二二 小早川陽満弘景寄進状
奉二寄進一
楽音寺領田事
右彼下地者、梨子羽郷南方」分作内壹段六十歩、除二諸役一永代」令二寄附一所也、
(灌頂)
願念志趣者、毎年」不レ闕二結縁汀領一、而信心大施主平氏女、」現当二世諸願円満
而已、
(1442)
嘉吉貮年壬戌二月廿八日
沙弥陽満(花押)
「書き下し文」
寄進し奉る 楽音寺領田の事
右彼の下地は、梨子羽郷南方分作の内一段六十歩、諸役を除き永代寄附せしむる所なり、願念志趣は、毎年結縁灌頂を闕かずして、信心大施主平氏女の現当二世諸願円満のみ、
「解釈」
寄進し申し上げる楽音寺領田のこと。
右、この下地は梨子羽郷南方小作地のうち一段六十歩を、諸役を免除して寄進するところである。願意は、毎年結縁灌頂を怠ることなく執行し、信心大施主平氏女の現世・来世の諸願が成就することだけである。
「注釈」
「分作」─「作分」のことか。「小作地、また、小作をしている者(『日本国語大辞
典』)。