や解釈を作っています。
なお、この文書については「仏通寺住持記 その9」でも紹介しています。