周梨槃特のブログ

いつまで経っても修行中

洞雲寺文書29

   二九 陶氏奉行人連署安堵状

 

              大内義興              大内義隆

 去永正十八年三月十一日如 凌雲寺殿様御判物并天文十年四月廿六日 龍福寺殿

 御判物、當寺御領分諸天役御免除之儀、向後聊不相違候、此上猶不

 可違目之通、直可尊意候、恐惶謹言、

                       (江良)

      四月十四日             房栄(花押)

                       (江良)

                        賢宣(花押)

     洞雲寺

       衣鉢侍者禅師

 

 「書き下し文」

 去んぬる永正十八年三月十一日 凌雲寺殿様御判物并に天文十年四月廿六日 龍福寺

 殿御判物のごとく、當寺御領分の諸天役御免除の儀、向後聊かも相違有るべからず候

 ふ、此の上猶ほ違目有るべからざるの通り、直に尊意を得らるべく候ふ、恐惶謹言、

 

 「解釈」

 去る永正十八年三月十一日の凌雲寺殿大内義興様の安堵状と、天文十年四月廿六日龍福寺殿大内義隆様の安堵状のように、洞雲寺領分の諸役御免除の件については、今後少しも相違あるはずもありません。このうえ、さらに相違あるはずもないように、直にあなた様のお考えを伺いたいです。以上、謹んで申し上げます。

 

 「注釈」

「永正十八年三月十一日」─5号文書、大内義興安堵状。

「天文拾年四月廿六日」─未詳。おそらく19号文書の後か同日に、大内義隆の安堵状

            が発給されたものと考えられます。19号文書の注釈参照。

「天役」─点役も同じ。中世、臨時に課された役。①朝廷が賦課した臨時課税、造内裏

     役や大嘗会役などの一国平均役。②領主から賦課される兵糧米など(『古文

     書古記録語辞典』)。

「衣鉢侍者禅師」─六世大休登懌か。