周梨槃特のブログ

いつまで経っても修行中

とある解答例

 2014年 茨城県立医療大・後期

 

問1

山崎正和は、人間の情熱が健康という1つの目標によって画一化され、国家によって善導される状態を時代錯誤だと批判しているが、それに対して高久史麿は、健康情報や行動指針に従うか否かを決めるのは個人の自由であり、それらを提示することは生活文化を統制するようなものではない、と主張している。つまり、山崎は健康情報や行動指針の提示を、国家による思想善導という政治社会的な問題として捉えているのだが、高久はそれを、病気の予防や治療という医療分野の問題として捉えているため、議論が噛み合わなくなっているのである。

(249字)

 

 

 

問2

「在宅群」の高齢者の場合、「ADL」と「経済状態」の相関係数が高いことがわかる。これは、在宅高齢者が他人に頼らない自立した生活をしているために、強い相関性を示していると考えられる。一方、「在ホーム群」の高齢者の場合、「人間関係」の相関係数が圧倒的に高いことがわかる。これは、彼らが集団生活をしていて、日常的に多くの他者と関わらざるを得ない状況にあるため、生活満足度と強く結びついたものと考えられる。

(197字)

 

問3

1つ目は、「良好な習慣者」と「不良な習慣者」、男女の区別にかかわらず、「社会活動性」の数値が最も高いことである。このことから、現代人は社会的活動性を長く維持することを最も重視していると考えられる。2つ目は、「良好な習慣者」のすべての項目で女性の割合がわずかに高く、「不良な習慣者」のすべての項目で女性の割合が低いことである。このことから、女性の方が項目についての良し悪しを強く感じやすいと考えられる。

(200字)

 

 

 2015年 茨城県立医療大・推薦

 

問1

患者の立場に立ってみれば、新たに急患で運ばれた患者のせいで安眠を妨害されたのであるから、そのことだけでも不快に思っていたはずである。したがって、患者が普段以上に苛立っていることを前提にして、いきなり転室を勧めるのではなく、まずは患者の苦情をしっかりと聞く姿勢が大切だったと考えられる。そのうえで、病院側の対応の意図を説明し、納得がいかなければ、最後に転室を勧めるように対応するべきだったと考えられる。

(200字)

 

問2

事例19の患者は、夜間急患の受け入れによって自身の安眠が妨害され、その患者ではなく、自分の方が転室を勧められたことに対して激怒した。その後も、自分の隣に急患の患者を入れたことに対して、しつこく理由を問いただしている。こうした振る舞いには、相手が悪いとする他罰性や、説明責任を求める姿勢が現れているけれども、それ以上に「損をさせられることにきわめて敏感」な態度が見てとれ、そこに現代的なものを感じている。

(200字)

 

 

 

 

 

 

 

 2015年 茨城県立医療大・後期

 

問1

リスクに関する情報には、意識して集めるものと、なんとなく耳に入ってくるものがあり、役に立つ情報もあれば、役に立たない流言・デマもある。こうしたリスク情報のコミュニケーションは人々の心理や行動に影響を与えるもので、効果的に行なえばリスクそのものを減らしたり、リスクに付随するパニックを回避したりするのに有効だが、逆に稚拙であれば、リスク回避失敗に直結し、リスク以上のパニックを惹起するので、大切になる。

(200字)

 

 

問2

感染症の特徴は、病気の原因である目に見えない微生物が、外からやってきて感染するところで、目に見えないものが伝播するという不確かさが、恐怖に拍車をかけている。また、ときに短期的に集団発生し、ときに局地的に発生し、場合によっては世界中を巻き込んで広がっていくこともある。こうしたリスクを回避するために、感染症に関する科学的な情報を的確に伝達し、人々を教育し、説得するリスクコミュニケーションが重要になる。

(200字)

 

問3

「説得」も「合意」も、双方向の「対話」という形をとって実現されるものであるが、前者は災害のような緊急時に、人々を適切な行動に導く目的で用いられるリスク・コミュニケーションである。これは、「高台に逃げてください」のような依頼のメッセージとして表現される。一方、喫煙のような生活習慣を改めさせるためには、喫煙者本人が納得し、積極的に禁煙しようと思わなければならない。そのために用いられるのが後者である。

(199字)