四 毛利隆元書状
(刑)(秀純)
西条小倉大明神参候儀、去二月祝師磯邊形部太夫申候処、堅固相調候、誠珍重ニ候、
祝着之通能々可二申聞一事肝要候、謹言、
八月七日 隆元判
蔵田弥六殿
「書き下し文」
西条小倉大明神参り候ふ儀、去んぬる二月祝師磯邊刑部太夫に申し候ふ処、堅固に相調へ候ふ、誠に珍重に候ふ、祝着の通りよくよく申し聞こゆべき事肝要に候ふ、謹言、
「解釈」
西条の小倉大明神に参拝する件について、去る二月に祝師の磯部刑部太夫秀純に申しましたところ、厳密に(磯部は)調整しました。実に素晴らしいことです。満足していると念入りに(磯部方へ)知らせ申し上げるようなことが大切です。以上、謹んで申し上げます。
*主語をどう判断すればよいか、よくわかりませんでした。
「注釈」
「祝師」─「はふりし」。「祝(はふり)」のこと。神社に属して神に仕える職。ま
た、その人。しばしば神主・禰宜と混同され、三者の総称としても用いられ
るが、区別する場合は、神主の指揮を受け、禰宜よりもより直接に神事の執
行に当たる職をさすことが多い。その場合、神主よりは下位であるが、禰宜
との上下関係は一定しない(『日本国語大辞典』)。その一方で、「ものも
うし(物申)」と読んだ可能性もあります。意味は「祝詞などを奏するこ
と」(『日本国語大辞典』)です。