周梨槃特のブログ

史料紹介という修行

楽音寺文書52

    五二 一宮修正会役人注文

 

 (端裏書)

 「一宮正月二日修正之次第」

 定

 (豊田郡沼田庄)

  一宮正月二日御修正役人事

 初夜導師   一人      平坂〈従僧一人」大懺悔一人〉

 呪願師    一人      有羽

 後夜導師   一人      学頭分従僧一人

 三十二相   一人      円御堂

 唄              円御堂

 散花     一人      江良

 梵音     一人      細田

 錫杖             学頭

 守護申          平坂 江良 有羽

 神名帳            細田定智

 牛王導師           東禅寺従僧一人

 鼓鐘役人   二人      宮仕二人

    以上廿

        ◯以上、三八号カラ五二号マデノ一五通ヲ一巻ニ収ム(第四巻)

 

*書き下し文・解釈は省略します。

 

 「注釈」

「三十二相」

 ─声明 (しょうみょう) の曲名。仏の「三十二相」を七言三十六句 (または四十句) の韻文体にし,旋律を付したもので,各宗派により旋律は異なる。天台声明では等拍のリズムをもつ定曲で,本曲は雅楽の『散吟打救楽 (さんぎんちょうきゅうらく) 』と,急曲は『伽陵頻急 (かりょうびんきゅう) 』とおのおの合奏される。真言宗や南都諸宗では修正会や修二会の際に唱える(『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』、https://kotobank.jp/word/三十二相-70795)。

 

「唄〜錫杖」

 ─四箇法要で唱えられる曲名。仏事法要の構成法の名称。〈しかのほうよう〉とも読む。《唄(ばい)》《散花(さんげ)》《梵音(ぼんのん)》《錫杖(しやくじよう)》の四箇の声明曲(しようみようきよく)を具備した法要をさす。またこの4曲自体をさすこともあり,〈四箇法要付きの舎利講式〉というような言い方も行われる。これらの曲は法要の導入部で唱えられ,身心と道場を清めると同時に法要を荘厳(しようごん)する(飾る)意味を持つ。〈講讃〉〈講式〉などの顕教立(けんぎようだて)の法要が晴れの典礼としてつとめられるときには,四箇法要の形式が取られるが,これに対し,密教立の場合は二箇法要の形式を取る(『世界大百科事典 第2版』、https://kotobank.jp/word/四箇法要-72465)。

 

*この史料は、一宮豊田神社で行なわれた修正会の役人注文です。具体的な式次第はわかりませんが、おそらく初夜導師作法・後夜導師作法・牛王導師作法に分けられた執行されていたものと考えられます。初夜導師作法は悔過作法で、その後に続く祈願専一の作法を後夜導師作法(大導師作法)と呼ぶそうです。そして、この修正会の結願作法が牛王導師作法で、牛王宝印を授与したものと考えられます(佐藤直子「悔過会の中世への変容」『悔過会と芸能』法蔵館、2002、255〜258頁。高桑いづみ「『乱声』の系譜─雅楽・修正会から鬼狂言へ─」『芸能の科学』24号、1996・3、48頁、https://tobunken.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=3049&item_no=1&page_id=13&block_id=21。坂本亮太「村の牛王宝印」『民俗文化』29号、2017・12、362頁、https://kindai.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=19118&item_no=1&page_id=13&block_id=21、参照)。