H20 2008 愛媛医療技術
Ⅰ 問1
勉強することの基本には、自己中心的・独善的な態度を一度捨て、相手の言うことに耳を傾けて我慢して聴くことが求められる。そうすることで、素直に吸収しようとする積極的に受動的な構えが身について頭が良くなると同時に、自制心というメンタルコントロールの技術を習得できるうえに、知識まで増やすことができるから。
(149字)
問2
心をすっきりさせ、相手の言っていることを素直に受け入れようとする、受動的であることに積極的な態度。
(49字)
問3
私は筆者の主張するように、勉強すると知識が増えるだけでなく、人の言うことを素直に吸収する構えや、心の制御技術を学ぶような機会がたくさんあると考える。
私は臨床検査技師を目指しているが、チーム医療の重要性が叫ばれている現代では、他の医療従事者との連携が不可欠だ。臨床検査技師としての高度な知識や技術を習得するだけで、勉強が終わることはない。現場に出れば、他のスタッフの意見を素直に聞き入れなければならない場面も多いはずだ。臨床検査技師は、他のスタッフよりも患者と接する機会は少ない。より適切な検査方法を提案し、冷静に検査結果を分析するには、彼らからの情報は不可欠である。こうした他者から学ぶ姿勢がなければ、自分の仕事は患者さんのためにならないだろう。
臨床検査技師として、またチーム医療の一員として、患者のために優れた仕事をしていくために、勉強することはとても大切だと考える。 (385字)
Ⅱ 問1
「おふくろの味」「おやじの味」が「ある」と答えた人の割合は、どちらも男性より女性の方が高い。また、年齢が高くなるにつれて、男女ともに割合が低くなる傾向にある。 (79字)
問2
夫婦二人暮らしの66%以上が60歳以上で、その人たちの中でカレーやラーメンを好む人はわずかだから。
(46字)
問3
結婚してからの年数ごとに「おふくろの味」の有無を調査し、年数が経過するにしたがって、「ある」と答える人の割合が減少する結果が得られれば、著者の推論は支持される。 (80字)
2010年 前期
問題1 問1
3つの図から、日本の高校生は自身を卑下し、他者の意見を優先する傾向が読み取れる。
(40字)
他国と比較して、日本の高校生は自身を謙遜し他者の意見を尊重する傾向が読み取れる。
(40字)
2012年 前期
問題1 設問1
健康な高齢者は、自分のことをあまり老いていないと思っているので、年寄り扱いされ育児語を使われることに、強い不快感を覚える。一方、入院している高齢者は、何かしらの病気を抱えて入院しているので、健康な高齢者より弱い立場にあり、自分を老いていると思っている。だから、子供扱いされ育児語を使われても仕方ない、という諦めの気持ちを持っている。このような意識の違いが、育児語の受け止め方の違いに影響を及ぼした。
(199字)
設問2
図1からは、健康な人よりも入院患者の方が育児語を不快と感じないことがわかる。また、図2によると、育児語を使われても不快と感じない人ほど、自分が老いていると感じていることもわかる。これらのことから、高齢者が精神的に高齢者になっていく背景には、病の影響、特に入院の影響が大きいと考える。
病気にかかると、それまでできていたことができなくなる。また、入院してしまうと、従来からの人間関係は薄くなり、家庭や社会の中で果たしてきた役割を遂行することもできなくなる。こうした生き甲斐を失ってしまうことが、精神的な高齢化につながるのではなかろうか。
それを防ぐためには、日頃から健康に留意するだけでなく、生き甲斐を持ち続けられるように、地域や社会と交流し続けることが、何よりも必要だと考える。
(337字)
問題2 設問1
自分のことは自分で判断し、自分を守るのが一人前の個人であると考えているにもかかわらず、生きるために一人ひとりが自分で行っていた多くのことを、今では分業によって何らかの他のシステムに預け、それらをちゃんとやるようにと主張することで、個人の権利を主張しているつもりになっているような現代人のこと。
(146字)
設問2
私は、国や公に託しているものでも、個人に取り戻すべきではないものがあると考える。なぜなら、人間は生まれながらに平等ではないからだ。そして、その不平等がその後の人生を決めてしまうこともあるからだ。
例えば、教育について考えてみよう。私たちは収入や性別に関係なく、義務教育を受けることができる。もしこの制度がなければ、知識や学力を身につけられなくなるため、現代のような高度情報化社会では、働くことさえ難しくなる。また、優れた能力を持ちながら、貧しさを理由に教育が受けられないならば、社会にとっても大きな損失になるだろう。生来の不平等を克服するためにも、国や公の制度には必要なものがあると考える。
(294字)
H25 2013 愛媛医療技術 Ⅰ 問1
本当のボランティア活動とは、ボランティアが主体ではなく、支援を受ける人々が主体であり、その目的は被支援者を助けることではなく、被支援者間の連帯を強め、問題解決の話し合いをするきっかけや環境作りにある。
(100字)
問2
私も筆者の主張するように、復興とは被災地の復元ではなく、被災者が活躍する場を創り出すものであるべきだと考える。被災以前から地域に内在する諸問題を解決できるような、新たな社会を創出するためには、その住民たちの声をよく聞き、ともにアイディアを考え出すことが、まず必要である。
しかし、そこには課題もある。被災直後の住民たちを集め、ともに復興のアイディアを議論しようとして、どれほどの住民が集まってくるだろうか。被害が甚大であればあるほど、その住民は議論に参加する余裕などないはずだ。被災後のインタビューを聞いていても、まずは最低限のインフラ復元を望んでいる。また、住民たちの利害を調整するにも、時間がかかってしまうはずだ。
被災者は悠長に復興を待ってはいられない。そうであるならば、あらかじめ復興のモデルケースを思案し、用意しておかなければならないだろう。そこに、地域の特徴や住民の声を加味すれば、より早く適切な復興ができると考えられる。 (415字)
Ⅱ 問1
鏡映像は実物を映し出したものだと認知はしているが、自分の鏡映像を自分自身だとは認知できていない。
(48字)
問2
2歳では自己映像を見せられても、ほとんどの子どもはステッカーを取れないが、3歳になるとライブ映像を見た約80%の子どもがステッカーを取ることができた。このことから、まずは同時性を手掛かりとして自己認知が進展し、4歳では遅延映像でも自己を認知できるので、同時でなくても自己認知が可能になることが分かる。
(149字)
H26 2014 愛媛医療技術 Ⅰ
問1
生活習慣を変える健康づくり運動を導入し、脳卒中を防ぐこと。
問2
人間は、一人ひとり自分の考えを持っている。それは他人と同じこともあれば、違うこともある。そのため、相手の身にならなければ、自分とは違った考えに気づくこともない。私も、相手の身にならなければ、より良い別解を導き出すことはできないと考える。
以前、東京の美術館で、入館者の混雑による事故を防ぐため、障害者の入館を断ったことがあった。しかし、障害者側はこの対策を差別と受け取り、猛反発したのだ。美術館側は、さらなる対策として、障害者のための特別展覧日を設けたが、これも同じく差別として抗議された。障害者の身になれなかった美術館側の対策は、正解ではなかったのだ。障害者の身になれば、特別待遇をされるよりも、事故に対する注意を喚起させる対策を立ててくれるだけでよかったのではないだろうか。
このように、相手の身になれば、問題を様々な観点から深く追求することができるのである。
2014年 愛媛県立医療技術大学 Ⅱ
【問1】
カラスは、人間の可視領域よりも広い色センサーによって、ものを視覚的に分類する能力と、試行錯誤によって正解を導き出す学習能力を備えている。(68字)
【問2】
最初は無作為に選んでいたが、7日目以降はほぼえさの多い順から取っているので、カラスは三段論法ができていると考えられる。 (59字)
【問3】
実験結果を見ると、7日目以降、赤、黄、銀を取る順番は変わらないが、青、緑を取る順番は不確定だ。これでは正確に数を認識しているとは言えない。そこで、同じように紙風船を5つ用意するのだが、3つしか選べないように実験方法を変えてみる。3番目に青色を選ぶようになれば、数的概念を持っていることが証明できる。
(149字)
H27 2015 愛媛医療技術
Ⅰ 問1
メタメッセージとは、情報本来の内容や主張を超えたもので、積み重なることで人に大きな影響を与え、無意識のうちに考える大前提になってしまうような、必ずしも正しいとは限らない、人の価値判断が入った情報。
(98字)
問2
現代の社会で氾濫している情報の真偽を評価するうえで、最も注意を要するのは、その情報の根拠となっている事実の調査法と、事実自体の評価だと考える。
例えば、内閣支持率を調査した場合、メディア各社でその数値が異なることはよくある。同じ調査方法を用いても数値が一致しないということは、根拠となる事実自体が疑わしいことになる。また、調査によって現れた数値を多いと伝えるか、少ないと伝えるかは、メッセージを発信する側の問題とである。いったい、何割から何割までが多く、あるいは少ないと言えるのだろうか。
社会的な責任を負った機関や企業が、数値を示して情報を伝えると、正しいものと評価しがちだ。しかし、その数値には、調査者や発信者のバイアスがかかっており、事実として示された情報自体が、メタメッセージになっているのだ。こうした事実や数値の性質に注意しなければ、情報の真偽は見極められないと考える。
(388字)
Ⅱ 問1
図1を見ると、歩行速度が「速い」「普通」に比べ、「遅い」グループの累積死亡率が大幅に高いことが分かる。また図2—bから、歩行速度とガンの死亡の関係性は薄く、図2—a・cから、歩行速度の遅さと循環器疾患やその他の死因との関係性は高いと考えられる。(120字)
問2
図3から、体重に占める筋肉重量の割合が高いほど、歩行速度の速いことが読み取れる。また図1から歩行速度が速いほど累積生存率が高くなることが読み取れるので、体重に占める筋肉重量の割合が高くなるほど、累積生存率が高くなると推測することできる。 (118字)
問3
図3より、筋肉重量の割合が高ければ、歩行速度は速くなることは明らかなので、図1の3グループにおける、生存者の筋肉重量割合を測定し、その数値と歩行速度の遅速が一致すれば、筋肉重量の割合と累積生存率の関係性は証明できる。ただし、死亡している調査対象者の筋肉重量割合は測定できていないことに注意を要する。
(149字)
2017年(H29) 愛媛県立医療技術大・前期
大問1
人を模倣して学ぶうえで大切なことは、他者を観察するときに、他者の行為を分析し、解釈し、心の中でその活動をなぞり、それを実際に自分の身体を使って繰り返すことである。
この筆者の指摘は、私が高校3年間続けてきてバドミントンにも通じる。バドミントンには、クリア、スマッシュ、ドロップなど、様々なショットがあり、まずは指導者や先輩から説明を受け、その打ち方を見ることから練習はスタートする。だが、実際に人の打つ生きたシャトルを相手にすると、うまく打つことができないのだ。これは当然のことで、指導者と指導を受ける私では、そもそも身長・体重・身体能力など、すべてが異なる。また、対戦相手の打ってくるシャトルのスピードや高さといった対戦状況によっても、技の成否は異なる。こうなると、もはや言葉では説明できない。他者のプレーを観察し、様々な状況をパターン化し、状況に応じて自分の体をどう動かすかを考え、修正し続けていくしかないのである。
このように、模倣による学習効果を高めるためには、自己と他者の違いを認識し、自己の置かれた環境でどのように対応するかを考えることが必要だと考える。
(481字)
大問2 問1
訓練回数に関わらず、訓練30分後のペパーミントの嗜好性指数が約80%まで向上したことから、コオロギには臭いに関して、経験によって行動に変化を及ぼす学習能力があることがわかる。一方、1回訓練群の指数は時間の経過とともに低下するが、4回訓練群の指数はほぼ横ばいで大きな変化はない。したがって、報酬刺激だけでなく、罰刺激も複数回与えると、指数が保持されることから、コオロギには匂いの記憶能力があることもわかる。
(200字)
問2
ペパーミントよりもバニラの匂いを好むという生来の性質が、実験結果に影響を与える可能性を除外するため。
(50字)
問3
訓練6週間後の結果から、コオロギは幼虫期に学習した匂いの嗜好性が成虫になっても記憶として保持されていることがわかる。また、訓練10週間後の結果から、その記憶は寿命が尽きるまで保持されるものと考えられる。
(100字)