解題
田中氏は長浜の神職をつとめる。本文書の伝来関係については明らかでない。
一 豊臣氏奉行連署書状(切紙) ◯以下三通ハ、東大影寫本ニヨル
其方御代官所此方ゟ、近年者以二金銀米一被二召置一候へ共、自今以後者公用にて、
百姓於レ被二取納一、可レ有二運上一之旨候条、可レ被レ得二其意一候、恐々謹言、
(長束)
長大
六月朔日 正家
(浅野)
淺弾
長政
(前田)
徳善
玄以
(増田長盛)
増右殿 御宿所
「書き下し文」
其方御代官所此方より、近年は金銀米を以て召し置かれ候へども、自今以後は公用にて、百姓取り納めらるるに於いて、運上有るべき旨に候ふ条、其の意を得らるべく候ふ、恐々謹言、
「解釈」
そちらの御代官所は、近年は金銀米をお取り置きになっておりますが、今後は公用として、百姓より収納なさるときに、こちらへ運上しなければならないというご命令ですので、その指示をご了承ください。以上、謹んで申し上げます。