一一 小早川隆景書状(折紙)
態申候 少々
急度令申候、備中外郡下々の儀、当時◯雑説等申乱之由に注進候、所務時分之故
欤 大 幸
候於、定而従各某元江茂可申候、未従御方何共不承候間、無不儀候哉、可然時分
(備中)
御上之儀候間、所々無御油断被付御心、可被聞合事肝要候、鳥羽并幸山検使之
者共所へも、此由申遣候間、切々可被仰合候、此節之□候間、今少御逗留候て
(可ヵ) (ヵ)
□被[ ]事専一候、□者様体承可得御心候、恐々謹言、
[ ]月十六日 隆景(花押)
「書き下し文」
態と申し候ふ、備中外郡下々の儀、当時少々雑説等申し乱るるの由に候ふ、所務時分の故候か、定めて各々より某の元へも申すべく候ふ、未だ御方より何とも承らず候ふ間、大義無く候ふか、幸いに御油断無く御心を付けられ、聞き合はせらるべき事肝要に候ふ、鳥羽并びに幸山検使の者どもの所へも、此の由申し遣はし候ふ間、切々仰せ合はせらるべく候ふ、此の節の□候ふ間、今少し御逗留候ひて〜?〜らるべき事事専一に候ふ、□の者様体承り御心を得べく候ふ、恐々謹言、
「解釈」
わざわざ申し上げます。備中外郡の民衆の件ですが、いま少々根拠のない噂が飛び交っているとのことです。年貢収納の時分であるからでしょうか。きっとそれぞれの方から私のもとへも注進があるはずです。まだ毛利輝元様から何もうかがっておりませんので、大義はないのでしょうか。幸いにもご油断なく気をつけていらっしゃり、情報を聞き比べて考えるべきことが大切です。鳥羽と幸山の検使の者どものところへも、この事情を申し送っておりますので、しっかりとご相談になるべきです。この時節、□がございますので、もう少しご逗留になりまして〜?〜なさるべきことが最も大切です。□の者の状況を伺い、輝元様のお考えを聞くつもりです。以上、謹んでも申し上げます。