周梨槃特のブログ

史料紹介という修行

蟇沼寺文書5

    五 四郎太郎友氏嫡子孫六連署売券案

 

 (端裏書)

 「四郎太郎売券案」

 「正文ハ眞阿ニ是留」

  (売 渡)

  うりわたし候地の事

   在壹所者

      限東万才助家    限南大道

    四至

      限西小路      限北大道

    宛直銭伍貫文 即時請取了、

      (相 互)            (沼田)(市)

 右件の地ハあひたかいニようゝゝあるニよて、ぬたのいちの比丘尼しやういの

  (房)  (永代)  (限)       (売 渡)

 御ハうニ、ゑいたいをかきりて、をはなてうりわたしまいらせ候ところ、

  (在地明白実)     (全)    (妨)            (此地)

 さいちめいはくしち也、またく他人のさまたけあるへからす候、たゝしこのちニ

    (聊)   (煩)         (沙汰)

 ついていさゝかもわつらい候ハ、四郎太郎のさたとしてあきらめ候へく候、もし又

 (京 鎌倉)           (徳政)         (てヵ)(言)(儀)

 きやうかまくらよりしていかなる御とくせい候とも、それニい□一こんもきを

 申すましく候、仍為後日沙汰状如件、

                   四郎太郎友氏在判

     (1312)

     応長二年〈壬子〉二月四日

                   嫡 子 孫 六 在判

 

 「書き下し文」(漢字仮名まじりに改めました)

 (端裏書)

 「四郎太郎売券案」「正文は真阿に是れを留む」

  売り渡し候ふ地の事

   在り一所てへり

    四至 限る東は万才助の家 限る南は大道

       限る西は小路    限る北は大道

    宛つ直銭五貫文 即時請け取り了んぬ、

 右件の地は相互いに要用有るによって、沼田の市の比丘尼しやういの御房に、永代を限りて、をはなて売り渡し参らせ候ふ処、在地明白実なり、全く他人の妨げ有るべからず候ふ、但し此の地に就いて聊かも煩い候はば、四郎太郎の沙汰として明らめ候ふべく候ふ、もしまた京・鎌倉よりして如何なる御徳政候ふとも、それに就いて一言も儀を申すまじく候ふ、仍て後日の沙汰のため状件のごとし、

 

 「解釈」

  売り渡します土地のこと。その場所の境界については、東は万才助の家を限り、南は大道を限り、西は小路を限り、北は大道を限る。

  銭五貫文を代価に当てる。すぐに請け取った。

 右の土地は、互いに必要があって、沼田の市の比丘尼しょういの御房に、永久に売り渡し申し上げましたが、このことは在地では明白な事実である。まったく他人の妨害があってはなりません。ただし、この地について少しでも煩いがありますなら、四郎太郎の処置として明らかにするつもりであります。もしまた京や鎌倉からどのような徳政令がありましても、それについては一言も(売却地の返還を)申し上げるつもりはありません。よって後日の訴訟のため、売券の契約は以上のとおりである。

 

 「注釈」

「をはなて」─未詳。