五二 くしまの太郎ひのさこんの三郎連署出挙籾借用状
(出挙) (籾)
申うくる御しゆこのもみの事
合五斗定
(秋) (割) (利) (添)
右件の御しゆこ申うくる處しち也、但来あきの時六わりのり分おそへ候て、ミしん
(懈怠) (召取) (儀)
けたいなく弁可レ申、若ふさた仕候ハ丶、わか身おめしとられ可レ申、その時一き申
(新儀) (徳政) (別儀)
ましく候、又しんき御とくせいゆき候とも、へちきなく候て弁可レ申、仍後日さたの
(証文)
ためニしやうもんの状如レ件、
(1437)
永享九年丁ミ年卯月十一日
くしまの太郎ひのさこんの三郎(略押)
「書き下し文」(可能な限り漢字仮名交じりにしました)
申し請くる御出挙の籾の事、
合わせて五斗定む、
右件の御出挙を申し請くる處実なり、但し来秋の時六割の利分を添へ候ひて、未進・懈怠無く弁じ申すべし、もし無沙汰仕り候はば、我が身を召し取られ申すべし、その時一儀申すまじく候ふ、また新儀御徳政行き候ふとも、別儀無く候ひて弁じ申すべし、仍て後日の沙汰のために、証文の状件のごとし、
「解釈」
請け取り申した御出挙の籾のこと。
都合五斗。
右の御出挙の籾を請け取り申したことは事実である。ただし、来秋の時に六割の利息を添えまして、未進・懈怠することなく、弁済申し上げるつもりです。もし弁済し申し上げないようなことがありましたなら、我が身をお召し取りになるべきです。その時には一言の異議も申し上げるつもりはありません。また新儀の徳政が執行されましたとしても、差し支えなく弁済申し上げるつもりです。そこで、後日の訴訟のために、証文の内容は以上のとおりです。
「注釈」
「くしまの太郎」─久嶋の太郎。未詳。
「ひのさこんの三郎」─ひの左近の三郎。未詳。