七 富田康直書状(切紙)
爲二今年之御祝儀一、 御父子様へ被二仰上一候、百疋宛則遂二披露一候、御祝着之
由候て被レ成二御書一候、具ニ雖下可二申入一候上、我等事軈而其地罷上候之条、
以二拜顔一万可レ得二御意一候、恐惶謹言、
富田又兵衛尉
三月十日 康直(花押)
善明様 参 御返 人々
申給へ
「書き下し文」
今年の御祝儀として、御父子様へ仰せ上げられ候ふ百疋ずつ則ち披露を遂げ候ふ、御祝着の由に候ひて御書を成され候ふ、具に申し入るべく候ふと雖も、我等の事軈て其の地に罷り上り候ふの条、拜顔を以て万御意を得べく候ふ、恐惶謹言、
「解釈」
今年のご祝儀として、毛利元就・隆元様へ贈り申し上げなさった百疋ずつを、すぐに披露しました。父子様はご満足になって御書状を発給なさいました。詳細に申し伝えるべきですが、我らはそのうちそちらに参上しますので、お目にかかることで様々な件についてお考えを承るつもりでおります。以上、謹んで申し上げます。