周梨槃特のブログ

いつまで経っても修行中

とある解答例

 2015年 徳島大・総合科学部 推薦

 

問1

私たちの社会は自立を、さまざまなことを自分でできること、(自分の身体も含めて)生きるのに必要な多くのものを意のままにできることと了解してきた。だが、本当の自立とは、意のままにならないということ、つまり「不自由」の経験を受け入れ、何かを意のままにするという強迫観念を、自然に捨てることができるようになることを指す。また、「自立」とは、「独立」、すなわち他人に依存しないことではなく、他人との相互依存のネットワークをいつでも使える用意ができていることを意味している。他人とともに生きることが本当の「自立」であるとすれば、自分もときに支える側に回る準備ができているのでなければならないのである。     (294字)

 

問2

 「困ったときはお互い様」。この慣用句こそが筆者の指摘する「自立」の意味であり、かつての日本では、こうした助け合いの精神を体現したような言葉を頻繁に耳にしてきた。だが、最近ではとんと聞かなくなってしまった。この言葉が消えたのと同じころに、よく耳にするようになったのが「自己責任」という言葉である。

 現在の日本では、生活や価値観の個人主義化が進行したため、近所付き合いがなくなり、地域共同体が崩壊したと言われている。また、長引く不況や少子高齢化によって国家財政は逼迫しているため、年金や医療保険といった社会保障制度の存続自体も不安視されている。親族や地域で支え合うという関係性がなくなりつつあるうえに、最後の砦である国のセーフティネットの存続も危ぶまれているなか、自分の命や生活を守るのは、もはや自分しかないと考えるようになったのではないだろうか。これが、筆者のいう「自立」が一般的でない理由である。

(397字)

 

 

 2013年 徳島大・総合科学部・推薦

 

問1

電動ミキサーに対するポジティブな意見は「早かった」だけで、あとはネガティブな意見ばかりであった。一方、機械式ジューサーに対するネガティブな意見は「時間がかかった」だけで、あとはポジティブな意見ばかりであった。このように、電化製品の登場によって人間は早く簡単に作業をこなすことができるようになったのだが、協力や役割分担、創意工夫といった人間として大切なものをたくさん失ってしまったのである。現代人は世の中の急速な変化に何となく流されてしまい、その変化の意味を理解しながら生きることができなくなっている。だから、便利さを追求した陰で失ってきたものやその価値を、もう一度冷静に考え直してみなければならない。

(300字)