二 雪舟寄進状
藝陽無爲山實際寺之事、紀氏栗栖歸源禅門之開基也、 奉三勧─二請愛宕山勝軍地蔵
大薩埵之尊像一、爲二武運長久一門堅固一也、上与一野并屋敷、至二末代一被二寄進一
之者也、當寺佛法繁栄之状如レ件、
(1375)
永和元年九月十日
(葉ヵ)
東福末柴實際寺住持
雪舟(花押)
○本文書、研究ノ余地アリ
「書き下し文」
藝陽無為山実際寺の事、紀氏栗栖歸源禅門の開基なり、愛宕山勝軍地蔵大薩埵の尊像
を勧請し奉る、武運長久・一門堅固の為なり、上与一野并に屋敷、末代に至るまで之
を寄進せらるる者なり、当寺仏法繁栄の状件のごとし、
「解釈」
安芸国無為山実際寺のこと。紀氏栗栖帰源禅門の開基である。愛宕山の勝軍地蔵菩薩の尊像を勧請し申し上げた。武運長久と一門の結束を祈るためである。上与一野と屋敷は、将来に至るまで寄進されるものである。当寺の仏法は繁栄するはずである。
「注釈」
「芸陽」─未詳。安芸国の意味か。
「愛宕山」─京都市右京区嵯峨愛宕町の愛宕神社。本地仏は勝軍地蔵(『京都市の地
名』)。
*偽文書の可能性があるようです。