周梨槃特のブログ

いつまで経っても修行中

楽しい日記 その2(追加継続中)

2024.5.2〜5

 今年のGWは、妻と鳥取・島根旅行に出かけました。3月に京都に出かけたときには、それほど珍しい出来事はなかったのですが、今回はちょくちょくオモシロ体験をさせてもらいました。

 初日は鳥取市内のホテルに移動するだけで終わり、2日目の5月3日(金)から本格的に観光を始めました。最初に鳥取砂丘に向かい、その次に訪れたのが天台宗の摩尼寺。観光客でごった返していた砂丘とは異なり、静寂に包まれた境内を穏やかな気持ちで堪能していたところ、ご住職が話しかけてこられました。「今日はいい気が満ちているから、本堂に入ってお参りしてください」と。どういうことだろうかと思っていたら、たまたま三千仏の掛け軸を出して、三千仏礼拝行をなさっていたそうなのです。この掛け軸をかけるのは数年ぶり、しかもこの時期にかけることはないそうなのです。話を聞いたところ、ちょうどいま、ご住職のお弟子さんが比叡山で修行をしており、無事に得業することを願って師匠自らも礼拝行をなさっていたのです。またしても珍しいタイミングで呼ばれてしまいました。

 話はこれで終わりません。興の乗ったご住職は、僧侶がどのような視点で護摩行をしているのかがわかるからと、なんと私たちを導師の座る座布団の上に座らせてくださったのです。目の前には厳粛に整えられた護摩壇とご本尊、そして上を見上げると、両サイドから龍の彫り物がこちらを睨みつけていました。こんな雰囲気ではいいかげんには祈れないでしょう。こうおっしゃるご住職の言葉の意味が、座るとよくわかりました。

 次に、三千仏の掛け軸の前に移動し、五体投地のやり方も教えていただきました。まさか、このような作法まで教えてもらえるとは…。掛け軸の前の畳は、何千回も五体投地をしたために黒ずんで擦り切れていました。三千仏礼拝行というのは本当に過酷な行であり、生半可な気持ちでは続けられないということが、視覚的にもよくわかりました。

 最後に、ご住職はおもむろにご本尊のほうに向かわれ、とあるお札を取って戻り、それをくださいました。これ、いい奉納料がするはずなんだけどなぁ〜、もったいない。

 ご住職はお寺のパンフレットや鳥取県の観光案内を手渡してくださりながら、わざわざ山門まで見送ってくださいました。そのときです。とうとう虫嫌いの妻の日傘にトンボが留まったのです! 私は自らを「トンボ師」と名乗るほど、トンボがよく留まるのですが、今まで妻に留まったことはありませんでした。あ〜、やっとこっち側の人間へと覚醒したんだなぁと思い、なんだか嬉しくなりました。おそらく、トンボが安心して留まれるほど、穏やかな気持ちでいられたのでしょう。ご住職からも、またお参りに来てくださいというお言葉をいただけたし、ありがたいお札をいただいたにもかかわらず、微々たるお賽銭しかお納めできていないことが何より心残りなので、また機会を見つけてお参りに行きたいと思いました。

 

 さて、次に向かったのは白兎神社。摩尼寺のご住職曰く、ここは縁結びの神社として有名で、昨年は卯年だったから参拝者がめちゃくちゃ多かったそうです。そんなことは何も知らず、ただ因幡の白兎神話で有名だから、ブラタモリの訪問先だったからという理由で選んだのですが、よくよく考えてみると、私たち夫婦は「卯」に縁があるのです。

 遡ること6年前、初めてのお泊まり旅行で京都に行ったときのことです。私たちは下鴨神社に参拝したのですが、拝殿の前には十二支の守護神を祀る「言社」が鎮座していました。私は巳年で妻は午年なので、それぞれの干支の社の前でお参りをしようとしていたところ、何を思ったのか、妻は卯年の社の前で拝みはじめたのです。私は最初、「こいつ、鯖を読んでたのか?」と疑ったのですが、あとで聞いてみると、「卯年」と「午年」の「う」がかぶっていたために、勘違いしたそうですw。このとき妻が何を願ったのかは知りませんが、私たちは図らずも、昨年の卯年に永遠の誓いを立てました。もはや縁結びの神社には縁がなくなったかと思っていたのですが、「卯」の神へお礼参りをするために、意図せずして白兎神社を参拝先に選定したのかもしれません。

 

 その後、渋滞や事故に遭遇することもなく、順調に旅行を続けていたのですが、5月4日(土)の最終目的地「島根県観光物産館」の駐車場で、危うく自損事故をやらかしそうになりました。駐車場はほぼ満車だったのですが、建物に近いスペースが一台だけ空いていたので、ラッキーと思い、そこにバックで駐車しようとしたのです。ところが、そこに誘導員の方が現れ、そこに止めるなと指示してきたのです。なんで停めたらダメなんだとやや腹が立ったのですが、無視するわけにもいかないので、駐車をやめて前進したところ、誘導員の方が話しかけてきました。

 運転手も助手席に座っている人も、注意深く見ていなければまったく気づけないのですが、実はこの駐車スペースには建物側に低い外壁があり、それに気づかず停めると、ドアを開けたときに必ずぶつけてしまうのです。被害者は数知れず…。誘導員の方はそれを避けるために、わざわざ駐車しようとした私たちを呼び止め、別のスペースに誘導してくれたわけです。

 この日、私たちは美保関の仏谷寺で毘沙門天のお札をいただきました。そして、昨日の帝釈天のお札も車に積んでいました。霊験あらたかな仏様のお札を二柱も積んで、事故るはずがない!と調子に乗っているわけではないのですが、ホント、ギリギリのところで助かりました。楽しい旅行も、たった一つの事故で台無しになります。いい思い出も、すべて嫌な思い出に変わります。誘導員の方(=神仏のアバター)のおかげで、私たちは楽しい気持ちのまま旅を続けることができました。本当に感謝しています。

 

 さて、最終日の5月5日(日)。この日は帰宅することもあって、スケジュールに余裕をもたせていたのですが、思っていたよりもスムーズに観光が進んだため、当初予定していなかったスポットにも、急遽足を運ぶことができました。その一つが須我神社です。

 夫婦円満のご利益があるこの神社には、ぜひお参りしておきたいと思っていたので、スケジュールが順調に進んでちょうどよかったです。これも呼んでいただけたのでしょう。そのことを証明するかのように、珍しいものに遭遇しました。

 置き物ではありませんw。なんともかわいらしい野生のフクロウです。夜行性だからでしょうか、眠たそうに目を閉じたり開けたりしながら、こちらを見ていました。私たちは野生のフクロウなどナマで見たことがなかったので、とても感激しました。拝殿ではなく、本殿の左端の柱に留まっていたので、参拝者のうち、どれくらいの方が気づいたことでしょう。私のように、社殿をジロジロ見て回るような神社マニアでなければ、なかなかこの尊い存在には気づけなかったかもしれません。今回の旅行でも、珍しい経験をさせてもらいました。やはり、私たち夫婦は「spectator」でいることが、一番幸せなんだろうと確信しました。これからも「観る」ことを楽しもうと思います。