周梨槃特のブログ

いつまで経っても修行中

とある解答例

年未詳 長崎大

 課題文の著者は、「体験」が「経験」になり、未来の生活や行動へとつながるような保育が重要であると論じている。過去から現在に働きかけてくる「体験」と、未来に向けて働きかける「経験」を区別し、「経験」を重視する筆者の考えに、私は賛同する。

 保育所や幼稚園では、遠足や観劇といった行事ばかりではなく、日常の集団生活のなかで様々な体験をする。私が保育所に通っていたころ、友達とよく「だるまさんが転んだ」という遊びをしていた。勝ちたいあまりにそのルールを無視したため、友達や先生から怒られてしまった。私はそこで初めて、ルールを守らなければならないことを学んだ。たとえ遊びであっても、ルールを守らなければ面白くないし、友達からの信頼も失うことになる。その後、私は先生の指示や友達との約束を守るようになった。もしこの体験が体験で終わっていたなら、ルールや約束事を守れない子ども時代が長く続いていたかもしれない。ルールを破ったという幼児期の体験が、先生や友達の注意によって経験化され、その後の様々な場面でも、ルールを守らなければならないという価値観の形成につながったと考える。

 保育所や幼稚園などにおける日常的な生活のなかには、人間が社会生活を行っていくうえで大切な価値観を学ぶことのできる体験が数多くある。そうした些細な体験を経験にできるような保育が最も重要だと考える。

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